H20年度防潮水門の操作管理による水質改善試験結果について
コンテンツ番号:4165
更新日:
防潮水門の高度管理による八郎湖の水質改善対策の参考とするため、管理水位を通常よりも低く管理することで、水質が良好な融雪水を取り込み易くし、流動化を促進させることで、水質改善効果が確認できるか実地検証した。
1 実施期間
H20年度は、平成21年3月12日から平成21年3月27日までにのべ5日間実施。原則として、放流は日中操作(午前10時から午後3時)とした。
2 実施内容
H18年度は、八郎湖の非かんがい期の管理水位(TP+0.5m)を試験水位(TP+0.3m)まで下げることを狙ったが、外水位の影響で試験水位まで下げることが出来なかった。H20年度は、防潮水門外水位が24時間連続でこの試験水位を下回る期間を試験日として、この間は放流ゲートを試験水位に下げるとともに、洪水放流によって八郎湖水位を試験水位に保持することとした。
3 実施日及び放流量
のべ5日間の総放流量は、3,022万トンであった。
実施日 | 放流量(万トン) |
---|---|
3月12日(9:50~15:10) |
869 |
3月13日(10:00~15:10) |
461 |
3月25日(10:00~17:10) |
953 |
3月26日(13:30~15:20) |
87 |
3月27日(10:00~15:10) |
652 |
4 水質結果
水質調査は、試験日を挟む短い区間で測定することが理想だが、採水のために船を利用するため、天候に恵まれないこともあり、試験前の3月3日と試験中の3月13日、及び試験後の3月27日に実施。
試験期間を含めた3月の全放流量は15,074万トン、洪水放流は22日間に及び、河川からの流入が相当量あったことが推察できる。
八郎湖を管理水位に保つため、ほぼ毎日洪水放流が繰り返されている中で、水質調査を実施しているため、試験による水質改善効果を評価するまでには至らなかった。
大潟橋(0・1m平均) | 湖心(0・3・5m平均) | 防潮水門(0・1m平均) | |
---|---|---|---|
COD(mg/L) | 4.9 | 4.2 | 4.9 |
4.5 | 4.8 | 4.8 | |
全窒素(mg/L) | 0.94 | 0.67 | 0.77 |
0.57 | 0.43 | 0.38 | |
全リン(mg/L) | 0.061 | 0.058 | 0.077 |
0.068 | 0.060 | 0.054 |
※上段実施前、下段実施後。着色は実施後が低いところ。
5 今後の方針
これまでの試験は、農業用水の確保が前提となるかんがい期を避け、非かんがい期の中でも管理水位にあまり影響を与えず、一時的に水位を下げても融雪水によって比較的容易に水位回復が期待できる3月に実施してきた。
しかし、3月は年間を通して洪水放流の多い時期であり、比較的湖水が流動している時期とも考えられ、その中で数日限定の試験を行っても、その効果がはっきりしなかったのではないかと推察される。
そもそも、年間を通じて八郎湖水位を一定(概ね、かんがい期はTP+1.0m、非かんがい期はTP+0.5m)に管理することが湖水の流動にどう影響しているのか明かではないことから、流動実態の把握を含め、防潮水門の操作管理による水質改善手法について検討する必要がある。