秋田県公文書館では、旧秋田県立秋田図書館以来、秋田藩の藩政史料の翻刻・刊行事業を行っており、これまで『国典類抄』『御亀鑑』『渋江和光日記』『宇都宮孟綱日記』『岡本元朝日記』を刊行してきました。これに続くのが、寛政から弘化にかけて教学関係の役職を中心に多彩な役職を歴任し、最終的には明徳館の祭酒(学長)を勤めた野上陳令による約50年におよぶ日記です。
 
 令和7年3月刊行の『野上陳令日記』第3巻には、文政4年(1821)正月から天保4年(1833)12月までの記録として「町方御用留書」と「御学館文学日記」を収録しています。「町方御用留書」は前巻からの継続ですが、「御学館文学日記」は12年にわたり記録された藩校三役としての勤中日記であり、秋田藩の教学制度及び藩校運営の概要を知る上で欠かすことができない基本的文献です。13年ぶりに藩校に本格的に復帰した陳令は49才になり、藩校の格式を重んじる儒者としての言動が随所に見られるようになります。
円熟期を迎え、藩政と教学の両面において影響力を強く持った役人の記録としてこの日記を読んでいただければ、陳令の立ち位置から当時の秋田藩が見えてくるはずです。
 
『野上陳令日記』第3巻は、当館や県内図書館、各都道府県の公文書館・都道府県図書館等で御覧いただけます。
また、頒布もしております(税込\4,400)。ご注文は秋田活版印刷株式会社まで。(☎018-888-3500 https://www.kappan.co.jp/shop/nogami/