秋田県戦没者追悼式・平和祈念式典における知事式辞について
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知事式辞について
令和7年10月24日(金)にあきた芸術劇場ミルハスにおいて、秋田県戦没者追悼式・平和祈念式典が執り行われました(秋田県戦没者追悼式・平和祈念式典について)。
式典における秋田県知事の「式辞」は次のとおりです。
式辞
本日、ここに、多くの戦没者の御遺族並びに御来賓の皆様をお迎えし、秋田県戦没者追悼式・平和祈念式典を挙行するにあたり、県民を代表して、本県戦没者の御霊に対し、謹んで哀悼の誠を捧げます。
本県の失われた三万四千名を超える命、その一人ひとりの人生に思いを馳せるたび、胸が締め付けられる思いです。また、愛する家族を失い、深い悲しみを抱えながらも、ひたすらに平和を願い、今日の豊かな社会の礎を築き上げてこられた御遺族の皆様の御労苦に、心より敬意を表します。
本年は終戦から80年という節目の年であります。80年という数字が注目されがちですが、私たちはこれまでのどの年も平和の尊さを決して軽んじることなく、毎年変わらぬ思いでこの日を迎えてまいりました。そして、この思いは、決して途切れることなく続いていくものです。
しかし、80年という歳月の中で、本県では全国で初めて、戦傷病者手帳保有者が一人もいなくなるなど、苛烈を極めた戦争を直接知る方々が年々少なくなっているのもまた、厳然たる事実です。
私たちは、その声を聞くことができる最後の世代であることを自覚し、これまで多くの方々が紡いできた平和への願いを深く胸に刻み、次の世代へ継承する重責を担っております。
「継承」とは単に記憶を語り継ぐことにとどまりません。いかにしてその記憶を未来の行動へと活かすのか、それが私たちの世代に課せられた問いであると考えます。
いずれ訪れる戦争体験者がいない未来においても、戦争の悲惨さや平和への願いを、これまで私たちが共有してきたように、次の世代が学び、心から共感できるよう、私たちは努力を重ねてまいります。
今も世界の各地では、争いが絶えず、我が国を取り巻く国際情勢は日々変化しております。このような時代であるからこそ、国家や民族、世代や立場を超えた対話、そこから生まれる平和を希求する気持ちの共有が、切に求められております。
平和は、日々の暮らしを守り築き上げるため、様々な立場や役割を担う人々の努力の上に成り立っていることも、決して忘れてはなりません。本県としても、我が国の平和の実現に向け、この地域として貢献できる取組を進めてまいる所存であります。
この式典に当たり、改めて先の大戦に思いをいたし、世界各地域と友好関係を築きながら、恒久平和の確立に貢献するとともに、現下の様々な課題を乗り越え、心豊かに安心して暮らすことができる寛容な社会を次の世代につなげていくため、県民の皆様と共に全力を尽くすことをお誓いいたします。
結びに、戦没者の御霊の安らかならんことを、そして御遺族の皆様の御平安と御多幸を心からお祈り申し上げ、式辞といたします。
令和7年10月24日
秋田県知事 鈴木健太

