「雪が溶ければ何になる?」、「水になる」のほかに「春になる」というのがあります。
 物理学的な正解は「水」というところですが、日本人の感覚からは、厳しい冬の寒さから解放され、陽光の暖かさが感じられ、ほっとひと息つける「春」というのも正解というところではないでしょうか。
 また、春は、「進・入学・卒業」、「就職、退職」、「人事異動・転勤」、「年度始め」など、日本人にとっては、人生の次のステージへの転換の季節で、様々な事柄が幕を開け、あるいは幕を閉じるという特別な季節であるように思えます。
 ところで、よく「日本の四季は素晴らしい、日本のような四季のある国は世界中探してもないのでは」とも言われます。
 実際には、英語で四季を表す言語があるように、この地球上で四季の移り変わりがある地域は多く存在しますが、とりわけ日本の四季は明確なことから、四季の区切りを巧みに取り込みながら、古来から生活や仕事のリズムにしているように思います。
 お花見はまさに春らんまん、春の象徴となり、お盆と夏祭りは夏の終わりを告げ、秋祭りは収穫を喜び、そして年替わりとともに大きな節目となるお正月を経て、真冬の雪祭りで厳しさの中にひとときの楽しみを求める、まさに日本人は四季折々に賢く付き合ってきたのではないでしょうか。
 暖冷房が行き届いた職場や家庭、施設栽培など農業技術の向上や多様な輸入品により生活感や食べ物に季節感がなくなってきたとはいえ、いまだ四季折々の風習は観光行事化もあり、多くの日本人にとって大切なもので、また海外の人からは日本の生活文化の豊かさとして見られているのではないかと思います。
 また、日本人が春を特別な季節としてみるのには、公共機関や企業・団体に重要な会計年度と入学や入社など、社会経済システムの切り替わりの大半が4月を節目にしていることにもあるように思います。
 ちなみに、アメリカの会計年度は10月区切りで、学期は9月、イギリスは会計年度が4月で学期は9月というように、会計年度と学期が別々な国が多くあり、また一定の時期に新規採用者が一斉入社というような企業文化の国もほとんどなく、その面では春らんまんの日本の4月に一斉に社会が切り替わるという国は異例のようです。
 ところで、お花見の季節となりますが、新型コロナウイルスの感染はいまだ収束の兆しはなく、マスク、手洗いなどに加え、くれぐれも常に会っていない人同士多人数で大声を出すような花見会は控えるとともに、室内での飲食も換気を十分に行い静かに飲食し、会話時にはマスクという基本的な感染防止対策を行っていただくようお願いします。
 コロナから解放されるまでの少しの我慢、春らんまんは目だけで楽しむようにしましょう!

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