水田からの濁水流出を抑える「無代かき栽培」とは
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八郎湖に流入する汚濁負荷では、代かき後から移植時に出される排水が大きな汚濁負荷となっていました。そこで、農家の皆さんの協力により排水を減らす浅水代かきや田植え前の落水を少なくする落水管理は全域で広がり、水田からの負荷の2割程度削減されたと考えられます。しかし、未だに代かき濁水排出の影響は大きいものがあります。そのため、さらなる水質改善にむけて、代かきを行わないことで代かき後の排水を無くす「無代かき栽培」を推進しています。
「代かき」とは
水田では、はじめに耕起した後に水を入れて機械でかき混ぜ泥状にする作業を「代かき」といいます。
代かきには、水田からの水漏れを防ぎ、均平をとり、雑草の発生を抑え、土を軟らかくして苗を植え付けやすくする効果などがあるため、稲作では重要な作業となっています。
代かきが八郎湖に及ぼす影響
代かき作業が終わると水を張った状態に保っておき、田植え前に田植えがしやすいようにその水を排水します。その水の中には窒素やリン酸分などを多く含んでいるため、それが八郎湖に流れ込むことで、八郎湖の富栄養化が進んでしまいます。
代かきをしない農法 「無代かき栽培」
代かき作業は長時間にわたるため、省力化の技術として無代かき栽培が行われるようになりました。初めの耕起後、土を細かくしてから水を入れ、そのまま田植えをします。
無代かき栽培の特長
無代かき栽培には、省力化と水田からの濁水排出を少なくするほか、次のような長所があります。
- 柔らかいほ場では地盤が固くなり、機械作業がしやすくなります。
- ほ場の排水性がよくなり畑地化しやすくなるため、次の年に野菜などの畑作に転換することも容易になります。
- 生育後半の生育もよく、粒が大きく登したお米になりやすい傾向があります。
無代かき栽培の普及のために
一方、無代かき栽培には
- 雑草が多くなる
- 水が抜けやすい水田では不向き
- 均平作業が必要な場合は新たに機械を導入しなければならない
- 雨の日が続くと作業が滞ってしまう
- 田植え後の苗が土から抜けやすい
などの欠点があり、大きく広がらない原因になっています。
しかし、大潟村では10年以上継続的に無代かき栽培を行っている農家もおり、条件がそろえば容易に導入できる技術です。
今後、農家の情報交換の場や勉強会などの機会を増やし、無代かき栽培の普及につなげていきます。