今議会におきましては、補正予算案及びその他の案件についてご審議をお願いするものでありますが、提出議案の説明に先立ち、諸般の報告を申し上げます。
 はじめに、地方創生についてであります。

 県では、昨年から、庁内にプロジェクトチームを立ち上げ、県政の最重要課題である人口減少問題に真正面から向き合い、これからの秋田の進むべき方向について、鋭意検討を進めてまいりましたが、このたび、県議会や地方創生有識者会議をはじめ、多くの県民の皆様からいただいたご意見やご提言を踏まえて「秋田県まち・ひと・しごと創生総合戦略」の案を策定し、お示ししたところであります。
 この秋田版総合戦略には、本県の現状に関する徹底した分析に基づき、秋田の将来を見据えながら、「産業振興による仕事づくり」、「移住・定住対策」、「少子化対策」、「新たな地域社会の形成」の4つの基本目標を掲げ、それらを実現するため、「新たな視点で進める施策・事業」を中心として、秋田の創生につながる攻めの取組を盛り込んだところであります。

 まず、「産業振興による仕事づくり」については、本県にこれまで蓄積されてきた多様で特色ある産業技術を前提に、今後の成長が見込まれる分野における新たな事業展開への支援制度を創設し、県内産業の基盤強化を図り、地域における安定的な雇用確保につなげてまいります。
 具体的には、今後、世界的に大幅な需要の増大が見込まれる航空機産業などの成長分野において、新たな工程の導入によるサプライチェーンの構築など、生産拠点の形成や将来の雇用につながる設備投資に対し重点的に支援するとともに、産業の高次化や効率化につながり、他産業への波及効果の大きい情報関連産業について、人材育成等に対する支援を行い、県内企業の競争力を強化してまいります。
 再生可能エネルギーについては、数万キロワット規模の風力発電所の建設が県内各地で進められているほか、先月には、秋田港及び能代港における洋上風力発電の環境アセスメントが開始され、5月に着工された湯沢市山葵沢地熱発電所の建設も順調に進んでいるところであり、それぞれの事業の進捗状況に応じて、関連産業や人材の育成を支援し、再生可能エネルギーの導入拡大につなげてまいります。
 また、こうした成長分野の発展のためには、高度な専門的知識を有する優秀な人材が不可欠であることから、工業系高校における専門的なカリキュラムの導入や民間企業の技術スタッフによる特別講義の実施、県立大学における専門科目の充実など、新たな産業教育を進めてまいります。
 さらに、県外から本社機能等を移転する企業への支援を行い、東京一極集中の是正や県内産業の重層化につなげてまいります。
 このほか、国が進めるクールジャパン戦略に対応し、世界の成長を秋田の発展につなげるため、秋田港を活用しながら、海外でビジネスを展開する民間事業者と一体となって、日本酒や農畜水産物をはじめ、幅広い県産品の輸出を促進してまいります。
 農林水産業の成長産業化に向けては、園芸メガ団地を核としたサテライト団地や、複数団地のネットワーク化など、新たなタイプの園芸拠点の整備を全県域で進めるとともに、県外からの移住就農の促進に向けた新たな支援のほか、マーケットインの視点に基づく流通販売対策を推進してまいります。
 また、日本一のスギ資源を最大限活用していくため、県産材を優先して利用する「ウッドファーストあきた」の推進等により素材生産量の増大を図るとともに、林業大学校における人材育成等により、林業雇用の拡大に取り組んでまいります。
 交流人口の拡大については、広大で豊かな自然や多彩な食文化など、いわゆる「高質な田舎」としての秋田のイメージを様々な媒体を活用しながら国内外に戦略的に発信するほか、2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催を視野に、ICTを活用した多様なPR手段やWi-Fi環境の整備など、外国人旅行者の受入態勢を強化し、誘客促進につなげてまいります。

