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(※以下、読み方が難しい語句や固有名詞の後に、読み仮名を記載している箇所があります。)

秋田から世界へ アイデアと可能性を信じて「まずはやってみる」

 秋田発のスタートアップ(革新的なアイデアで新たなビジネスモデルを作り出して急拡大を目指していくような企業のこと)を牽引する若き経営者お二人と、佐竹知事との座談会を行いました。創業の場、挑戦するステージとしての秋田の魅力とその可能性や、変化が急速に進む今「秋田だからこそできること」に着目し、成長を目指す意気込みについて語ります。

秋田発スタートアップを牽引する若き経営者たち

知事:毎年恒例の新春特別対談、2025年はより一層、新しい世代に秋田を盛り上げてもらおうという期待を込めてお二人にお越しいただきました。

寺田:お招きいただき光栄です。

菅原:身に余る思いです。

知事:私はお二人をよく存じ上げていますが、読者である県民の方々に向けて簡単に自己紹介をお願いします。

寺田:寺田 耕也(てらだ こうや)と申します。今年45歳になります。20年ほど前に東京から秋田市へ移住し、2013年に株式会社Local Power(ローカルパワー)を設立しました。現在は除菌消臭水iPOSHをはじめとしたプロダクト事業、時間貸し体育館などのシェアリング事業、企業の課題をITで解決するDX事業を三本柱にビジネスを展開しています。

菅原:菅原 魁人(すがわら かいと)と申します。私は生まれも育ちも秋田で、秋田大学在学時に介護保険適用外の高齢者支援サービス・アシスタを開始、2020年に法人化しました。社名は株式会社LibertyGate(リバティーゲート)です。主力事業のアシスタは、高齢者の日常における小さな困りごとを登録メンバーが解決するサービスです。

秋田で見つけた可能性

知事:お二人はどうして秋田で起業しようと思ったのですか?

寺田:人との縁がある秋田で何かしたいという思いがあり、この場所で起業することにデメリットを感じなかったからです。むしろ競合が少ないので新しい試みはすぐに注目してもらえますし、県やメディアも後押ししてくれます。話題が膨大な情報の中にすぐに埋もれてしまう都会よりも、秋田の方が起業するには向いていると思いました。

菅原:秋田には少子高齢化をはじめとした課題が多い分、ビジネスチャンスも大きいはずだと思ったからです。事業には地元で培ったネットワークも生かせますし、そして何より自分は早く事業を始めたかったので、別の場所で一から準備というのは考えられませんでした。

知事:寺田さんはプロダクト事業からスタートしていますが、秋田のマーケットの小ささは気になりませんでしたか?

寺田:私は起業した当初から、秋田はモノを作る場所、マーケットは外に作るものと考えてきました。今はインターネットで世界中とやりとりできますし、また外では秋田の企業というのも意外と売りになるのではと思いました。

知事:マーケットは外に。いい着眼点です。とはいえ売り込みには相当苦労したのでは?

寺田:それがどこに営業に行っても「遠いところからわざわざ」と丁寧に応対してもらえました。それに、県外在住の秋田出身者や秋田にゆかりのある人たちも売り込みに協力してくれました。おかげでマーケットは年を追うごとに広がり、今や弊社製品の9割が県外で売れています。

知事:秋田の人には同胞意識がありますからね。それにしても売り先の9割が県外とは驚きです。菅原さんは学生のときに起業していますが、周りにも起業を志す人はいましたか?

菅原:ほとんどいなかったと思います。起業することを父は応援してくれたのですが、母は不安がっていました。「起業なんて大丈夫?普通に就職活動をしたほうがいいんじゃない?」と。学生の起業は、他県ではどんどん出てきているんですけどね。

知事:そうですか。しかし菅原さんも着眼点が素晴らしい。我々くらいの年齢になると、業者に頼むまでもないようなことだけど自分ではできない、そういうことが日々増えていくんです。今後さらに高齢化が進展する社会で、菅原さんのサービスが求められるシーンは増える一方だと思います。

菅原:高齢者になることに対するネガティブなイメージを、ポジティブに変えていくのが自分の使命だと思っています。今後は高齢者の困りごとを解決するだけでなく、困りごとそのものがなくなる仕組みづくりにも取り組んでいきたいと思っています。

転換期を切り開くビジネスと起業支援の充実

知事:世の中は今、大転換期を迎えています。海外ではスタートアップがあらゆる領域でイノベーションを起こしていますし、日本でもお二人のようにスピード感をもってアイデアを形にしていく人が、これからの時代をつくっていくと思います。

寺田:県の起業やスタートアップを支援する施策が、どんどん充実しているのがうれしいです。AKISTA(アキスタ)認定スタートアップ(今後の成長が期待でき、県内スタートアップのロールモデルになる企業を、県が認定。認定企業は県などが運営するスタートアップ支援組織「AKISTAプラットフォーム」から、成長目標達成に向けた支援を集中的に受けることができる。)に選ばれたことも励みになっています。

菅原:弊社も認定していただきましたが、事業計画のブラッシュアップや資金・人材調達に向けた伴走支援はとてもありがたいです。

知事:では、お二人の2025年の目標を教えてください。

菅原:現在12県、40カ所にあるアシスタのサービス拠点をさらに広げていきたいです。またシニア市場に参入したい企業やシニア用の商品開発を行う企業に向けて、ニーズの調査から実証実験までを提案するコンサルティング事業も強化していきたいです。

寺田:これまでは秋田で作った製品を全国へ届けることに注力してきました。これからはシェアリング事業などで培ったビジネスモデルを、県外に売り込むことに力を入れていきたいです。秋田を実証実験の場として、新しいものがどんどん出てくる地域にして、人とお金が秋田に集まる流れを創出できればと思っています。

秋田発・次世代の起業家たちへ

知事:私はお二人のような起業家がもっともっと秋田に増えてほしいと思うので、起業やスタートアップを目指す後進たちへメッセージを送ってあげてください。

菅原:私がそうだったように、事業は完璧に準備をしてから始めるのが正しいとは限りません。勉強や知識のアップデートはもちろん必要ですが、自分自身が最も学びを得られ、成長できるのは、実際に行動して試行錯誤する過程です。失敗も経験として積み重ねていけば成長の糧になります。自分で形にしたいもの、ビジネスのアイデアをもっているのであれば、できるだけ早くチャレンジしてください。

寺田:秋田だからできないことより、秋田だからできることがたくさんあります。応援してくれる人もたくさんいますし、県の支援施策も充実しています。私は何もない、何もできないところから事業を始めましたが、周りの助けを借りながらここまで来ました。アクセス面でも東京まで1時間、秋田という場所が事業の足を引っ張ることはありません。私は秋田で1番になれたら、全国でも1番になれると思っています。自分のアイデアと可能性を信じて、ぜひ一緒にチャレンジしていきましょう。

知事:変化が急速に進む昨今の情勢では、すべてを完璧に見通せていなくても「まずやってみる」という姿勢が大切です。県の起業、スタートアップ支援事業も、まず行動を起こす人を応援します。現代の社会には多様なニーズが埋もれています。起業を志す人にとってはチャンスが大きい時代とも言えます。2025年は寺田さん、菅原さんに続く起業家が秋田から次々と現れ、自身の成功をつかむとともに、これからの秋田をますます明るくしてくれることを心から願います。

AKISTAについて詳しくはA-STAの特設ページ(A-STA For ”STARTUP”)をご覧ください。

お問い合わせ先

 AKISTAに関するご質問は県商業貿易課(018-860-2244)へ

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