4月1日(月) 県正庁 

  先ほど菅官房長官から、5月1日からの新元号が「令和」に決まったとの発表がありました。出典は、幅広い人々の作品からなる我が国の代表的な古典「万葉集」の和歌の中からの引用で、安倍総理からは、「人々が美しく心を寄せ合う中で、文化が生まれ育つ」という思いが込められているという説明がございました。また、文字から見ますと、「令」という字は、「良い」「立派」というような意味があり、「和」は「穏やか」「和らぐ」「平和」「和平」「親和」など、国民の誰しもがこうありたいという意味の文字です。
 是非これからの「令和」の時代が、年号の文字のごとく、地方も都市も、そして国民も分け隔てなく、文化に育まれ、心豊かに平穏に暮らせる時代になればと望むものです。
 また、時の流れは一瞬でも止まることはございませんが、多くの日本人にとって、元号が改まるということは大変な出来事であり、今年は心を新たにする年につながるのではないかと思っております。加えまして、(今月)7日は県議会議員選挙の投票日で、当選回数を重ねた議員の方々も多くございますが、初当選の議員も加えた新メンバーとなり、県政にとっても新たな出発の年になるものと言えます。
 
 さて、今年の冬は、内陸部では積雪が多いところもありましたが、全県的には暖冬気味で、3月初めの沿岸部は雪も消え、例年よりひと月早い春の兆しが見え始め、何となく心が浮き浮きした感が街に漂っておりました。ところが、自然はそう甘くなく、月末頃からまた寒さがぶり返し、雪も舞い、お天道様はしっかりと帳尻を合わせるものだなと、改めて自然の営みに畏敬の念を抱いた今年でもあります。しかし、季節は着実に進み、日一日と春らしさが増し、桜前線の北上に加え、令和元年という時代が加わり、例年以上に街は賑わうのではないかと思います。
 今日から、人事異動により新しい体制に変わりました。変わらない方、また変わった方、様々でしょう。今日は平成ですが、今年度は「令和」元年ということになります。例年以上に心新たにしっかりと前進するよう頑張っていただきたいと思います。
 
 まず、毎年のようにこの場で言っておりますが、民間の方から、担当者が代わったら話が振り出しに戻ってしまい、再度説明に手間暇がかかる、何とかならないものかという苦情が結構来ますので、今年も言います。懸案事項、継続事項など、しっかりと引き継ぎをしていただきたいと思います。自分のことを自慢するわけではございませんが、私が県職員時代、まだ主事の頃、数ページに及ぶ細かなもので引き継ぎの書類を作り、私の後任者に大変に感謝されたことがございます。部課長はもとより、本来すべての職員が異動する場合には、言葉だけではなく、具体的に記述した何らかの書面を作り、後任者に説明することが本来の姿ではないかと思います。特に民間の方々との関係がある事項については、改めて注意が必要ということをお話しさせていただきます。
 また、特に幹部職員の皆さんには、風通しの良い職場、横のつながりの良い職場づくりに心を砕いていただくことを期待します。時代とともに個々人のつながりが薄くなり、特に若い職員の考え方は昔とは異なり、昔のように「一杯飲みに行く」と上司が言えば、すぐ「私が付き合います」というような若い職員は少なくなり、若い職員には、どちらかといえばプライベートと仕事をしっかりと区別するようになっております。
 また、給与が長い間抑制され、皆さんも若い職員におごる余裕もないのではないかと思います。さらに、職員全体がパソコンが仕事の上での最大のツール、うがった言い方をしますと、なくてはならない友のような存在になり、どこの職場でも職員同士のフェイス・トゥ・フェイスの会話がめっきり減り、おのずから人間関係も薄くなっております。時代の必然で、このような流れは受け止めなければなりませんが、人間関係が希薄になり、困ったときにはお互いに助け合うことや、相談に乗って問題をチームワークで解決するという本来の組織のあり方まで希薄になることは避けるべきです。多くの県政課題を解決するためには、個々人の能力、努力に加え、組織全体の能力、努力が不可欠であります。職員の不祥事や事務ミスも、個々人の孤立にある場合も見られ、特に管理監督に当たる幹部職員には、常々、自らの職場全体を見届けながら、良いチームワークを醸成するよう努めていただくことを強くお願いします。

