例年になく雪の少ない冬が遠ざかり春の日射しが感じられるとともに、新しい年度がスタートし、街には初々しい新入生や真新しいスーツをまとった入社1年目の新社会人の姿が目に付くようになりました。
 今年の年度初めの4月1日は月曜日で、大変に区切りがよいスタートになりました。
 一方で新年度の社会経済環境を展望すると、日銀がゼロ金利政策に終止符をうったものの金融緩和政策の転換までには至らず、依然として円安傾向が続き、また株式市場は半導体や先端技術産業などの成長分野の伸張を見越して、目下のところ株高基調となる反面、円安や不安定な国際経済環境などから、燃料や各種原材料価格の高騰が続いております。
 そのようななかで、各種の卸小売り物価の上昇に、公共料金や社会保険料の値上がりも加わることにより、一部大企業では大幅な賃金ベースの上昇はあるものの、全体的には近年の賃上げ基調も各種の物価上昇には追いつけない状況にあります。
 また、我が国全体の人口減少と人口構成の高齢化に伴い、労働力不足が叫ばれるなか、新年度から働き方改革がスタートし、様々な方面に影響が及んでいます。
 特に、基幹物流の中心となるトラック運送業界では、従来からの運転手不足に加え、近年のネット通販の急進展による小口貨物の大幅増加もあり、深刻な状況になっています。
 また、地域公共交通を支えるバス交通においても、自家用車の普及に伴い経営環境が悪化するなか、運転手不足により、過疎化する地方のみならず大都市部においても路線廃止や減便などの影響が出始めています。
 また、高度な電子機器や情報系、先端技術分野など一部の高付加価値産業での高額な賃金を支払える企業に人材が集中する一方で、高賃金が出せない既存の商業、飲食、宿泊、サービス業分野での人手不足が深刻になっています。
 トラック運送業界における、鉄道や海運の活用などのモーダルシフト、公共交通網の広域再編、ライドシェア解禁など、様々な課題解決に向けた取り組みが始まっていますが、事はそう簡単にはいきません。
 従来からの農林水産業や建設業、介護医療分野での人手不足が全ての分野に広がり、果ては公務員や地方議員のなり手も不足するという事態も始まっています。
 ドラスティックな変革を嫌う日本の政治や社会意識のままでは先細りするばかりです。
 人口減少が避けられないなか、総論賛成各論反対の末の現状維持優先の保護政策的な姿勢を捨て、真に必要な分野への施策・事業の集中化、M&Aなど中小企業の集約化の促進強化、AIやロボットの広範な活用、さらには地方中心都市のコンパクト化など、各セクターの利害を超えて、少しでも前進するよう本質を踏まえた打開策を議論する時代に入ったことを認識すべき時期ではないでしょうか。
 

知事コラム「佐竹敬久のさぁ、やるど!」のバックナンバーはこちらです。

このページに関するお問い合わせ

総務部 広報広聴課
TEL:018-860-1076
FAX:018-860-1072
E-mail:joukai@pref.akta.lg.jp