画像:広報紙あきたびじょん202年1・2月号 特集 新春特別対談 観光業の未来をひらく 楽しむからこそ放てる輝き

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(※ 以下、固有名詞の後ろに、読み仮名を記載している箇所があります。)

 鹿角市大湯地区で創業150年以上の歴史を持つ老舗旅館「龍門亭 千葉旅館」の次代七代目である黒川 花子さんが、佐竹知事と対談を行いました。
 黒川さんは、現六代目社長・千葉 潤一さんの長女。自身は、2児の母でもあります。令和4年度県主催の「観光産業における女性活躍に向けた意見交換会」へ参加し、自身の経歴や次期経営者としての視点から「職場環境」「女性活躍」について発言を行うなど、鹿角エリアの観光業界を牽引(けんいん)する女性リーダーの1人です。

女性が輝ける場所を目指して

知事:「千葉旅館」に初めて行ったのは50年くらい前でした。とにかく庭が美しく、料理は手が込んでおいしく量もたっぷりで、もちろんお湯も良い、、、昔からあるすごく良い旅館という印象で、それから機会があるたびにお邪魔しています。

黒川:ありがとうございます。庭は当館のシンボルでもありますので、お褒めいただけると大変うれしいです。四季折々の景色を楽しめるので、お客さまはもちろん、従業員にとっても癒しになりますね。

知事:女将さんやスタッフさんのおもてなしも素晴らしいんですよ。宿泊業をはじめとする観光業は、女性が活躍しているイメージですね。

黒川:はい、先日参加した県の「女性が輝く職場づくりプロジェクト」の講師の方も話していましたが、女性の社会進出が推進される以前から、観光業は女性が活躍している分野だと思います。女性ならではの気配りが生きる場なのかもしれませんね。ただ、もっと女性の進出を後押しするには、もう少し支援や理解が必要だと感じています。観光業が忙しい土日祝日でも子供を預けられる場所やサポートがあれば、心置きなく働けるようになるのではないでしょうか。

知事:千葉旅館では、女性が働きやすいように、どんな取り組みをされていますか。

黒川:あきたびキャンペーンなどの支援のおかげで、一昨年から観光業全体でお客さまの活発な流れが見られました。ありがたい一方で、目が回るような忙しさに従業員の体力が追いつかないのでは、と心配になったんです。そこで、思い切って「休館日」を設けることにしました。旅館自体が休みなので急な呼び出しもありませんし、心置きなくお休みできる状況をつくることで従業員の心身の健康を図っています。
 また、出産や孫の育児サポートなど、従業員それぞれにさまざまな事情は生まれてくるものです。当館では、従業員一人ひとりの人生の節目に寄り添って、必要な時はお休みできるよう、できるだけのサポートをしています。

宿泊地から地域を盛り上げる

知事:インバウンド等で、海外のお客さまは増えましたか。

黒川:はい、海外の方にたくさんお越しいただき、今年は2泊3泊と連泊される団体さまも見られました。鹿角周辺の観光の拠点として当館をお選びいただいたようです。インバウンドの流れや利便性も考慮して、県の補助事業で和室を和洋室に改修したことも大きかったと思います。

知事:千葉旅館ではどのような対応をしていますか。

黒川:宗教やそれぞれのバックグラウンドにより、「ビーガン派」や「特定の肉は食べない」など各々の食スタイルを持っておられます。せっかく海外から足を運んでくださったのですから、できるだけお客さまの意思を尊重したいと思い、意向に沿った形でお料理をお出ししています。

知事:そういうこまやかな配慮こそが、日本旅館の魅力なんですよね。海外の人は日本ならではのおもてなしや料理、伝統ある雰囲気を体験したくて、あえて日本旅館を選ぶのだと思います。私も旅館の雰囲気が大好きで、浴衣に着替えてひとまず部屋でくつろぐ瞬間がたまりません。ホテルは立地や価格で選ぶことが多いですが、旅館は料理や雰囲気、思い出で選ぶことが多いでしょう。今や旅館は単なる宿泊先ではなく、旅館そのものが旅の目的になる時代ですよね。

黒川:はい。そして当館だけでなく鹿角の魅力もたくさん知っていただきたいです。私は地元に戻ってきてから初めて鹿角の自然の素晴らしさに気が付いて、そこから大ファンなんです。その魅力をお客さまにも知ってもらいたくて、自然にPRしてしまうんですね。そうやって、まずは地域の方々が地元のファンになっていけば、地元愛を発信する人が増え、お客さまを呼び込むことにつながるのだと思います。

笑顔で楽しむ姿を見せていきたい

知事:令和6年はどんな年にされたいですか。

黒川:旅館の経営や仕事って、「何か大変そう」というイメージがありますよね。でも、今後女性が活躍する社会を目指していく中で、旅館業に限らずリーダー的な女性が楽しく生き生きと働いている姿が見られれば、その姿に憧れを抱く若手が増えていくと思うんです。だから、とにかく何においても私自身が一番楽しむこと、それを大切にしています。自分の仕事に楽しさや喜びを感じられる人が増えることを願って、まずは自分から在り方を探求していきます。

知事:楽しそうな黒川さんに憧れる若手がきっと育つと思います。海外のホテルでは女性がリーダーというのも珍しくありません。夫婦や家族間で旅先を決める際は女性の意見が強いですから(笑)、サービスを提供する側も女性の方がニーズをくみ取れるのでしょう。ぜひ、明るい女性リーダーとして、今後も頑張ってください。

備考

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株式会社千葉旅館(龍門亭 千葉旅館)

 明治2年創業、日本庭園の四季景観や職人のこだわり料理、開湯800年の良質な温泉が評判。

 鹿角市十和田大湯字上ノ湯1-38-1
 TEL:0186-37-2211

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