今議会におきましては、補正予算案及びその他の案件についてご審議をお願いするものでありますが、提出議案の説明に先立ち、諸般の報告を申し上げます。
 はじめに、最近発生している大規模自然災害についてであります。
 前線や台風第7号の影響により、6月28日から7月8日にかけて、西日本を中心に広い範囲で記録的な大雨に見舞われたほか、非常に強い勢力で今月4日に徳島県に上陸した台風第21号が、近畿地方を中心に猛烈な風や激しい雨、記録的な高潮をもたらしました。
 さらに、今月6日には最大震度7を観測した「平成30年北海道胆振東部地震」が発生するなど、全国で大規模自然災害が頻発しております。
 これらの災害により、多くの死傷者、行方不明者が出ているほか、住家の浸水や損壊、空港など基盤的なインフラの機能停止、大規模な停電、土砂崩れなど、各地に甚大な被害がもたらされております。
 秋田県民を代表し、犠牲となられた方々に対しまして、謹んで哀悼の意を表しますとともに、被災された皆さまに心よりお見舞い申し上げます。
  このような自然の脅威を目の当たりにしますと、我が国では、こうした災害は、いつ、どこででも起こり得るものであり、県政を預かる者として常に想定外の事態を念頭に置きながら、非常時への対応を心掛けておかなければならないと感じたところであります。
 本県においては、西日本の大雨で大きな被害を受けた八府県に対して災害見舞金を贈呈するとともに、とりわけ甚大な被害を受けた広島・愛媛両県に職員を派遣し、被災された方々への保健活動等に取り組んでいるほか、北海道胆振東部地震では、現地における救援・救助活動等に当たるため、直ちに職員を派遣したところであり、今後とも、被災地の1日も早い復旧に向けて、最大限の支援を行ってまいります。
 また、台風第21号により、県内でも、建物の損壊・破損のほか、収穫前のりんごやなし、もも等が落果するなどの被害が発生しており、今後、被害状況を把握しながら、被災農家に対する営農指導等に万全を期すなど、被災された方々をしっかりとサポートしてまいります。
 さて、今年は、秋田にとって長く記憶に残る熱い夏になりました。
 金足農業高等学校が第100回全国高等学校野球選手権記念大会で準優勝という輝かしい成績を収めました。まずは、選手と関係者の皆様に対して、心からお祝いと感謝を申し上げます。
 昨年の県大会決勝での敗戦を糧にして、厳しい練習を積み重ねてきた金足農業高校は、11年ぶり6回目となる夏の甲子園出場を果たすと、「雑草軍団」らしい徹底した全員野球を貫き、全国の強豪校、甲子園常連校を次々と撃破する快進撃を続け、県勢として、第1回大会以来、103年ぶりに駒を進めた、まさに世紀の決勝戦では、史上初となる2度目の春夏連覇を狙う大阪桐蔭高校に対して果敢に挑み、頂点には届かなかったものの、県勢最高成績に並ぶ準優勝という歴史的快挙を達成されました。
 全員が地元出身の金農ナインが、ゲームセットの瞬間まで諦めることなく、チーム一丸となって戦い続ける姿は秋田の誇りであり、公立高校・農業高校の星として、県民はもとより、全国の人々に勇気と感動を与え、日本中に「金農旋風」を巻き起こすとともに、何より秋田県民の心を一つにさせるものでありました。
 このたび、その功績をたたえ、同校野球部に県民栄誉章を贈り、広く顕彰することにいたしました。
 選手の皆さんには、この大会をはじめ、3年間の野球生活で得た、何ものにも代え難い経験を人生の宝物にして、それぞれの新たなステージで更に飛躍されることを願っております。
 改めて、金足農業高校野球部の皆さん、「準優勝おめでとう」、そして、「感動をありがとう」。
 また、7月30日から中国で開催された、「世界バドミントン選手権大会2018」の女子ダブルスにおいて、北都銀行バドミントン部の永原和可那さんと松本麻佑さんのペアが、日本勢として41年ぶりの優勝を飾りました。
 永原・松本ペアは、高い身長を生かした強烈なスマッシュとしぶとく拾い反撃に転じるレシーブを武器に、並み居る強敵を次々と打ち破り、決勝戦でも驚異的な粘りを発揮して、初めて出場した大会で見事優勝という偉業を成し遂げられたものであります。