 さて、県政について少しお話しします。
 人口減少、少子高齢化、小規模集落の維持、地域経済の活性化など、県政課題は山積しており、それぞれ一朝一夕には解決するものではございませんが、少しでも前進するように、私はもとより全職員が知恵を出し、汗を流し、ひたむきに力を尽くしていかなければなりません。このような中で、わずかではありますが、頑張れば、やればできるという希望の光が見えてきたこともございます。まだまだ全国平均には届かず、今後も油断禁物ですが、都道府県自殺率のワーストから一気に5位ほど改善いたしました。私もほぼ欠かさず、秋田駅でのキャンペーンには参加しておりますが、まさに民学官が、ここ十数年間、地道に根強く運動を続けてきた結果ではないかと思います。
 また、秋田市の一部地区に限定されるものの、土地価格の公示価格も改善の兆しがわずかではありますが見えてきました。大変な議論の末に実現し、確かに今でも課題もあり、さまざまな論評もありますが、「エリアなかいち」の完成、そして県・市連携文化施設の施工、さらにはJR東日本や民間企業、地元金融機関などと県、秋田市が連携して取り組んでいる、駅周辺の再開発の進展により、駅周辺の賑わいが少しずつ取り戻してきていることを意味します。
一方で、都市部以外の人口減少が顕著な地域では、依然下落傾向が続いており、人口減少対策は一層充実強化が必要でありますが、まずは県と秋田市が元気を取り戻す兆候があるということは、今後の希望につながるのではないかと思います。
 また、意外と気づきませんが、本県のイメージは全国的にそんなに悪くはありません。むしろ中より上です。特に昨年の金足農業高校野球部の大活躍、秋田犬の話題、なまはげの世界文化遺産登録など、全国や海外に多くの話題を放ちました。また、農業県秋田のシンボル「秋田米」のブランド価値を一気に上げるような新しい秋田の銘柄米も、見通しが立ちました。今こそチャンスです。本県のイメージが上がり、全国的に、そして国際的に話題性が上り調子の今、何をすべきか、職員一丸となって、さらに知恵を絞り、汗を流して一気呵成に進めたいと思います。
 厳しい財政状況ではありますが、これといった施策・事業には補正予算でも措置しますし、当初予算の枠内でも、単に事業をこなすというのでなく、現状を踏まえ、しっかりと効果を見通し、有効な予算執行を行っていただくことを期待します。加えて、予算がなければ仕事ができないというものでもございません。情報収集のアンテナの感度を良くし、知恵を絞り、民間の皆さんとの連携を図ることなどにより、予算がなくてもできることはたくさんあるはずです。特にソフト面の施策・事業では、予算が少なくてという言い訳は、幾ら予算があっても効果が出ないというものに通じます。 ここで少し、部局ごとに重要な事項について若干触れてみたいと思います。

【 総務部 】
 まず、総務部です。今年は消費税が上がります。前回のときも結構、事務ミスが多かったです。是非、消費税アップに伴う事務ミスについて、しっかりこれをなくすように万全の点検をお願いいたします。
 また、働き方改革。一部役所には運用されない面もございますが、やはり職員の健康管理、あるいは士気、色々な面での効率の面から、その残業も含め、職員の働き方、これについても効率良く、特に残業時期の職員相互のチームワークのとり方を含め、しっかりと、人事当局も含め、総務部についてはこれを考察していただきたいと思います。
 また、防災の強化。これについては、引き続き、まだまだ一昨年のようなこともこれからたくさんあると思います。ぜひ、危機管理監を中心に防災対策、そして建設部、農林部との連携による自然防災、これについてもしっかり努めていただきたいと思います。

【 企画振興部 】
 企画振興部については、当然、第3期ふるさと秋田元気創造プランの推進でありますが、待ちの姿勢ではなく、企画振興部にはさまざまな情報が集まります。各々の情報を各担当部局にフィードバックしながら、今の施策の改善、あるいはその方向の転換、場合によっては中身を見直し、こういうことに結びつけるように、各部局から出てきたものをただそれだけをまとめるのでなく、是非、企画振興部の企画という意味合いを含め、各部局と十分な連携をとりながら、事業の効率的な推進をしていただきたいと思います。
 また、県と市町村の協働の地域づくり。ますます小規模町村は大変になります。小規模町村の住民サービス、これについて、県も色々な面で手を出すということが必要になります。是非、地域振興局を含めて、この県と市町村とのさまざまな協働の推進について意を尽くしていただきたいと思います。