 次に、「移住・定住対策」については、全国トップレベルの教育力や子育て支援、自然が豊かで安全・安心な住環境などの秋田の魅力をまるごと伝える情報発信のほか、官民協働による空き家バンクの設置に市町村と連携して取り組み、県外からの移住を推進してまいります。
 また、都会にはない真の豊かさを実感できる秋田での暮らしについて、高校在学時から就職時まで切れ目なく情報提供を行い、秋田での就職に向けてきめ細かくサポートするとともに、県内に就職する新卒者等に対し、一定期間、奨学金返還額を助成する制度を創設し、若者の県内定着を促進してまいります。

 次に、「少子化対策」については、本県では、これまでも保育料や医療費の助成など、全国トップクラスの子育て支援を行ってきておりますが、第3子以降を産み育てやすい環境を整備し、人口減少の歯止め策としてさらに充実させるため、新たに第3子以降が生まれた世帯に対し、第2子以降の保育料を全国で初めて無償化するとともに、医療費助成を中学生まで拡充するなど、思い切った支援策を講じてまいります。
 また、現在実施している住宅リフォーム推進事業において、新たに子育て世帯に対する特別枠を設け、補助率の加算や限度額の引き上げ等を行い、子育て世帯の経済的負担の軽減を図ってまいります。

 次に、「新たな地域社会の形成」については、女性が個性と能力を活かして、地域や職場で活躍できる環境を整備するため、官民一体となって女性の就業継続や管理職登用の促進等に取り組んでまいります。
 また、自治体同士の連携強化や地域内での共助により、人口減少下にあっても住み慣れた地域で安心して生活できる社会をつくり上げるとともに、高齢者がその知識や経験を活かしながら、生き生きと活動できるコミュニティの形成を目指す「秋田版CCRC構想」を推進するなど、地域の実情に応じたまちづくりを進めてまいります。 
 なお、今月1日、県と秋田市及び東日本旅客鉄道株式会社秋田支社の3者で、「地方創生に向けたコンパクトなまちづくりに関する連携協定」を締結したところであり、今後、総合戦略の方向性も踏まえつつ、秋田駅周辺のまちづくりについて、3者で検討を進めてまいりたいと考えております。

 今般の総合戦略には、これまでにない大胆かつ実効性のある取組を数多く盛り込み、本県が率先して地方創生を成し遂げるという思いを持って練り上げたところであります。
 今議会でのご議論を踏まえた上で成案とし、秋田の創生に向け、県民の皆様と一丸となって全力で取り組んでまいります。
 なお、来年度創設予定の新型交付金については、内閣府により、約1,000億円の概算要求がなされているところでありますが、昨年度の補正予算で措置された交付金の額を大幅に下回るとともに、対象事業についても様々な要件が設けられるなど、地方の声に応えるものとはなっておらず、来年度から本格的に実施される秋田の創生に向けた取組への影響も懸念されます。
 国においては、人口減少の克服と地方創生を国全体で着実に実現できるよう、新型交付金をはじめとする地方財政措置の充実を図るほか、地方への産業再配置や移住促進対策等の抜本的な構造改革に真摯に取り組むことにより、地方の意欲を引き出し、創意工夫を支えていただきたいと思っております。

 次に、政府関係機関の地方移転について申し上げます。
 県では、本県への移転を求める政府機関として、全国トップクラスの学力を誇る本県の教育環境向上への寄与が期待される「独立行政法人教員研修センター」のほか、本県農業の主体である水田農業の省力・低コスト化に資する研究分野を持つ「国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構の研究部門」及び航空機産業などの県内企業の技術力向上につながる「国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構の研究部門」の3機関について、先月末に国へ提案いたしました。
 いずれの機関も、本県の高い教育力や技術力のさらなる強化のために有用な組織であり、本県への移転実現に向け、国に対し強く働きかけてまいります。

