写真:能代産業廃棄物処理センター全景

撮影日:平成27年7月14日

 場内の最終処分場及び焼却施設の設置に係る知事の許可は平成16年7月までに全て取消しております。また、新たな処分場に係る許可申請等も一切受け付けておりません。

 最近、「処分場の設置許可はおりることになっている」等と語り、センター内の土地や施設の売却を持ちかける事案が発生しております。

 こうした事実は一切ありませんので、御注意ください。

事案の概要

 有限会社能代産業廃棄物処理センターは、昭和60年12月に中間処理業、最終処分業の許可を取得し(個人としては昭和55年7月に許可を取得)、以来、秋田県能代市内の約18万m2の敷地に、管理型最終処分場、安定型最終処分場及び中間処理施設(廃油等の焼却)を整備し事業を営んでいましたが、昭和62年頃から処分場敷地外で発ガン性の疑い等があるVOC(揮発性有機化合物)を含む汚水の滲出等が見られ、大きな環境問題となりました。
 平成10年12月に、場内に未処理の廃棄物や汚水を大量に保有したまま倒産したため、以降、県が事業者に代わって汚水処理等の維持管理を行っています。
 倒産時に残されていた廃棄物や汚水を県が場外搬出処理するなどしたことで当時の危機的な状況からは脱したものの、依然として敷地外での汚水の滲出が見られたことから、平成16年度から令和4年度末まで特定産業廃棄物に起因する支障の除去等に関する特別措置法(以下「産廃特措法」という。)の特定支障除去等事業実施計画(以下「実施計画」という。)に基づき、環境保全対策を講じてきました。
 県は、これからも、これまで行ってきた対策を基本とした環境保全対策を継続し、周辺地域に与える環境影響を防止するため、全力で取り組んでいくこととしています。

環境保全対策

産廃特措法に基づく実施計画

 産廃特措法に基づく実施計画について、平成17年1月に環境大臣の同意が得られたことから、同年2月から廃棄物処理法に基づく代執行により、実施計画に基づく特定支障除去等事業を行いました。
 その後、産廃特措法が平成34年度まで延長されたことに伴い、実施計画の変更について環境大臣と協議したところ、平成25年3月に同意が得られたことから、同年4月から廃棄物処理法に基づく代執行により、実施計画に基づく特定支障除去等事業を行っています。

水質の状況及び今後の対応

 平成10年度の会社倒産時に県が行った緊急対応やその後の維持管理によって、周辺の公共水域や地下水の汚染状況は徐々に改善されており、対策は一定の効果を上げています。
 平成16年度からは実施計画に基づき、遮水壁の設置、水処理施設の改良、場内雨水対策工事等の環境保全対策が講じられており、処分場敷地外の滲出水の水質は改善傾向を示しています。
 しかしながら、平成21年11月に環境基準項目に追加された1,4-ジオキサンは、遮水壁内外の地下水等から環境基準値を超えて検出されているため、今後も汚水処理等の維持管理を確実に継続し、その効果を環境モニタリングにより確認していくこととしています。

 現在、場内の汚染地下水や場外滲出水を水処理施設で処理し、処理水は能代市公共下水道に放流しています。
 将来にわたる長期的な水処理計画については、処理水の河川への直接放流を含めて地元住民の方々と協議を行っていくこととしています。

埋立ドラム缶の撤去

 平成17~18年度に実施した初期(個人経営時代)の処分場を対象とする調査の結果、多数の廃油入りのドラム缶が違法に埋立処分されていた事実が判明しました。(最終確認本数:3,258本)
 そのため、平成19年3月、元経営者個人に対して、廃油入りドラム缶等の撤去等の措置を命じたものの、完了期限までに履行されなかったため、同年7月から12月まで県が元経営者に代わって実施しました。              
 また、平成25~26年度に実施したボーリング調査の結果、No.2処分場において廃油入りドラム缶等が確認されたことから、掘削撤去工事を実施し、平成29年度に合計424本、令和2年度に合計651本のドラム缶を撤去するなど、地元住民等の不安解消に努めています。

事業者等への措置命令等

 事業者等に対しては、平成10年度の倒産以降、次のとおり措置命令を発出しています。 元経営者については、平成19年6月に措置命令違反で刑事告発し、平成22年1月に能代簡易裁判所が罰金50万円の略式命令を下しました。
 代執行費用の徴収を含め、今後も引き続き関係者の責任を追及していくこととしています。

環境保全対策部会

 環境保全対策の技術上の方向付けを行うため、平成12年6月に学識経験者で構成する「能代産業廃棄物処理センターに係る環境保全対策部会」を設置しています。

環境対策協議会

 平成10年の県による環境保全対策の開始以降、対策の進展に応じ、地元住民の方々等に対して説明会等を開催してきました。また、平成16年に、それまでの「浅内環境再生懇談会」を引き継ぎ、県、能代市、地元住民団体等からなる「能代産業廃棄物処理センター環境対策協議会」を設置し、その後の環境保全対策等について随時協議しています。

その他

(1)実施計画に基づく環境保全対策のうち、遮水壁の設置工事が平成19年度末までに完了したことなどから、平成20年4月1日付けでその内側の区域を廃棄物が地下にある土地に係る指定区域として指定しました。
 これにより、当該区域内の土地の形質の変更を制限し、それによって生じるおそれがある廃棄物の飛散や新たな公共の水域等の汚染をできる限り防止することとしています。

(2)土地等の仮登記権者が、有限会社能代産業廃棄物処理センター破産管財人を相手に、本登記を求める訴訟を提起しましたが、平成22年5月に請求は棄却されています。