林地開発許可制度について
2016年04月11日 | コンテンツ番号 745
森林所有者と森林の開発にかかわるみなさんへ
1ヘクタールを超えて森林を開発しようとする場合には、許可が必要です。
1ヘクタールを超える森林の開発をしようとする人は、この制度の手続きに従って、秋田県知事の許可を受けなければなりません。
森林の開発を計画するときには、どのような手続きが必要なのか、林地開発許可制度のあらましを紹介します。
許可申請が必要な森林の開発とは?
- 地域森林計画対象の民有林において、土や石を掘り出したり、林地以外に転用するなど土地の形質をかえる行為が、1ヘクタールを超えて開発する場合、許可申請の手続きが必要になります。
- 道路を開設する場合でも、有効幅員が3メートルを超え、かつ面積が1ヘクタールを超える場合は許可申請手続きが必要となります。
こんな場所も許可申請が必要です
- 森林所有者など数人で一地区の開発を行うとき、それぞれの人が開発する森林面積は1ヘクタール以下でも、全体の開発面積が1ヘクタールを超える場合。
- 何年にもわたって開発を行うとき、それぞれの年の開発面積が1ヘクタール以下でも、累積の開発面積が1ヘクタールを超える場合。
許可の基準
本制度では、開発行為によって森林の働きが損なわれる心配がないかどうかをチェックする4つの「許可の基準」が設けられています。いずれも私たちの日常生活に影響の大きい森林機能です。
開発をする人は、開発計画書の段階や、申請をする前に十分チェックしましょう。
なお、伐採、開発について別の規制が設けられている保安林や保安施設地区は、この制度の対象から除かれています。
国や都道府県による民有林の開発など、林地開発許可制度の対象にならない森林の開発についても、事前に県知事との連絡調整を行うなど、林地開発許可制度と同等の基準で適切な開発が行われることになっています。
森林の機能への影響と開発行為のバランスチェック
林地開発許可制度の「許可の基準」4つのチェックポイント
森林は私たちに多くの恩恵を与えてくれています。それは目に見えるものもあれば、目に見えないものまでさまざまです。林地開発許可制度の「許可の基準」はそうした森林の機能の最も基本的といえる部分で、私たちの日常生活を維持するには欠かせないものです。地域の社会や自然環境と調和のとれた林地開発を進めるためにも、十分に注意をはらい、必ずクリアーしなければならない基準です。
チェックポイント1 災害を防ぐ働きへの影響
森林には、樹木や樹根、森林の土壌などの一体的な働きで、土砂崩れや土砂の流出、雪崩などの災害の発注を防いだり、被害を軽減する働きがあります。
森林を開発することによって、周辺に土砂の流出や崩壊、その他の災害を発生させるおそれがないようにしなければいけません。
災害を防止するための工法や施設の設置などの措置が必要です。
チェックポイント2 水害を防ぐ働きへの影響
雨を吸収し蓄える森林の機能は、雨水が川に一度に集中することを防ぐのにも役立ちます。こうした働きによって森林は、水が原因となって起こる災害(水害)の発生を防止しています。
森林を開発することによって、流域内に水害を発生させるおそれがないようにしなければいけません。
洪水を調節するための施設の設置などの措置が必要です。
チェックポイント3 水源をかん養する働きへの影響
森林の土壌はスポンジのように雨を吸収し蓄え、時間をかけて、清らかな水を徐々に川に流し出します。こうした働きによって、森林は渇水を防ぐ緑のダムとしての役割を果たしています。
森林を開発することによって、地域の水の確保に支障をきたすおそれがないようにしなければいけません。
水量を確保したり、水質の悪化を防ぐための施設の設置などの措置が必要です。
チェックポイント4 日常生活の環境を守る働きへの影響
森林には、騒音を防いだり、強風による影響を軽減するなど、生活環境を守る働きがあります。また、森林レクリエーションの場を提供してくれたり美しい景観を保つなど、心に安らぎを与えてくれます。
森林を開発することによって、周辺の環境や景観が悪化しないようにしなければなりません。
開発目的ごとに残さなければいけない森林の割合や配置が決められています。
森林率と森林の配置
「乱開発を防ぐ2つの基準」
あなたの開発行為によって周辺環境が急変しないよう一定の森林を残してください。そのための最低限のルールが、森林率と森林の配置です。いくつかの開発目的を例に紹介します。なお、開発時に保安林が含まれる場合には、異なる基準が適用されることがあります。詳しくは県にお尋ねください。
まとまりのある森林を残しましょう →森林率
「森林の働き」や「美しい景観」などをできるだけ損なわず、開発地周辺の環境が急変しないように、開発の目的、周辺の環境や土地利用の状況に応じて、開発面積に対して残す森林の割合(=森林率)が定められています。
主な目的別森林率
ゴルフ場 50%以上
スキー場 60%以上
住宅団地 20%以上
別荘 60%以上
宿泊・レジャー施設 50%以上
工場 25%以上
開発地の周辺環境が急変しないように、森林の残し方に注意しましょう →森林の配置