 次に、県・市連携文化施設の整備について申し上げます。
 2年前の選挙で公約に掲げて以降、秋田市と検討を進めてきた県民会館及び市文化会館の建替に伴う新たな文化施設については、整備構想及び基本計画の策定を経て、今年度、県内全市町村や文化団体の皆様との意見交換を行い、県と市が連携して取り組むことや、施設の規模・機能に関して理解が得られたほか、市街地に整備することについても多くの皆様の賛同をいただいております。
 こうしたことを総合的に勘案し、建設候補地として現在の県民会館所在地が相応しいと判断したものであります。
 新たな文化施設は、2,000席の高機能型ホールや800席の舞台芸術型ホールを備え、質の高い芸術の発表・鑑賞の場や日常的な文化活動の拠点としての役割を果たすことはもとより、建設候補地の現県民会館所在地が、秋田駅徒歩圏内に位置するとともに、バンケット機能を備えた宿泊施設にも近接していることから、利便性が高く、大規模な会議・大会の開催等を通じて、街のにぎわい創出にも貢献できるものと考えております。
 また、現県民会館所在地に建設した場合には、新たな用地の取得や付随するインフラ整備が不要となるほか、中心市街地に県・市協働で整備することにより、それぞれが単独で整備する場合に比べ、大幅に経費縮減が図られるとともに、国の交付金や交付税措置のある起債の活用も検討できるなど、財源的にも大きなメリットが見込まれます。
 今後、議会でのご議論を踏まえながら、さらに検討を重ね、来年度には、具体の整備計画を策定してまいりたいと考えております。

 次に、平成27年度全国学力・学習状況調査の結果について申し上げます。
 本年4月に実施された全国学力・学習状況調査では、3年ぶりに調査教科に加わった理科で初の悉皆調査が行われ、その結果を注目しておりましたが、本県は、今年度も、小中学校ともに全ての教科において、全国トップクラスの成績をあげることができました。
 平成19年度の調査開始以降、連続して優秀な成績を収めることができたのは、児童生徒の日々の努力はもとより、本県の優れた教育風土を背景に、学校・家庭・地域・大学等の連携により、充実した教育が行われている証であると考えております。
 今後とも、少人数学習の推進など、本県の宝である子どもたち一人ひとりに応じたきめ細かな指導ができる環境を一層充実させ、ふるさとを愛し、社会を支える自覚と高い志にあふれる人づくりに努めてまいります。

 次に、ロシア・タイ・台湾への訪問について申し上げます。
 7月12日から19日にかけて、県内産業界の若手リーダーなどとともに、ロシアの沿海地方、イルクーツク州、ハバロフスク地方を訪問してまいりました。
 沿海地方では、APECの会場にもなった極東連邦大学において、友好提携5周年記念フォーラムを開催するとともに、知事と会談し、これまでの交流の成果を踏まえ、今後とも多様な分野において、交流を推進していくことを確認したほか、イルクーツク州、ハバロフスク地方では、企業情報交換会を開催するなど産業界との交流を深めるとともに、知事等と会談し、新たな産業交流の可能性について意見交換を行いました。
 同行した県内企業や農家の若手後継者にあっては、海外の実情を自らの目と肌で感じ、日本の外から秋田を見つめ直す機会となるなど、大いに視野を広げることができたものと思われます。
 ウラジオストク自由港法が成立するなど、極東地域でのビジネスチャンスが拡大していることから、今後も、直行コンテナ航路開設に向けて、ポートセールス活動を展開し、ロシア向け貨物の発掘・確保に取り組んでまいります。

