今議会におきましては、補正予算案及びその他の案件についてご審議をお願いするものでありますが、提出議案の説明に先立ち、諸般の報告を申し上げます。
 はじめに、国政の状況についてであります。
 安倍総理は、先月2日に発足した第4次安倍改造内閣において、地方自治経験者を7名初入閣させるなど、地方を重視する姿勢を打ち出しており、自ら「全員野球内閣」と命名して、この夏、全国に旋風を巻き起こした本県の金足農業高等学校野球部になぞらえて、「総合力」や「チームプレー」を前面に押し出し、5年目に入る地方創生の旗を更に高く掲げて取組を進めていくことにしております。
 その上で、景気の回復と東京一極集中の是正を両立させるため、地方において若者に魅力ある仕事づくりに取り組むとともに、少子高齢化が進行する中、我が国の社会保障制度を全世代型へと転換させることを最大のチャレンジと位置づけ、幼児教育・高等教育の無償化など、子どもたちや子育て世代への大胆な投資を行うことにしております。
 また、先月24日に召集された臨時国会の所信表明演説において、新しい国創りへの挑戦に向けた政策の柱の一つとして地方創生を取り上げ、若者が自らの意欲とアイデアで新しい農林水産業に挑戦できる農林水産新時代を切り拓くとともに、第4次産業革命のイノベーションを取り入れることで生産性の向上につなげていくため、大胆な改革を進め、深刻な人手不足に直面している中小・小規模事業者の生産性革命に向けた投資を力強く後押しすることなどを表明しております。
 さらに、本年、記録的な豪雨や暴風を伴った台風に加え、地震などの自然災害が相次いで発生し、全国各地に甚大な被害がもたらされていることを踏まえ、被災地の復旧・復興を加速させるとともに、防災・減災対策や国土強靱化のための対策を年内に取りまとめ、3年間で集中的に実施することを明らかにするなど、誰もが安心して暮らすことができる強靱な故郷づくりに向けて強い意気込みを示しております。
 このように、地方を重視する政府の方針は大いに歓迎するものでありますが、真の地方創生の実現に向けて、そうした方針を、地方の実情を踏まえた実効性のある政策として早急に具体化するとともに、国と地方が車の両輪となって、一層きめ細かく対策を講じていくことが重要であります。
 このため、今月15日には、私自ら、菅官房長官をはじめ、関係閣僚を訪問し、TPPの発効を間近に控え、大きな転換期を迎えている農林水産業の競争力強化や成長産業化、地方創生を実現していく上で欠くことのできない社会資本の整備、県民の安全・安心を支える防災・減災対策等の一層の推進を強く求めたほか、高等教育の無償化について、全国知事会文教環境常任委員会委員長として、必要な地方財源を国の責任において確保するとともに、制度設計に当たって地方の声にしっかりと耳を傾けるよう申入れを行ってまいりました。
 また、安倍総理は、先月15日の臨時閣議において、改めて、来年10月1日に消費税率を10パーセントに引き上げることを表明しており、年末にかけて、消費税率の引き上げによる影響を平準化するための経済対策や地方税制の見直しなども含め、政府予算案や税制改正大綱の決定に向けて調整が本格化することから、国の動向を注視しつつ、迅速かつ機動的な対応に努めてまいります。
 次に、金足農業高等学校野球部の県民栄誉章顕彰について申し上げます。
 県民に明るい希望と勇気を与えた同校野球部に対しては、県民栄誉章を授与することにしており、顕彰式として初めて一般参加者の募集を行ったところ、700人の定員に対して1万人を超える申込みがあるなど、県民の関心は依然として高く、また、その活躍ぶりを取り上げたメディアの報道を広告費に換算すると地域のPR効果が約32億円になるとの推計や、本県経済への波及効果が来年夏までに約104億円に上るとの試算が公表されるなど、同校野球部の活躍は、県民の心を一つにしただけでなく、様々な面で好影響をもたらしております。
