今議会におきましては、補正予算案及びその他の案件についてご審議をお願いするものでありますが、提出議案の説明に先立ち、諸般の報告を申し上げます。
 はじめに、本県国会議員の副大臣就任についてであります。
先月行われました内閣改造において、石井浩郎参議院議員が国土交通副大臣兼内閣府副大臣兼復興副大臣に就任されましたことを、心よりお祝い申し上げます。
 石井副大臣におかれましては、これまでの豊富な経験を生かしながら、防災・減災対策や国土強靱化、高速交通ネットワークの整備などに、全力を挙げて取り組まれることをご期待申し上げますとともに、今後とも、ふるさと秋田の発展のため、お力添えを賜りますようお願いいたします。
 次に、先月の大雨による被害状況等について申し上げます。
 前線の停滞などにより、大館市や八峰町、五城目町等で観測史上最大の降水量となるなど、県北地域を中心に県内各地で記録的な大雨に見舞われました。
 これにより、大館市の下内川や三種町の三種川、五城目町の内川川など13河川が氾濫し、現時点では、浸水等による建物被害が750棟を超えたほか、道路の損壊や農地の冠水等、公共土木施設と農林水産関係の被害額は約182億円に上っております。
 被害に遭われた皆様に対しまして、心よりお見舞い申し上げます。
 県では、消防防災ヘリコプター等による被害状況の把握や、堤防が決壊した下内川の応急復旧などに全庁を挙げて対応してきたほか、住宅の床上浸水等に遭われた世帯には、市町村と連携し、災害見舞金の速やかな支給に努めております。
 また、先月17日には、石井副大臣の被害状況確認に同行し、被災した土木施設や鉄道施設の復旧等への支援を要望したほか、同月30日には、谷内閣府特命担当大臣と共に現地視察を行い、早期の激甚災害の指定と災害復旧事業の採択、県・市町村への財政支援などについて要望しております。
 さらに、かつてない被害を受けた秋田内陸線については、早期の復旧を図るため、沿線市と連携して、これまでの枠組みを超える支援を実施することにしたほか、奥羽本線及び花輪線、五能線の各線について、JR東日本に対し、早期の運行再開を私自ら強く要請したところであります。
 引き続き、河川や道路、農地・農業用施設等の早期復旧、被災農家への営農支援など、被災された方々のサポートに全力で取り組んでまいります。
 次に、新型コロナウイルス感染症への対応について申し上げます。
 県内においても、7月中旬以降、感染力の強いBA・5系統による感染が拡大していることから、今月末まで、無症状者へのPCR等無料検査を引き続き実施することにしたほか、医療のひっ迫回避を図るため、「BA・5対策強化宣言」を延長し、症状に応じた適切な検査・受診等への協力や一層の注意を県民に呼びかけるとともに、症状がある方を対象とした検査キット配付・陽性者登録センターを継続するなどの対策を講じてきております。
 また、国においては、重症化リスクが高い方の入院を優先し、発生届の対象者を高齢者等に限定することにしたほか、無症状・軽症者の方について自宅療養を基本とする方針を示していることに加え、今月7日からは療養期間が短縮されるとともに、無症状者の最低限の外出が許容されるなど、一定の自助により自宅療養していただく方向性が明確になってきております。
 こうしたことから、県としましては、自宅療養者への給付金事業を終了することにし、相談体制や療養時の対応にかかる普及啓発の強化など、症状の軽い方々が自宅で安心して療養できるようサポートの充実を図るとともに、後方支援医療機関での受入れを促進し、感染症患者の受入病床を効率的に運用できる体制の整備を進めるなど、重症者や基礎疾患のある方等へ重点的に医療を提供できるよう取り組んでまいります。
 県民の皆様には、引き続き、基本的な感染防止対策を徹底していただくとともに、医療が必要な方に確実に提供される体制を維持するため、救急外来等の適正な利用をお願いいたします。
 次に、国内外の経済情勢について申し上げます。
 世界経済は、持ち直しの傾向が続いているものの、ウクライナ情勢の長期化等による物価上昇に加え、中国における感染症の防疫措置に伴う経済活動の抑制や、米国をはじめとする各国での金融引締めの影響などにより、先行きの不確実性が高まっております。
 県内経済についても、長引くコロナ禍における原油価格・物価高騰は一部事業者の経営や県民生活に影響を及ぼしておりますが、一方で、資材単価の上昇に伴う木材・木製品関連の生産額が大きく増加しているほか、主力の電子部品・デバイス関連が好調であるなど、製造業は全体として堅調に推移しております。
 また、7月以降、ICT関連企業3社の進出が相次いで決定したほか、今月2日には、新たに大手自動車メーカーの1次サプライヤーの誘致が決定したところであり、県内企業との取引増加や、秋田の将来を担う若者の県内定着・回帰につながる明るい動きが続いております。
 先般、日本銀行秋田支店が公表した企業短期経済観測調査では、今年度の売上高が対象企業全体で2年連続して10パーセント以上の増収計画となっているほか、製造業における設備投資計画が前年度比70・8パーセント増と高い伸び率になっており、感染拡大に伴う社会経済情勢の変化に対応した取組や、本県の恵まれた資源を生かした成長産業関連企業等への支援により県内経済の活性化が進んできているものと捉えております。
 県としましては、こうした状況を踏まえ、物価高などの影響を低減させる対策を迅速に実施しながら、再生可能エネルギーをはじめとする成長が期待される分野への県内企業の参入支援や、製造業、情報関連産業等の労働生産性の高い業種へのキャリア転換を含む産業人材の確保・育成など、引き続き、アフターコロナを見据えた県内産業の競争力強化に向けた取組を進めてまいります。
