「常識」という言葉はよく使われる言葉で、「あの人は常識が無い」とか、「そんなこと常識だよ」など、人の言動を批判、評価する際に多用されます。
 辞書によると、常識とは「普通、一般人が持ち、また持っているべき知識。専門的知識でない一般的知識とともに理解力・判断力・思慮分別などを含む(広辞苑)」とあります。
 しかし、この常識というものは単一でなく、国や地域、宗教、その人の属する社会組織などによって様々に異なります。
 要は自分の常識を絶対的な基準にすることはできないということになります。
 狭い地域社会の中では、その地域の古くからの常識というものが通じますが、広く社会に接すると、自分の常識とはかけ離れた「常識」に出くわすことが間々あります。
 全国知事会の会議には全国47都道府県の知事さん方が集まります。
 何年か前に、九州のある知事さんから、「今年の秋田は大雪で大変ですね。」と言われ、私は「大雪で除雪も大変ですが、排雪がさらに大変なんです。」と答えたら、その知事さんが「うちの方は雪は降らないが、度々の台風の水害であちこち泥で埋まり、その泥を排除するのが大変なんです。でも雪は春には溶けて水になるので周辺の水田に捨てるんではないんですか。」ということです。
 除雪した雪には様々な物が混じり込んでいて、水田に捨てたら春には水田は泥や様々な汚れ物で使い物にならないという概念はなかったようです。
 これが、海外に行ったらさらに「常識」は変わって来ます。
 ある国では、我々がよくする手招きが、極めて失礼な行為とされ白い目で見られることがあります。
 また、科学技術の急激な進歩のなかで、旧来の常識は覆されてきました。
 最初の頃は携帯電話と言っており、今でも携帯電話とは表現していますが、スマホは先端的な情報技術の集積した情報端末で、実は旧来の音声電話の機能部分はスマホの全機能の1%にも満たないのです。
 グローバル化の進展や科学技術の進歩、世界中の様々な情報に触れることによる個々人の価値観の多様化のなかで、「常識」も多様化し、特に若者の間では狭い地域社会の常識は通じなくなり、それを強要すれば反発を食らうようになりました。
 女性が活発に活動したり、組織内で若い女性が強い意見を言うと「女のくせに」と言われたり、また派手な服装で遊び歩くと、あそこの娘はなんだかんだ、と世間話にされることが間々あるようですが、どこが悪いのでしょうか。
 本県の女性に対する寛容度は全国最下位という調査があるなかで、地域の狭い常識を捨て去ることも、秋田の将来に明るさを取り戻すひとつでもあるのではと思う次第です。
 

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