 明日28日、秋田市文化会館で開催する顕彰式においては、改めて金農野球部の大いなる活躍に敬意を表するとともに、秋田が燃えた熱い夏を思い起こし、県民の皆様と共に、選手の皆さんに対して感謝の意を伝えたいと思います。
 次に、台湾との定期チャーター便の就航について申し上げます。
 本県と台湾とのチャーター便については、官民一体となった誘客プロモーションやトップセールスの実施等により、今年度は現時点で104便の運航が計画されているなど、着実に実績を伸ばしております。
 台湾は、本県がインバウンド誘客を推進する上での最大の市場として、これまでも、現地航空会社に対して増便を強く働きかけてきたところであり、今月22日には、副知事が遠東航空本社を訪問し、来年4月から本県初の定期チャーター便を運航することで覚書の締結に至ったほか、将来の定期便化も視野に入れながら、相互に協力していくことが確認されたところであります。
 年間を通じた定期チャーター便の運航は、本県のインバウンド誘客に大きな弾みがつくものであり、市町村や観光事業者などと一体となって受入態勢の一層の充実を図るとともに、安定した運航実績を積み重ねて、早期に定期便化を実現できるよう、アウトバウンド需要の喚起にも力を注いでまいります。
 次に、「来訪神 仮面・仮装の神々」のユネスコ無形文化遺産登録について申し上げます。
 本県の代表的な行事である「男鹿のナマハゲ」を含む我が国の10の伝統行事で構成される「来訪神 仮面・仮装の神々」については、政府がユネスコ無形文化遺産への登録を提案していたところ、先般、事前審査を行ったユネスコの評価機関から登録が適当である旨の勧告がありました。これを受けて、現在、モーリシャスで開かれている政府間委員会において登録が正式決定される見通しとなっております。
 このたびの登録により、その文化的な重要性が世界的に認められるとともに、「男鹿のナマハゲ」の国内外への発信力がこれまで以上に強化され、注目が更に高まるものと期待しているところであります。
 地元の皆様のこれまでのご努力に敬意を表するとともに、これを大きな励みにして、時代を超え、世代から世代へと受け継がれてきた「男鹿のナマハゲ」の継承・発展に一段とご尽力いただきたいと考えております。
 県としましても、このたびの文化遺産登録を、地域の活性化や観光振興を図る絶好の機会と捉えており、地域の伝統を守りつつ、男鹿市や関係団体と連携しながら、インバウンドを含む誘客の一層の拡大に取り組んでまいります。
 一方、世界遺産については、先般、政府から、今年度は自然遺産登録を目指す「奄美・沖縄」を推薦することが発表されました。
 本県の大湯環状列石と伊勢堂岱遺跡を含む「北海道・北東北の縄文遺跡群」が、去る7月に、今年度の世界文化遺産推薦候補に選定され、遺産登録への期待が高まっていただけに、今回、推薦が見送られることになったことは大変残念でありますが、この結果を、構成資産の更なる磨き上げを図るチャンスと受け止め、四道県や関係自治体と連携強化を図りながら、歩みを緩めることなく、世界遺産登録の早期実現に向けて取り組んでまいります。
 次に、「第39回全国豊かな海づくり大会・あきた大会」について申し上げます。
 先月28日、高知県で開催された全国豊かな海づくり大会に出席し、高知県知事から大会旗の引き継ぎを受けてまいりました。
 開催まで一年足らずとなった「あきた大会」では、「海づくり つながる未来 豊かな地域」のテーマのもと、本県の特色ある水産物や食文化、さらには農山漁村の魅力を広く発信するとともに、心のこもったおもてなしで全国からの参加者をお迎えできるよう、大会の成功に向けて、機運の一層の盛り上げを図りつつ、開催準備に万全を期してまいります。
 次に、農作物の作柄と販売状況について申し上げます。
 今年は、6月中旬の低温や八月下旬以降の日照不足など、稲作にとって厳しい生育条件となったことから、先月15日現在の作況指数は、県全体で96の「やや不良」となっております。県としましては、個々の状況に応じ、資金繰りなどの相談にきめ細かく対応するなど、農家の方々が意欲的に営農を継続できるようサポートしてまいります。