【 あきた未来創造部 】
 あきた未来創造部については、当然、人口減少社会の克服ということで、ふるさと定着回帰戦略の推進を是非しっかりと行っていただきたいと思います。また、特に今年は、予算面で、若者チャレンジ、女性の活躍ということについて意を配しております。是非この面を県内にしっかり広報し、意欲ある若者をどんどんこの事業で伸ばしていきたいと思います。
 また、これも待ちの姿勢ではなくて、色々な面に声をかけながら、是非若者、女性の活躍がどんどん地域から出てくるようなやり方をしていただきたいと思います。
また、国の教育の無償化、幼児教育の無償化等について、さまざまな制度設計、県単の事業への影響がございます。いかに国の制度との隙間を県がしっかり補うという点についても制度設計をしながら、場合によっては補正予算で措置したいと思います。
 また、企画振興部と連携しますが、人口減少下での地域づくり、それから住民サービスの維持、こういうものについて、どのような考え方で本県はいくのかという、これも地域ごとにパターンがございますので、全県一律というわけにいきません。是非地域振興局と十分な連携をとって、地域に合った手法を考えて実践してほしいと思います。

【 観光文化スポーツ部 】
 次に、観光文化スポーツ部です。まず、インバウンド。台湾との定期チャーター便をしっかり維持するという。ですから、アウトバウンドをどのように増やすかということが、まず今一番の課題です。
 また、当然、キャッシュレス、あるいはICT活用による様々な受け入れ環境の整備、あるいは宿泊施設の整備、そしてユネスコ無形文化遺産の活用とか、そういう今の話題性をどのように発信し、これに客を引きつけるというそういう面も非常に重要になります。
また、新幹線のトンネル整備構想については、是非今年度、少しでも前進したいと思いますので、一生懸命頑張っていきたいと思います。
当然、県・市連携文化施設、いよいよ施工です。期日までしっかりできるように、しっかりやっていただきたいと思います。
さらに、東京オリンピック・パラリンピック、ラグビーのワールドカップのキャンプの受け入れ、これらについても関係市町村と十分連携をとって、この機会に秋田の良さを大いに世界に発信するよう、様々な工夫をしていただきたいと思います。

【 健康福祉部 】
 健康福祉部については、健康寿命日本一に向けた3年目でございます。特に受動喫煙の関係も含めて、条例の問題がございます。また、検診については、幾ら頑張っても大変な状況です。ただ、やはり検診というものは初歩の初歩ですので、何とか市町村の力も借りながら、検診の推進に努めていただきたいと思います。
また、当然、障害者差別解消条例の制定もありますし、今年は日本身体障害者福祉大会が秋田で行われます。この準備と成功について、是非骨を折っていただきたいと思います。
 また、児童相談所、女性相談所の新しい複合施設の整備に取りかかります。これについても、しっかりやっていただきたいと思います。また、自殺予防対策については、先ほど言ったとおり、一気に5位ほど改善しましたが、これも油断をするとすぐ落ちます。是非これは私も一生懸命頑張りますので、是非もう少し前進するように、この1年間また頑張っていきたいと思います。

【 生活環境部 】
 次に、生活環境部です。動物愛護センターがオープンします。是非これを有効に活用し、そして全県的に人間も含めて、動物に優しいということは人間にも優しいということです。是非この施設を大いに活用するように工夫していただきたいと思います。また、是非全県の小・中学校の教育コースにするような、教育委員会との調整・取り組みも必要ではないかと思います。
 また、クマ対策、あるいは野生鳥獣、非常に最近、問題が起きています。これをどのように管理するか。非常に難しい問題ですけれども、(由利本荘市)岩城の訓練施設とタイアップをしながら、一方で、そうした鳥獣の駆除も必要ですが、これをうまく活用する、あるいは守るというそういう姿勢も両方バランス良くやる必要がございますので、しっかりやってください。

【 農林水産部 】
 次に、農林水産部。何といっても複合経営、メガ団地を含めて、日本一ブランドの枝豆、ネギ、菌床しいたけ、また、秋田米のブランド化、いずれこれは休めば落ちます。飛行機と同じで、エンジンが止まったらすぐ落ちます。エンジンを絶対切らないように、前進あるのみです。それから、秋田米については、非常に良いものができそうです。何とかこれをものにする。今から、販売の前の前宣伝、これどうするか。そして、販売のときにピークをもっていくというそういう手法も必要ですので、名前、戦略、そして産地形成、こういうものについて、しっかりと綿密に計画を立てながら、デビューを迎えるということにしたいと思います。
 また、国からの支援もあって、ICT等の先端農業、これもしっかりと秋田に合ったようなモデルをつくって、これをいかに全県に普及させるか、これが非常に重要ですので、是非しっかりと、国と一緒にやりますが、県もこの手法、技術、これを取得しながら、どのようにやればいいかというノウハウを取得するようにお願いいたします。
 また、森林環境譲与税、これが出てきます。森林管理システムの推進、また、秋田杉、あるいは木材産業についてはある程度上向きです。この上向きの状況をますます上向きになるように、色々な面で企業、林業家と詰めながら進めていただきたいと思います。
 また、全国豊かな海づくり大会、いよいよ新天皇陛下をお迎えし開催されます。大変注目されるイベントですので、是非大成功に終わらせたいと思います。