 世界の舞台での永原・松本ペアの活躍は、「スポーツ立県あきた」を掲げる本県にとって大変喜ばしいことであり、多くの人々に夢と希望をもたらした功績は、県民ひとしく誇りとするものであります。
 このたびの功績をたたえ、お2人に県民栄誉章を贈り、広く顕彰することにいたしました。
 両選手はもとより、チーム関係者のたゆまぬご努力に心から敬意を表するとともに、2020年東京オリンピックに向けて、心・技・体に更に磨きをかけ、一層活躍されますことを期待しております。
 次に、国内外の経済情勢について申し上げます。
 先の通常国会において、関税はもとより、サービス、投資の自由化を進め、さらには知的財産や電子商取引など、幅広い分野で21世紀型のルールを構築するTPP11協定の締結が承認され、併せて関連法が成立し、早ければ年内にも協定の発効が見込まれております。
 また、日EU経済連携協定についても、来年3月までの発効を目指すとされ、さらに、中国やASEANなど16か国が参加する東アジア地域包括的経済連携の年内妥結に向けた交渉が進められているなど、巨大な自由貿易圏の誕生、拡大が間近に迫ってきております。
 一方で、多額の貿易赤字を抱えるアメリカは、鉄鋼などの輸入制限措置を発動し、EUやカナダ、メキシコなどから国際的な貿易ルールに違反しているとしてWTOに提訴されているほか、対米黒字が最大の中国との間では、相互に高関税の応酬を続けるなど、貿易摩擦が激化しており、多国間貿易体制への悪影響が懸念されております。
 そうした中、我が国は、先月から、アメリカとの新たな通商協議を開始したところであります。
 貿易赤字の削減に向けて保護主義的な通商政策を打ち出し、2国間交渉を重視するアメリカは、11月に議会の中間選挙を控えていることから、今後、具体的な成果を求めて市場開放圧力を強めてくることが予想され、TPP11交渉を主導してきた政府には、自由貿易の旗手として、自由で公正なルールに基づく経済圏を世界に広げていくというスタンスをしっかりと堅持し、毅然とした態度で協議に臨んでいただきたいと考えております。
 貿易と投資の自由化は、世界各国の経済成長と雇用の拡大を促進するものであり、とりわけ、世界の成長センターであるアジア太平洋地域の活力を取り込んでいくことは、緩やかな回復を続け、デフレから脱却しつつある日本経済の持続的な発展につながるものであります。
 我が国は人口減少社会に突入し、国内市場の拡大が見通しにくくなっており、地方においても経済発展を遂げていくためには、開かれた海外市場を視野に入れた経済活動を展開していくことが重要であり、本県でも、今年度からスタートした「第3期ふるさと秋田元気創造プラン」において、成長する東アジア・東南アジア等との経済交流の拡大や企業の海外展開支援、秋田の「食」の輸出拡大などに一層力を入れて取り組んでいくことにしております。
 農林水産物についても、秋田の強みを生かし、ターゲットを定めて輸出を促進することにしておりますが、一方で、輸入品の増加による影響が懸念されることから、国では、生産現場の体質強化や生産性の向上など、攻めの農林水産業への転換を進めるとともに、確実に再生産が可能となるよう経営安定対策の充実等を図ることにしております。
 このため、米や牛肉・豚肉、木材製品など、本県への影響が懸念される品目を中心に、「総合的なTPP等関連政策大綱」に掲げた施策の着実な実行を国に対し強く求めるとともに、激しさを増す産地間競争や構造的な労働力不足などに対応した対策を進め、農林水産業の成長産業化を図ってまいります。
 次に、イージス・アショアについて申し上げます。
 7月23日に防衛省の職員が本県を訪れ、先に、小野寺防衛大臣宛に提出した質問状に対する回答について説明があり、その際、候補地を防衛省・自衛隊所有の土地に限定することなく、他の国有地についても配備が可能かどうか検討することなどを要請し、文書による回答を求めていたところであります。
 これに対し、先月27日に防衛省の職員が再度来県し、新屋演習場が不適との結論に至る場合に備えて、県内やその周辺の国有地についても配備候補地として検討することや、警備態勢については、システムの運用に携わる要員を含めて200人程度を配置すること、定期旅客機をはじめとする航空機への影響については、電波照射により計器に異常を来すことはないと考えていること、また、様々な疑問に詳細かつ具体的に答えるためにも、地質、測量、電波環境等の各種調査に着手したい等の説明がありました。