 一方、本年産の主食用米については、JA等の積極的な販路拡大により作付面積が増加し、予想収穫量は42万トンと前年を約2万トン上回ることが見込まれております。31年産については、需給動向や在庫量などを踏まえて、「生産の目安」を適切に設定するとともに、確実な需要を見極めるため、集荷業者において播種前に売り先を確保する「事前契約」の取組を拡大し、需要に応じた生産を推進してまいります。
 野菜や花きなどの園芸作物については、メガ団地の本格稼働により、作付面積が増加したことに加え、相次ぐ自然災害等により全国的に品薄状態が続き、販売単価が高めに推移していることから、「えだまめ」や「ねぎ」、「キク」など、主要品目の販売額が前年同期を上回っているほか、「しいたけ」の出荷も、販売三冠王の獲得に向けて概ね順調に推移しております。
 引き続き、気候変動や気象条件の変化に適応した栽培技術指導を徹底するとともに、実需者等のニーズやマーケットの動きを的確に捉えながら、県産農産物の更なる生産拡大と販売促進に努めてまいります。
 次に、マレーシア及びタイへの訪問について申し上げます。
 今月6日から11日にかけて、県内の市町村長をはじめ、商工団体の関係者や若手経営者などと共にマレーシアとタイを訪問してまいりました。
 マレーシアでは、県内企業のビジネスチャンスの創出・拡大に向けて、政府機関等を訪問し、貿易投資の状況等について情報交換を行ったほか、本県の若手経営者と現地の企業関係者との交流会を開催し、ビジネス交流の促進について意見交換を行ってまいりました。
 本県産業の将来を担う若手経営者にとっては、経済成長が著しい同国への投資や海外企業との取引等の実情に接して、ダイナミックに躍動を続けるマレーシア経済に大いに刺激を受けるとともに、グローバルな視野を広げる有益な機会になったものと思います。
 タイでは、これまで取り組んできたスポーツ交流を促進するため、バドミントン協会関係者と意見交換を行ったほか、本県への誘客拡大、秋田牛の認知度向上に向けて、現地の旅行エージェントやレストラン関係者等へのプロモーションを実施し、秋田の魅力ある観光資源と秋田牛を大いにPRしてまいりました。
 今後とも、世界経済を牽引するアセアン諸国の成長を取り込み、本県の活力向上につなげられるよう、観光はもとより、産業やスポーツ、教育など、幅広い分野での交流拡大に努めてまいります。
 次に、提出議案の主なものについて説明申し上げます。
 今回の補正予算案は、「第3期ふるさと秋田元気創造プラン」に基づく事業のほか、公共事業等について計上しております。
 第3期プランに基づく事業については、地域における医療・介護の充実を図るためがん診療連携拠点病院等や介護サービス事業者が行う施設設備の整備に対し助成するほか、農林漁業者等による6次産業化の取組拡大に必要な設備導入を支援してまいります。
 公共事業については、昨年及び今年の大雨被害に係る災害復旧事業に併せて行う予防対策等を計上したほか、整備効果の早期発現と年間工事量の平準化に資する前倒し発注を推進するため、債務負担行為を設定しております。
 一般会計補正額は、44億6,874万円であり、補正後の総額は、6,028億7,615万円となります。
 次に、単行議案の主なものについて申し上げます。
 「秋田県人事委員会の委員の選任について」、「秋田県教育委員会の委員の任命について」及び「秋田県公安委員会の委員の任命について」は、一部委員の任期満了に伴う後任の選任等について、議会の同意をお願いしようとするものであります。
 「一般職の職員の給与に関する条例等の一部を改正する条例案」は、人事委員会の勧告に鑑み、職員の給料月額、期末手当及び勤勉手当の額の改定等を行おうとするものであります。
 以上、提出議案の概要について申し上げました。よろしくご審議の上、ご可決賜りますようお願い申し上げます。