新型コロナウィルス感染症も5月のゴールデンウィーク過ぎから、感染症法上の位置付けが、治療薬の開発やワクチン接種の拡大、さらには多くの人々の感染により集団免疫的な状況となり、より重い扱いの2類から5類へと変わりました。
 ウィルスが消滅したわけではなく、未だ一定の感染者が出ているものの、街に賑わいが戻り、各種の祭りやイベントが通常通り開催されるとともに、港には外国のお客さんも交えた外航クルーズ船が入港し始めるなど、3年半振りに日常を取り戻しつつあります。
 しかし、コロナ、コロナで明け暮れたこの3年半の間に、ロシアのウクライナへの侵略により再び東西冷戦時代に逆戻りし、アジアでは中国の軍事力と一体化した膨張戦略や、北朝鮮の飛躍的なミサイル技術の向上により、特に日本を取り巻く国際環境は緊張の度合いを高めています。
 さらには、ウクライナ紛争などによる、世界規模での燃料や食糧資源の入手難と価格の大幅上昇、アメリカにおける金融機関の破綻の影響が懸念されるなど、国内外の経済環境は厳しさを増しています。
 一方で、チャットGPTなど生成AIの出現は、情報技術の行き着く先への不安も包含しながら、人類にAIとの共存はいかにあるべきかという命題を突きつけています。
 そして、先進国と発展途上国、地政学的要素からなる国家間の離反と枠組みの再構築、急激に進んだグローバル化に対する反発と分断という問題も広がりを見せ始めました。
 加えて、文明の進歩と歩調を合わせるように進む地球温暖化による気候変動は、世界中に、これまで経験したことのない規模や激しさの様々な災害をもたらすなど、場合によっては、人間社会の対立や分断以上に、今後人類を悩まし地球上の生物の生存という意味合いも含めて大きなダメージを与えかねない限界点に達するまでに至ってきました。
 国内では、古くて新しい命題でもある、少子化による急激な人口減少への対応が、ようやく地方レベルから国家レベルで語られ始めています。
 いずれにしても、突き詰めればその根源は「人間の飽くなき欲望」という一点に集約されるのではないかと考えます。
 もちろん、人間から欲望をなくすことは出来ませんし、欲望があるからこそ人間は地球上で生存し続けていることは確かなことです。
 しかしながら、自らの思うがままに飽くなき欲望を追い続けることは自滅につながることは歴史が教えていますし、これは個々の人間だけに止まらず、各種の組織や国家にも共通したことです。
 「何ごともほどほどに、ここらへんで満足しておこう」、古代中国の思想家、老子の「足るを知る」という言葉を今一度噛みしめてみることも必要な気がするこの頃です。

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