 調査に関しては、一旦延期したものの、今回は国が自らの権限と責任のもとで行うという強い意思が感じられ、また、各種調査をしなければ住民へ十分な説明ができないことも事実であり、その実施は致し方ないと考えておりますが、私からは、市街地や海岸線に近接する新屋演習場において十分な保安距離や緩衝地帯が取れるかどうかについても調査し、これらが確保できない場合は代替措置を検討すること、物理的工事は住民の理解が得られない限り着手しないこと、防衛省・自衛隊所有の土地以外の国有地等についても幅広く調査を行うことなどについて強く申入れを行ったところであります。
 現段階においては、多くの地域住民の方々と同様、私自身も、住宅地に近い新屋演習場が配備候補地とされていることに対して懸念を抱いており、今後、国に対し、地元秋田市の意向を十分に踏まえながら、調査の内容や結果について、詳細な情報の提供と科学的根拠に基づいた具体的で合理的な説明を行うよう強く求めてまいります。
 次に、「北海道・北東北の縄文遺跡群」について申し上げます。
 7月に開催された国の文化審議会世界文化遺産部会において、鹿角市の大湯環状列石と北秋田市の伊勢堂岱遺跡を含む「北海道・北東北の縄文遺跡群」が、今年度の世界文化遺産の推薦候補に選定されました。
 これまでの官民一体となった気運の醸成や、文化審議会から示された課題に対する関係自治体の真摯な取組、さらには、国会議員連盟、各道県議員連盟の皆様のご協力による要望活動などが実を結んだものであり、世界遺産への登録に向けて大きく前進したものと考えております。
 しかしながら、今年度中のユネスコへの推薦には、再推薦を目指す奄美・沖縄の自然遺産候補との競合が見込まれることから、引き続き、4道県と関係機関が一層連携を強化して、国内推薦の獲得と世界遺産登録の早期実現に向けて取り組んでまいります。
 次に、平成30年度全国学力・学習状況調査について申し上げます。
 今年度の調査結果が7月に公表され、本県は、3年ぶりに行われた理科を含むすべての教科で、小・中学校ともに全国トップレベルの結果を得ることができました。
 調査は今回で11回目を数えますが、そのすべてにおいて良好な成績が維持されてきたのは、日頃から主体的に学習に臨む児童生徒の姿勢はもとより、学校と家庭・地域との連携、各学校における授業改善、本県独自の少人数学習など、長年積み上げてきた優れた教育環境によるものと考えております。
 こうした本県の教育施策や学校での取組については、多くの関係者が視察に訪れるなど、国内外から高く評価されているところであり、経済やスポーツなど、幅広い分野で本県と交流を行っているタイ王国では、秋田の探究型授業の導入・普及に向け、同国の教育省や自治体、大学等との間で共同研究を進めております。
 今後とも、各学校においては、子どもたちに寄り添ったきめ細かな教育活動を展開するとともに、家庭や地域と一体となって子どもたちを見守る体制の充実を図りながら、本県の未来を切り拓いていく人づくりに一層取り組んでまいります。
 次に、秋田新幹線のトンネル整備構想について申し上げます。
 昨年11月にJR東日本から構想が示されて以来、様々な機会を捉えて国や同社に対し、その具体化を働きかけてまいりました。
 そうした中、去る7月18日には、大仙市をはじめとする沿線自治体や商工団体、観光協会などからなる「秋田新幹線防災対策トンネル整備促進期成同盟会」が設立されたところであり、県としても、顧問として参画し、早期実現に向け、主導的な役割を果たしていくことにしております。
 先月9日には、同盟会の会長である大仙市長やオブザーバーとして参加している岩手県などと共に、JR東日本の深澤社長に対して早期の事業化を働きかけたほか、菅官房長官や石井国土交通大臣に対し、国の支援を要請したところ、石井大臣からは、国の支援スキームについて検討を行いたいとの意向が示されるなど、事業化に向けて一定の手応えを感じたところであります。