 次に、最低賃金の引上げについて申し上げます。
 秋田地方最低賃金審議会の答申を受け、本県の最低賃金は、現行制度導入以降で最大となる31円引き上げられ、来月から853円に改定することが決定されました。
 今般の引上げについては、物価高が進行する中で、低所得者層の生活不安の緩和につながるものと捉えておりますが、若者の県外流出の要因の一つとされている首都圏などとの賃金格差は依然として大きいことから、格差の解消に向けて、今後も、全国知事会を通じて、国に対し、地域の企業が自発的に賃上げできる環境の整備を働きかけてまいります。
 また、県としましても、中小企業者の生産性の向上や経営基盤の強化等による収益拡大に向け、デジタル技術を活用した新たな生産方式の導入をはじめ、企業規模の拡大や経営の多角化、即戦力となる人材の獲得、従業員のキャリアアップなど、稼ぐ力の向上に向けた未来につながる投資に企業が取り組めるよう集中的に支援してまいります。
 次に、農畜産物のブランド化の取組について申し上げます。
 この秋に本格デビューする「サキホコレ」については、6月の低温等による生育の遅れはあるものの、卸売業者や小売店などの期待感も日を追うごとに高まってきており、引き続き、高品質な米の生産に向け、きめ細かな栽培管理を徹底するとともに、デビューイベントや販売促進キャンペーンの実施、テレビCMの放映など、農業団体と一体になって、認知度の向上とブランドイメージの確立に取り組んでまいります。
 また、来月、鹿児島県で開催される全国和牛能力共進会につきましては、上位入賞を目指し、本番に向け準備に万全を期してまいります。
 次に、「あきた芸術劇場ミルハス」について申し上げます。
 今月23日にグランドオープンを迎えるミルハスでは、新日本フィルハーモニー交響楽団等による記念特別公演を皮切りに、今後も多彩な文化芸術の公演などが多数予定されており、引き続き、著名なアーティストの公演や大規模イベント等の誘致に積極的に取り組むとともに、秋田市をはじめ、関係機関と連携しながら地域の賑わい創出につなげてまいります。
 次に、提出議案の主なものについて説明申し上げます。
 今回の補正予算案は、8月の大雨による被害対策として緊急を要する事業のほか、新型コロナウイルス感染症や原油価格・物価高騰への対応、「新秋田元気創造プラン」に基づく事業等について計上しております。
 大雨による被害対策については、被災した道路や河川等の公共土木施設の復旧対策事業を速やかに実施するとともに、農地や農業用施設の復旧をはじめ、種苗や生産資材の購入など再生産に向けた取組に対し助成するほか、農業経営の再建に向けた資金繰りを支援してまいります。
 また、秋田内陸線の被害が甚大なことから、復旧対策事業の自治体負担分に加え、事業者負担分についても沿線市と連携して助成し、早期の運行再開を目指してまいります。
 感染症への対応については、最前線で対応する医療従事者の状況を鑑み、感染者を受け入れる医療機関への支援を継続するとともに、感染症からの回復後に引き続き入院が必要な患者を受け入れる後方支援医療機関の体制を強化するなど、医療提供体制の一層の充実を図ってまいります。
 また、国が進めている「全数把握見直し」を踏まえ、新たな相談体制の整備を図るほか、保健所業務の外部委託を行い、職員が重症化リスクの高い感染者への対応に、より注力できる体制を構築するとともに、クラスター感染が多く見られる保育所等のエアロゾル感染対策に対し助成してまいります。
 原油価格・物価高騰への対応については、低所得世帯の経済的負担の軽減を図るため、給付金等を支給する市町村に対し助成するほか、燃料価格の高止まりの影響を受けているバス・タクシー事業者の車両維持費を支援するとともに、社会福祉施設や医療機関、中小企業等が行う省エネルギー化のための整備に対し助成してまいります。
 また、肥料や飼料の価格高騰が農業経営を圧迫していることから、国の支援制度の活用に向けた取組や、飼料価格上昇分の一部に対し助成してまいります。
 新プランに基づく事業については、県内における自殺者数が前年同期に比べ増加していることを踏まえ、広報による相談機関窓口の周知等を図るほか、中央地区老人福祉総合エリア屋内温水プールの大規模改修に向けて実施設計を行うとともに、新複合化相談施設においてデジタル技術を活用した音声認識システムを導入し、相談支援体制の充実強化を図ってまいります。
 このほか、今年度末で店舗の賃貸借契約期間が満了する「あきた美彩館」について、望ましいアンテナショップのあり方の検討を行いながら、現地で営業を継続することにし、来年度以降の賃貸借契約を締結するため、債務負担行為を設定しております。
 一般会計補正額は、218億7,222万円であり、補正後の総額は、6,505億2,407万円となります。
 次に、単行議案の主なものについて申し上げます。
 「秋田県土地利用審査会の委員の任命について」は、委員の任期満了に伴う後任の任命について、議会の同意をお願いしようとするものであります。
 「職員の定年等に関する条例の一部を改正する条例案」は、地方公務員法の一部を改正する法律の施行により、職員の定年の六五歳への段階的引上げ等を行おうとするものであります。
 以上、提出議案の概要について申し上げました。よろしくご審議の上、ご可決賜りますようお願い申し上げます。