県民の声

受付日2021/8/18
受付番号204
広聴形態知事への手紙
提案区分提言・要望
本文  私は秋田県内で新型コロナウイルスに感染したことがある者です。仕事上の理由があって県外と移動をせざるを得なかった事情が行動歴調査で明らかになった途端に、個人特定や根も葉もない誹謗中傷が瞬く間に広がりました。そのおかげで、仕事を辞めざるを得なくなり現在は県外で暮らしています。
 実体験から、誹謗中傷の一番の原因だと推測されるのは、古くから根付く秋田県民の地域の繋がりの強さによって起こる口伝え(噂話)です。地域が狭いために、その感染者のことも知っているせいで、何かと話をしたがる人が多いのでしょう。現在は県外の政令指定市に住んでいますが、アパートの隣の人が感染したのか、スーパーのレジの人が感染したのか、わかるはずがないのが現実です。恐ろしいことに、秋田はそれがわかってしまいます。そして、それを口伝えという流動性の高い伝達手段で広めてしまうため、一日もあれば全く身に覚えのない話に変化してしまいます。
 上記のような噂話をする県民は、多くは悪気がありません。ただその悪気のない噂で、たまたま誰もがかかり得るウイルスにかかった人が仕事も住む場所も変えて、大好きだったはずの秋田に居られなくなるほど、追い込むのです。
 どうか県民の皆さんには自分達の噂話が、今正に感染してウイルスと戦っている人を追い込み、回復後の社会生活さえ奪ってしまう可能性があることを自覚して頂きたいです。私も法律家に相談し、誹謗中傷した方への法的措置を検討していますが、同じようなケースをこれ以上出して欲しくありません。
 都会では感染対策は当然にしていますが、それでも誰もがかかり得るウイルスとして捉え、皆が明日は我が身と思っているため、誹謗中傷や村八分のようなものは起こりません。
 どうか我が故郷秋田の方々にも、魔女を狩たがるあまりにご自身がそれ以上の怪物にならないように、思いやりのある暖かい秋田を築いていって欲しいです。

県からの回答

処理区分実施中
本文  新型コロナウイルスへ感染されたことをきっかけに、いわれのない誹謗中傷に悩まされ、ふるさと秋田を離れて、県外で暮らすお気持ちや、そのつらさを思うと大変心が痛むとともに、このたびのお手紙も、同様のことが二度と起こらないよう、つらい経験をされた○○様の強いお気持ちから寄せられたものとお察しいたします。
 新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、本県においても、感染された方や医療・介護従事者、そのご家族などが、憶測等に基づいた誹謗中傷を受け、精神的に追い込まれるような事例が、数多く確認されております。
 このような感染者等への誹謗中傷はあってはならず、県民に対しては、私自身が記者会見などを通じて、絶対行わないよう呼びかけるとともに、県民一人ひとりが、誹謗中傷を受けられた方のつらい思いを自分のこととして捉え、誹謗中傷の防止に向けて自ら行動することも大事であるとの思いから、昨年10月には、県医師会や商工団体、弁護士会やスポーツ団体などと共に「誹謗中傷防止共同宣言」を行い、やさしさに満ちた寛容な社会を目指すための県民運動を展開しております。
 また、この8月には、医師やPTAの代表者、大学生、弁護士の方々と、感染症による差別や偏見のない社会に向けた対談を行い、その様子を新聞広告や県のウェブサイトに掲載し、改めて誹謗中傷の防止を呼びかけいたしました。
 このたびの感染症は、どんなに予防対策を心がけても、誰もが感染してしまう可能性がある、非常に感染力の強いウイルスであります。
 県民に対しては、「明日は我が身」という意識を持ち、感染された方やそのご家族等の気持ちに立って、思いやりをもって冷静に行動していただけるよう、引き続き、あらゆる機会を通じて強く呼びかけてまいります。
 さらに、あらゆる差別の解消を図り、多様性に満ちた社会づくりを進めることは、魅力のある秋田、すなわち本県が目指す「高質な田舎」につながることから、現在、その実現に向けた基本条例の制定を進めております。
 このような住みよい秋田を創る取組を進める中で、○○様の仰るとおり、地方の人間関係の濃密さや保守性、他者を排除する閉鎖的な考え方等に、若者が嫌気をさしたり、新たな芽がつぶされてしまう危険性があるなどの指摘が、これまでもなされてきたところであります。
 一方、困った時には、地域で支え合う「共助の精神」が残り、昔ながらの良き伝統が、今に息づく社会と言うこともできると考えております。
 お寄せいただいたご意見を参考にさせていただき、こうした田舎ならではの良さを残しながら、良いところは更に伸ばし、課題については改善を図り、新たに制定する条例のもとで、差別のない、優しさと多様性に満ちた秋田を創ってまいります。

事項名:その他行政