 また、先月16日から22日にかけて、県内の市長や町長をはじめ、商工団体や金融機関の関係者などとともに、タイ・バンコクと台湾・台北市を訪問してまいりました。
 タイでは、工業大臣や観光庁副総裁、スポーツ庁長官等と意見交換を行い、本県企業のタイでのビジネス展開に対する支援やタイからの観光誘客の推進、バドミントン競技をはじめとするスポーツ交流の促進について、相互に協力して取り組むことで合意いたしました。
 また、先般、秋田牛について、タイの高級レストラン向けの食材として、取引されることが決まりましたが、今後のさらなる販路拡大に向けた取組を強化するとともに、食を通じた観光PRにも取り組んでまいります。
 なお、今秋には、タイから多くの観光客が来県予定と聞き及んでおり、観光事業者等と連携しながら、秋田ならではのおもてなしを展開し、タイからの観光誘客の拡大につなげてまいりたいと考えております。
 台湾では、航空会社3社を訪問し、今秋以降のチャーター便の運航について要請したほか、台湾工業局傘下の台日産業連携推進オフィスと覚書を締結し、双方の企業間連携の推進のため、協力して支援を行うことを確認いたしました。
 今後も、海外の支援拠点等を活用しながら、タイをはじめとするアセアン地域や台湾などにおける県内企業のビジネス展開をサポートするとともに、観光・スポーツ分野での交流の拡大に取り組んでまいります。

 次に、「秋田ノーザンハピネッツ」について申し上げます。
 先般、来年秋に開幕するプロバスケットボール新リーグの一部リーグへの「秋田ノーザンハピネッツ」の参入が決まりました。
 本県初のプロスポーツチームとして5年前に設立されて以降、地域と一体となった活動を続け、bjリーグで2年連続準優勝を果たすなど、人気と実力を兼ね備えたチームに成長し、本県のスポーツチームとして初めて、国内最高峰のプロリーグへの参入という快挙を成し遂げられたことに対し、心からお祝いを申し上げるとともに、チーム関係者やブースターの皆様のこれまでの活動に対し敬意を表したいと思います。
 今後、秋田市立体育館のホームアリーナ化に伴い必要となる整備費用について、設置者である秋田市と十分に連携を図りながら、県としても支援してまいりたいと思っております。

 次に、高速道路の整備について申し上げます。
 日本海沿岸東北自動車道の未供用区間であった「象潟・金浦」間が、来月18日に開通することになりました。
 これにより、本年1月、重点「道の駅」に選定された「象潟」を起点とした観光流動の創出や、輸送の効率化による域内企業の成長など、由利地域の一層の発展が期待されるとともに、県内高速道路ネットワークの完成に向け、また一歩前進したものと考えております。
 今後も、日沿道の全線開通と東北中央自動車道の未着手区間の早期事業化に向け、国に対し強く働きかけてまいります。

 次に、提出議案の主なものについて説明申し上げます。
 今回の補正予算案は、秋田の創生に向けた取組のほか、地域における医療・介護の充実を図るための事業や公共事業等について計上しております。
 秋田の創生に向けた取組については、今後の成長が見込まれる航空機産業を担う人材の育成を図るとともに、女性の活躍推進に係る普及啓発活動を強化するほか、「秋田版CCRC構想」の推進に向けて、高齢者を中心にニーズ調査等を実施してまいります。
 地域における医療・介護の充実に向けた事業については、地域医療介護総合確保基金を活用し、医療需要に即した病床機能の転換を進めるため、県内病院が行う設備整備等に対し助成するほか、県北地域における救急医療体制の整備等を促進してまいります。
 公共事業については、7月の豪雨により被害を受けた河川等の公共土木施設の復旧を行うとともに、災害を未然に防止するためのインフラ整備等を実施してまいります。
 このほか、県内の自殺者数が前年に比べ増加傾向にあることから、特に高齢者や若年層の自殺予防対策を強化するとともに、市町村及び民間団体における取組を支援してまいります。

 一般会計補正額は、36億4,533万円であり、補正後の総額は、6,114億3,474万円となります。

 次に、単行議案の主なものについて申し上げます。
 「秋田県公害審査会の委員の任命について」及び「秋田県収用委員会の委員の任命について」は、委員の任期満了に伴う後任の任命について、議会の同意をお願いしようとするものであります。
 「秋田県健康づくり推進条例の一部を改正する条例案」は、がん登録等の推進に関する法律に基づく調査審議事項を秋田県健康づくり審議会の所掌事務に追加しようとするものであります。
 以上、提出議案の概要について申し上げました。よろしくご審議の上、ご可決賜りますようお願い申し上げます。

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