【 産業労働部 】
 産業労働部です。当然、デジタルイノベーションの推進。これについては、予想以上に進んでいます。是非、県内の中小企業に遅れのないようにしっかりと取り組んでいただきたいと思います。また、成長分野の産業の拡大と競争力強化。これはもとよりでございますが、中小企業、地場企業、いわゆるなかなかこういうものに参画できない企業もございますので、商業、サービス業も含めて、小規模企業、この対策についても抜かりのないようにしていただきたいと思います。
 また、産業人材の確保、特に外国人材の受け入れ環境整備、これが非常に大きな問題になります。是非、この外国人材について、なかなかそう簡単にはいきませんが、是非秋田に合ったようなシステム、そして情報収集をしっかりやりながら、何とかうまくこれを、利用するのではなくて活用する。そして、外国から来た人材も秋田で良かったと思っていただけるように、秋田のファンになっていただくような、そうした受け入れ環境をつくっていかないと、給与等の面もありますので、秋田に行ったらろくなことがないと思われれば大変です。ですから、いかにこれを全ての分野において、アンテナを高くして、色々な面からこれについてしっかりと取り組むことが必要だと思います。当然、地元の高校生、大学生の県内就職の推進については、あらゆる手段においてPR強化、インターンシップも含めてやっていただきたいと思います。

【 建設部 】
 次に、建設部です。建設部は今、河川改修等の災害復旧が山場です。しっかりこれをやって、次の大災害に備えたいと思います。また、建設人材の育成については、女性の建設人材に一定の伸びを示しておりますが、まだまだ絶対数が足りません。何とかその建設業関係、県土の安全を担いますので、是非建設産業の担い手の育成についてもしっかりやっていただきたいと思います。
 また、クルーズ船の誘致もどんどん進んでいます。いかに港の環境を良くするか、こういうことも、観光文化スポーツ部と連携をしながらしっかりと行っていただきたいと思います。
 そして、いよいよ高速道路の暫定2車線の4車線化、あるいは幹線道路の整備ということで、秋田港のアクセス線の新規着工、これらの重要な路線について、早期の完成を目指して頑張っていただきたいと思います。

【 出納局 】
 出納局については、秋田県の公共施設等の総合管理計画、非常に難しい面もございます。計画どおりにいくかいかないか、すぐ廃止あるいは改変ということについて、県民の理解、地域の理解というのが非常に必要です。そういうことで、十分に地域、その施設のある地域、あるいは関係者と十分に協議しながら、理解してもらいながらこれを進めることが必要ですので、これについてもしっかりやっていただきたいと思います。

【 教育庁 】
 教育庁については、まずは県内への就職率のアップ、そして能代地区専門系統合校等の建築です。これについても、しっかり見届けが必要です。また、成長産業分野の人材の育成ということで、様々な地域によって色々な希望もございますので、これらについてどのように対応するか。いずれにしても、地域の産業構造とそこに供給する人材、これのミスマッチをどのようになくすかということが非常に必要ですので、これについてもお願いいたします。
 あとは、縄文遺跡群の世界遺産登録、これは今年が正念場です。また、なまはげのユネスコ文化遺産等についても、しっかりと観光文化スポーツ部と連携をしながらこれをうまく活用するということが必要であろうと思います。

 ということで、各部局の今年の重点的なことについて少し触れてみました。
 総括として、今年は多くは話しません。私の思いの一端を述べ、結びの言葉といたします。

 多くの課題をもつ秋田県です。しかし、私たちも県民も、いや応なしにこれからもこの秋田県とともに歩んでいかなければならない運命であります。どんなに多くの課題を背負っても、秋田県は私たちのふるさと秋田です。そして、ふるさと秋田が私たちは大好きです。多くの県民の負託を受け仕事ができることを、県職員一人ひとりが誇りに思っていただきたいと思います。
 そして、その誇りをさらに高めるため、少しでも今を前に進めたいものです。欲を言わせていただければ、県政の運営では、昨年の金足農業の感動、何十分の一でも県民に味わっていただければという思いがいたします。令和元年、秋田をよみがえらせる年、希望の年にいたしましょう。県職員一丸となって県政をしっかり前に進ませましょう。ということで終わります。よろしくお願いします。