森林はある程度まとまっていなければその機能を発揮できません。森林の配置の仕方は、開発の目的、規模によって異なります。森林の配置に関しては県の指導を必ず受けてください。
主な目的別の基本的な森林の配置について
ゴルフ場
- 各ホールの間とゴルフ場全体の周辺部に幅30m以上の森林が必要です。
スキー場
- スキー場全体の周辺部に幅30m以上の森林が必要です。
- Rース幅は50m以下として、コースを並列で配置する場合はコース間に森林を残してください。その場合、残された森林の中央付近は幅100m以上必要です。
- コースの上・下部のゲレンデは5ha以下とします。
- ゲレンデと駐車場との間にも幅30m以上の森林が必要です。
住宅団地
- 20ha以上の造成の場合、周辺部に幅30m以上の森林や緑地が必要です。20ha未満の場合でも、極力周辺部に森林や緑地を配置しましょう。
- 事業対象地が20haを大きく上回る場合は、20ha以下の造成地を複数配置するようにし、間に幅30m以上の森林や緑地が必要です。
別荘
- 周辺部に幅30m以上の森林が必要です。また、1区画の面積は1,000平方メートル以上とし、建物敷などの面積はその30%以下にしなければなりません。
宿泊・レジャー施設
- 周辺部に幅30m以上の森林が必要です。
- 建物敷の面積は、事業区域の面積の40%以下とし、複数の建物を設置する場合は極力分散させてください。
- ひとつのレジャー施設の面積は5ha以下とし、複数設置する場合は間に幅30m以上の森林が必要です。
工場
- 20ha以上の造成の場合、周辺部に幅30m以上の森林が必要です。20ha未満の場合でも、極力周辺部に森林を配置しましょう。
- 事業対象地が20haを大きく上回る場合は、20ha以下の造成地を複数配置するようにし、間に幅30m以上の森林が必要です。
土石等の採掘
- 周辺部に幅30m以上の森林が必要です。
- 採堀跡地は必要に応じて埋め戻しを行い、緑化・植栽が必要です。
- また、法面は可能な限り緑化し、小段や平坦部には必要に応じて客土などを行ってから植栽します。
ここに掲げた開発行為以外についても、その目的や社会的経済的必要性、周辺環境の状況、自然的条件になどに応じ、適切に森林率、森林の配置が行われているかどうかが、本許可制度の基準に基づき検討されます。
林地開発許可制度
開発計画の許可申請から完了まで
基本的な開発の計画から完了するまでの流れをフローチャートにまとめました。具体的な手続き方法、必要書類などは県またはその出先機関の「担当窓口」に問い合わせ下さい。
1 開発計画の検討・立案
2 申請書類の作成
申請書類:申請書、添付図書(位置図、区域図、開発計画書)など、県で定めたもの一式
3 申請書類の提出
県庁または出先機関の林地開発許可業務担当課が「担当窓口」になります。
4 審査と調査
森林の公益機能の4つのチェックポイントが重点的に検討されます。
5 結果の通知
審査、調査の結果。問題がなければ許可され、開発行為を行うことができます。
6 着工
注意事項
- 洪水調整池などの防災施設の設置を先行するなど、許可された計画条件にしたがって工事を進めましょう。
- 計画内容を変更する場合は、「担当窓口」に連絡して変更許可を受けましょう。
7 進行状況の調査
県の担当職員が計画書通り進められているか時々調査します。計画書通りでない場合は、工事の「中止や復旧命令」の監督処分を受けたり、罰則の対象とされます。
8 開発工事の完了
9 完了届けの提出
必要書類を揃え「担当窓口」へ速やかに提出します。
10 完了確認調査
県の担当職員が計画書通りに完了したかを確認します。問題がなければこれで林地開発許可制度に関する手続きは終わりです。
監督処分と罰則
違反行為、不正な手段で開発を行った場合、森林法に基づき開発行為の「中止や復旧命令」の監督処分を受け、場合によっては罰則が適用されます。
監督処分及び罰則の対象者
- 無許可で開発行為を行った者
- 許可条件に違反して開発行為を行った者
偽り、その他不正な方法で許可を受けて開発工事を行った者
太陽光発電施設の設置を目的とした開発行為に係る許可基準の運用細則について
林地開発許可に係る国からの通知について、「開発行為の許可基準の運用細則について(平成14年5月8日付け14林整治第25号林野庁長官通知)」が一部改正され、「太陽光発電施設の設置を目的とした開発行為の許可基準の運用細則について」(令和元年12月24日付け元林整治第686号林野庁長官通知)が定められました。
当該通知を受け、秋田県林地開発許可申請の手引きを改正しました。
今後、新たに計画される太陽光発電施設の設置を目的とした開発行為の審査等においては、当該通知の内容が反映されますので、太陽光発電施設に係る林地開発許可の申請を予定している方々はご留意ください。
ダウンロード
林地開発許可申請の手引(令和3年3月改訂) [1869KB]
太陽光発電施設の設置を目的とした開発行為の許可基準の運用の細則について[124KB]
国有林野の活用について
国有林野の活用については、こちらをご確認ください。
https://www.rinya.maff.go.jp/j/kokuyu_rinya/gaiyo/kasituke/kokuyuurinyanokatsuyou.html