3年以上にわたり世界中が苦しめられた新型コロナウィルス感染症は、感染症法上の位置付けが、厳しい規制を伴う2類から、インフルエンザと同様の5類へと引き下げられたものの、未だに完全には終息しておらず、夏に入り、やや増加傾向を見せています。
 しかし重しが外され、5月のゴールデンウィーク以降、マスク姿の人も減り、徐々に日常を取り戻してきました。
 特に、大勢の観客が密集する全国各地の夏祭りが4年ぶりに通常の姿で開催され、本県を代表する竿燈祭りも、炎天下で「どっこいしょ!どっこいしょ!」という威勢の良いかけ声のもと開催され、海外を含め多くの観光客を魅了しました。
 しかし、竿燈祭りの2週間前に、本県は未曾有の大雨に見舞われ甚大な被害が生じました。
 あらためて亡くなられた方のご冥福を心からお祈り申し上げるとともに、被災された方々にお見舞申し上げます。
 特に秋田市においては、一部河川の氾濫に加え、これまで経験したことのない内水氾濫という現象により、多くの家屋が浸水被害を受け、未だに不自由な生活を余儀なくされている方が大勢おります。
 今般の水害被害は本県史上空前のものとなり、県と市町村はもとより国においても激甚的な災害と位置付け、当面の復旧と被災者支援に加え、特に繰り返し氾濫する中小河川では抜本的な対策を進めることにしております。
 さらに内水氾濫においては、雨水が自然浸透する土の地面が少なく、あらゆる場所が舗装だらけの都市の中心部においては、実現性のある有効な対策が取りにくく、国レベルでの研究も必要となります。
 加えて、水が常時流れている河川で、特に周辺に人家の多い都市の河川工事は一挙にはできず、さらには河川改修には想像を絶するほどの莫大な経費を要します。
 一方で、今年の尋常でない大雨や気温上昇は世界的な現象で、まさに「暑い夏」ではなく「熱い夏」と表現される状態です。
 中国でも大水害で甚大な被害が生じており、逆にヨーロッパでは50℃近い熱さで、山の木が自然発火し甚大な被害になっている国も出ています。
 しかしこの気候変動も、一面には人間の飽くなき欲求が凝縮した文明進化がもたらしたものであることを認識し、前回のこの欄でも取り上げた「足るを知る」という格言をかみしめることも必要な気がします。
 「邪気を払う」、広義な意味で災いを遠ざけるという竿燈祭りの本来の主旨を思い起こし、竿燈の提灯のゆらめく明かりに、「熱い夏」が人類社会の退化をもたらさず「暑い夏」で止まることを願った次第です。

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