1.保安林制度のはじまり

 日本の国土の7割が森林で占められており、森林は木材等の林産物を供給する経済的機能のほかに、水源かん養、生活環境の保全・形成等の公益的機能を有しています。

 これらの公益的機能の発揮により田畑や生活環境を守る役割を果たしている森林については、古くは水持山や水林、砂留山や砂防林、留山等と称して特別に保護していました。

 このような考え方を明治30年の森林法において制度化したのが保安林制度の始まりです。 

2.保安林制度の概要

 保安林制度は、水源のかん養、災害の防備、生活環境の保全、保健休養の場の提供、その他公共の目的を達成するために、特定の森林を保安林として指定し、その保全とその森林に適切な手入れをすることによって、森林のもつ保安機能を維持増進するための制度です。

主な保安林の種類

  1.  水源かん養保安林 :地域に降った雨を蓄え、洪水や渇水を緩和し、きれいな水をつくります。
  2.  土砂流出防備保安林:土地の表土の浸食および崩壊による土砂の流出を防止します。
  3.  土砂崩壊防備保安林:急斜面で土砂の崩壊を防ぎ、住宅、鉄道、道路などを守ります。
  4.  飛砂防備保安林  :海岸の砂地を森林で覆い、飛砂の発生や海岸からの飛砂の進入を防ぎます。
  5.  防風保安林    :風速を緩和して風害を防止します。
  6.  干害防備保安林  :農業用水等の水源地等に周辺にあり、水がれを防止します。
  7.  なだれ防止保安林 :なだれの発生の防止、または発生したなだれによる被害を防止します。
  8.  保健保安林    :気象条件の緩和や騒音の防止等による生活環境の保全や、森林レクリエーションの場を提供します。
  9.  風致保安林    :名所や旧跡の趣のある風景を保存します。

3.保安林における制限と優遇措置

制限

 保安林内の立木を伐採したり、土地の形質を変える行為をする場合は、必要最小限の制限を受けます。

  1. 立木の伐採     :保安林内で立木を伐採しようとする場合は、あらかじめ知事の許可を受けなければなりません。この場合、保安林指定された際の施業要件の範囲内で許可を受けることになります。
  2. 土地の形質の変更など:保安林内で、放牧や土石・根の採掘、開墾その他の土地の形質を変更する場合は、知事の許可を受けなければなりません。この場合、保安林内の働きに影響のない場合に許可されます。
  3. 植栽の義務     :立木を伐採したあと、苗木を植えなければ森林の状態に回復しない場合は、伐採跡地への植栽の義務が課せられています。

優遇措置

 税金の非課税等のほか、立木の維持に必要な融資を受けれることができます。

  1. 税金の非課税等:保安林の土地には、固定資産税、不動産取得税、特別土地保有税は、課税されません。 また、相続税、贈与税は伐採制限の内容に応じて相続税等の評価の際に、3~8割が控除されます。
  2. 特別の融資  :一定の条件を満たしている場合は、伐採が制限される立木の維持に必要な資金を長期で低利に(株)日本政策金融公庫から借りることができます。詳細は、お近くの公庫支店へお問合せください。

 

4.問い合わせ先

 農林水産部森林環境保全課森林管理チーム