松くい虫被害の防除方法について

2013年07月18日 | コンテンツ番号 822

松くい虫被害(松枯れ)の原因

 松枯れを起こす犯人は『マツノザイセンチュウ(以下「センチュウ」と略します。)』という1ミリにも満たない外国からやってきた生物で、足も羽もなく、自ら枯松から他の健康な松に移ることはできません。
 ではどうして伝染病のように拡がることができるのでしょうか、実はこのセンチュウを松から松へ運ぶ共犯者がいるのです。それが『マツノマダラカミキリ(以下「カミキリ」と略します。)』です。被害発生メカニズムは次のとおりです。

  • 6月下旬頃、枯松の中で成虫になったカミキリは、体に多数のセンチュウを付けて、枯松から健康な松に飛んでいきます。
  • カミキリ成虫は、健康な松の若枝を食べますが、その食傷からセンチュウが松の材内に侵入します。(感染)
  • センチュウは健康な松の樹体内で繁殖し、松を衰弱させます。このときは未だ葉の変色など外見上の変化は見られませんが、松の内部では樹脂滲出異常(松ヤニの出が弱くなる)が起きています。(発病)
  • 衰弱した松はカミキリの絶好の産卵対象木となり、産卵されてふ化したカミキリ幼虫は、松の枝や幹の樹皮の下の栄養のある部分を餌にして成長します。 一方、衰弱した松の中では気温の上昇とともに、センチュウがさらに増殖し、松ヤニが止まり、葉の変色(赤変)が起こり、松は完全に枯死します。
  • 翌春、枯松の中のカミキリは蛹になり、その際にセンチュウがそばに集まってきます。そして、カミキリが羽化して成虫になるとセンチュウはカミキリに乗り移り、カミキリは枯松から飛び出していきます。

このように「マツノザイセンチュウ」と「マツノマダラカミキリ」の巧妙な共生的関係により、松くい虫被害は高い感染力を持っています。

被害対策(防除方法)

 本県最大の森林病害虫被害となっているこの松くい虫被害から重要な松林を守るため、県では、被害発生メカニズムに対応した様々な方法で防除を行っています。

駆除(感染源除去)

 被害木の中にいるマツノマダラカミキリを飛び出す前に殺虫して、被害が広がらないようにする方法で、被害木を伐採し、材を破砕、薬剤によるくん蒸処理して、材の中の虫を殺します。

薬剤散布(予防散布)

 健康な松に予めマツノマダラカミキリの殺虫剤を撒いておき、飛んできたマツノマダラカミキリが薬剤のかかった枝を食べて死ぬことで、被害を予防する方法で、散布方法により、地上散布、無人ヘリ散布、有人ヘリ散布があります。

樹幹注入(予防)

 健康な松に予めマツノザイセンチュウの殺線虫剤を注入しておき、マツノザイセンチュウが感染しても増殖(発病)できないようにする方法。

被害材の移動制限

 被害マツ材の移動を禁止し、未被害地への拡大を防ぎます。

抵抗性松の開発

 マツノザイセンチュウが感染しても発病しにくい品種の松の開発に取り組んでいます。

樹種転換等

 重要な松林を守るため、その周辺部から予め感染源となる松を無くすことで、被害の感染経路を絶つ方法。

衛生伐(松林の健全化)

 手入れの不十分な松林では、成立本数が多く、被圧衰弱木等の産卵される恐れのある木があるため、適切な間引き及び被圧衰弱木等の除去を行い、松林の健全化を図ります。