 引き続き、岩手県とも十分に連携を図りながら、市町村、経済団体等と一体となって要望活動を力強く展開してまいります。
 次に、台湾及び中国への訪問について申し上げます。
 先月20日から22日にかけて、県内の市長、町長をはじめ、商工団体等の関係者と共に台湾を、また、24日から25日にかけては、東北各県及び新潟県の知事などと共に、中国遼寧省の大連市を訪問してまいりました。
 台湾では、旅行エージェントなどを招いて開催した「観光交流懇談会」において、本県ならではの魅力的な観光資源を強くアピールするとともに、県産品の販路開拓を図るため、輸入商社やバイヤーなどを招いて食品商談会を開催し、本県が誇る日本酒や食について積極的にPRしたほか、航空会社では、この秋から冬にかけてのチャーター便の運航に対する謝意を伝えるとともに、来年度の継続的な運航と送客を要請したところ、各社からは前向きに検討したいとの意向が示されたところであります。
 今後、秋田の魅力を盛り込んだ季節毎の旅行商品づくりを働きかけるなど、台湾からの更なる誘客に引き続き取り組んでまいります。
 大連市では、東北観光推進機構主催のトップセールスに参加し、行政機関や観光関係団体などに対して、本県の観光地や食の魅力のPRを行ったほか、市政府を表敬訪問しております。
 大連市とは、5月の訪問の成果を踏まえ、先月上旬に市政府幹部などを本県に招いたほか、このたびの訪問では、旅行会社への支援やPR活動等における相互協力など、観光分野における交流を一層深めていくため、覚書を締結したところであり、これを契機として、重点的に取り組んでいる中国からの更なる観光誘客を加速化するとともに、産業や文化、教育など幅広い分野の交流拡大に努めてまいります。
 次に、「秋の大型観光キャンペーン」について申し上げます。
 本県では、今月1日から、JR東日本をはじめ、市町村や観光事業者の方々と共に「秋の さく、さく、あきた」をキャッチフレーズとして、大型観光キャンペーンを展開しております。
 このたびのキャンペーンでは、11月末までの3か月間にわたって、色鮮やかな紅葉や旬の味覚、野趣あふれる温泉など、秋田ならではの秋の魅力をPRするとともに、東京有楽町駅前広場でのオープニングイベントを皮切りに、首都圏等において、秋田犬を前面に押し出したプロモーションを実施することにしております。
 また、期間中は、県内では4年ぶりとなるSL列車を運行するほか、県内各地で開催される食や文化に関するイベントのPRを強化するなど、県外からの観光誘客の拡大を図ってまいります。
 次に、提出議案の主なものについて説明申し上げます。
 今回の補正予算案は、「第3期ふるさと秋田元気創造プラン」に基づく事業のほか、県有施設におけるコンクリートブロック塀の安全対策、公共事業等について計上しております。
 第3期プランに基づく事業については、地域特性に応じた、より効果的な少子化対策を推進するため、少子化に影響を与える要因を調査・分析するほか、世界的な航空機システムの電動化の動きを踏まえ、県内の企業と大学が連携して行う高性能モーターの開発環境の整備や、土木分野での利用を目的とした新たな木質部材の研究開発を支援してまいります。
 また、外国人旅行者の更なる誘客を図るため、隣県と連携して中国をターゲットとしたプロモーションを展開するほか、台湾からのチャーター便の利用促進を図るとともに、将来の定期便化を視野にアウトバウンド需要を喚起してまいります。
 そのほか、県・市連携文化施設については、平成33年度中の開館に向け、建設工事等に要する経費について継続費を設定しております。
 一般会計補正額は、13億9,901万円であり、補正後の総額は、5、984億741万円となります。
 次に、単行議案の主なものについて申し上げます。
 「秋田県公害審査会の委員の任命について」及び「秋田県収用委員会の委員の任命について」は、委員の任期満了に伴う後任の任命について、議会の同意をお願いしようとするものであります。
 「秋田県社会福祉会館条例の一部を改正する条例案」は、同会館の使用許可施設に合同研修室等を新たに加えようとするものであります。
 以上、提出議案の概要について申し上げました。よろしくご審議の上、ご可決賜りますようお願い申し上げます。