「困難な問題を抱える女性への支援に関する法律」とは

困難な問題を抱える女性への支援に関する法律施行の経緯

 旧来、女性に対する福祉施策は、「売春防止法」における、主に売春をする恐れのある女性の「保護・更生」という枠組みが中心となっていました。
 しかし、時代の流れに伴う社会経済状況や家族関係、婚姻意識等の変化により、生活困窮、家庭環境、人身取引、ストーカー等、様々な面において女性の抱える問題が多様化・複雑化し、支援のニーズも変化する中にあって、このような枠組みでの女性に対する支援は制度的な限界が指摘され、女性支援制度について抜本的な見直しが求められる状況にありました。
 これを受け、令和6年4月に「困難な問題を抱える女性への支援に関する法律(困難女性支援法)」が施行され、女性に対する福祉施策について、旧来の枠組みを脱却し、困難な問題を抱える女性に対して、自立した暮らしの実現を主眼として、各種行政機関に加え民間団体等を含む関係機関が緊密に連携しながら福祉の増進を図り支援を推進することが初めて制度化されました。

 

「困難な問題を抱える女性」とは

 「困難な問題を抱える女性」は、困難女性支援法において、性的な被害、家庭の状況、地域社会との関係性その他の様々な事情により日常生活又は社会生活を円滑に営む上で困難な問題を抱える女性及びそのおそれのある女性と定義されています。 

秋田県困難な問題を抱える女性への支援等に関する基本計画について(計画より抜粋・一部改変)

趣旨

 上記のとおり、今般、困難女性支援法が制定された一方で、平成13年には「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律(「配偶者暴力防止法」)」が制定されておりますが、その中において、DV被害者は多くの場合女性であり、女性に対して配偶者等が暴力を加えることは、個人の尊厳を害し、男女平等の実現の妨げとなっていることがうたわれております。
 配偶者暴力防止法に基づき、具体的取組を進めていくため、県では、平成17年度に「秋田県配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する基本計画(DV防止基本計画)」を策定して以来、令和元年度の「第5期基本計画」に至るまで、DVを許さない社会の形成に向け関係機関との連携を図りながら施策を推進してきました。
 困難女性支援法、配偶者暴力防止法及びDV防止基本計画を踏まえ、本県では、この度、DV被害者を含む困難な問題を抱える女性の支援を行い、人権の擁護と男女平等の実現を図るとともに、関係機関の支援体制の強化や民間団体等との連携に力を入れ、困難な問題を抱える女性に寄り添い、自立を目指した支援を包括的に展開していくため、「秋田県困難な問題を抱える女性への支援等に関する基本計画」を策定しました。

計画の性格

 この計画は、困難女性支援法第8条及び配偶者暴力防止法第2条の3の規定に基づくとともに、国の示す「困難な問題を抱える女性への支援のための施策に関する基本的な方針」及び「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等のための施策に関する基本的な方針)」に即した、県における困難な問題を抱える女性への支援等のための施策の実施に関する基本計画として策定するものです。
 なお、DV被害者は、女性の方が多いものの性別を問わず存在しており、本県でも、男性のDV被害者に対する支援も重要であると考えていることから、DV被害者については、性別を問わずこの計画による支援の対象とします。
 女性のDV被害と男性のDV被害では、その背景や課題等が大きく異なる場合が多いと考えられることから、計画の推進に当たっては、画一的な考え方にとらわれることなく、DVの内容や性質に応じた適切な施策を実施していきます。

計画の期間

 本計画の期間は、令和7年度から令和11年度までの5年間とします。
 なお、計画の期間内においても、法や国の基本方針の見直し等により、新たに盛り込むべき事項等が生じた場合には、必要に応じて計画を見直すこととします。

計画推進にあたっての基本姿勢

 困難な問題を抱える女性等に対する支援を広い範囲で効果的に進めていくため、地域における支援の充実や民間団体等との連携を図るほか、困難な問題を抱える女性等に関する広報・普及啓発に力を入れていきます。
 また、効率的に施策を推進していくため、制度の弾力的な運用や創意工夫に最大限取り組んでいきます。

計画の特色

 この計画では、複雑化・多様化した困難な問題を抱える女性や、DV被害者に対して、その状況に応じたきめ細かな対応を行うために、アンケート調査の実施等により広く現状と課題を捉え、新たな施策を盛り込むとともに、既存の施策についてもその内容を見直し、より広く柔軟な支援を実施するものとしています。

計画推進にあたっての役割分担

 県は、本計画に沿って施策を実施しますが、市町村は、住民に最も身近な自治体として、支援の始まりとなる相談機能を果たしながら、幅広い部署による主体的な支援を担うこととなります。
 また、民間団体には、その特色である柔軟性や、活動の中で蓄積された知見や経験等を活かし、行政機関との連携の中で、相互に補完しあいながら支援を実施していくことを求めるものです。
 ほか、県民及び職務関係者には、計画の趣旨を踏まえ、困難な問題を抱える女性及びDV被害に関する関心と理解を深めながら、行政との連携による取組を期待します。

計画の進行管理

 県は、困難な問題を抱える女性への支援に関する法律第15条に基づく支援調整会議及び配偶者暴力防止法第5条の2に基づく関係機関等により構成される協議会(以下、「支援調整会議」という。)を兼ねて設置し、本計画の進捗状況や取組状況について検討し、計画の進行管理に努めます。