平成27年2月2日知事記者会見
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知事発表事項
なし
幹事社質問事項
- 2月議会に向けて
その他
- イスラム国について
- 時間 14:00~14:34
- 場所 プレゼン室
(幹事社)
よろしくお願いします。
(知事)
はい。
(幹事社)
では幹事社から一つ質問させていただきます。9日開会の2月議会に向けて、今日内示されました予算の特徴と、あと、こちら補正予算に絡んでくると思うんですが、地方創生の取り組みについて知事のお考えをお聞かせください。お願いします。
(知事)
まずその前に、モーグルのワールドカップ、明日、大会のアンバサダーということで、上村愛子さんをお迎えいたしまして委嘱式を行います。その後、記者会見を行い、大会概要についてご説明申し上げます。
ちょうど記者会見は明日のお昼ちょっと前、秋田で初めての(ウィンタースポーツの)国際大会ですので、県民の皆さんも是非足を運んで、世界の最高水準のモーグルを楽しんでいただきたいと思います。
まず予算ですけれども、今年は大変分かりにくいと思うんです。
例の地方創生関係の交付金事業の予算計上が、まだ国の予算が決まりませんので、これは補正ですけれども、そういうことで補正と当初が入り交じって非常に分かりにくい予算になっています。ただ、ちょっと今ご説明すると、まず全体的な予算の骨格ですけれども、財政の健全化の面から言いますと、税収がある程度見込めるということと、地方交付税の減もありますけれども、そう極端な減はないということで、財源的には楽ではありませんけれども、近年の中では割と組みやすい状況です、財源的に。
そういう中で、この後、国のいろんな基金事業が、27年度で大半が終わりますので、基金事業のフォローをしなければならないものがございます。こういうときこそ一定の県単独の基金をいかに維持するか、あるいは、一定の水準を保つかということ、しかも全体のプライマリーバランスを臨時財政対策債を含めて黒字にするかという目標、この2つがある程度最初にまず考えることです。
ですから臨時財政対策債を入れても2年連続で黒字という基調。それから、財政調整基金、減債基金とも300億円台を維持すると。さらに、小さい基金ですけども文化振興基金だとか、あるいは地域活性化基金、こういうものにきっちり積みまして、この後の政策的な財政運営について、ある程度めどをつけるという、そういうことで財政健全化の上からは、いいか悪いかは別にして、税収がある程度伸びが期待できるときほど、きっちりそういうものを備えるということで、これは維持できたと思います。
もう一つ、通年でありますと元気創造プランの項目に投資して予算を組みましたけれども、地方創生の趣旨が、県の元気創造プランと全く重なるところが大半であります。ですから、この予算の概要版につきましては、国の地方創生、その項目立てに従った形でございます。例えば、雇用の創出、移住・定住の促進、少子化対策、新たな地域社会の形成、こういうものに従った形で我々取り組んでおりまして、これらの4つの施策、これ以外に様々な施策がありますけれども、まずこの4つについて随分重点化を図っています。
特にその中で雇用の関係、あるいは移住・定住については、これまでも力を入れてやってきていますので、経済状況が悪いときには、どちらかというと経営安定型、あるいは、中小企業の経営維持型、こういう形の予算が非常に多いわけでありますが、今度はある意味で前向きの政策、例えば航空機だとか、ああいうものの前向きの方に移ってきています。
そういうところで一番目に見えるのが、例えば制度融資、これが200億円減であります。制度融資の部分も、借りる人がいませんので。そういうことで、制度融資みたいな経営安定対策的なものは減らして、その分を新事業の展開だとか新エネルギー、あるいは自動車、航空機など、前向きのものに踏み込む。
そして農業関係、あるいはそれに関連した部分については、いわゆる米以外の(園芸)メガ団地だとか、米以外のことについて重点化しながら、それをいかに加工度を高めて、海外も含めたその販売戦略、こういうものにより重点化した予算であります。
また、そのほかの幾つかの項目についても、例えば放課後児童クラブなど、これ議会でもいろいろ指摘がございまして、これをかなり充実しておりまして、また、男性の不妊治療の拡充だとか、いずれ少子化対策についても、かなり今までの懸案事項を解決すべく予算化してあります。そういう中で公共事業については、ほぼ前年並みを維持するという形になっています。
ただ、補正の方で新しいもの、大幅拡充のもの、あるいは28年度以降の本格実施をにらんでの、移住・定住の準備作業、あるいは子育て政策、例えば第3子対策など、そういうことをやるとすれば、その準備作業、これらが全部補正の方へ行っているんです。ですから、そこら辺と合わせて見てもらわないと、概要がよく分からないと思います。
補正関係でありますが、今のところ2月の19日に内示をする予定ですけれども、交付金が30億円です、交付金事業が。これは半分が例の地方創生、半分が消費喚起、市町村では商品券などがありますけれども、県の場合の消費喚起というのは、油も今安くなっていますし、いろんな面でどう知恵を絞ってやるかを今悩んでいますけれども、例えば観光客の誘致、こういうものもよりプレミアムをつけたり、いろんな面で県内消費を増やしたりということで、これと合わせて30億円。
これも今国会で審議中で、まだはっきりしませんけれども、国の公共事業関係、もう一つは一般施策、これを合わせて80億円ぐらいの国の補正予算が想定されています。ですから、100億円から110億円の補正がこの後組まれますから、それを合わせますと、27年度の通算でいきますと、この補正は全部繰越ですから、かなりの額になると思います。
あと、例の少人数学級を毎年延ばして5年までやる。それから、脳研の関係が、この後の事業に結びつくものです。あと認知症対策、こういうものについても新たにさらに充実する。あとこれも議論になっていました例の土砂災害防止関係が5年間で全部やりきるということで、これを31年度まで全部終えるという。あと目立つ事業で、国から断層モデルの、津波のシミュレーション結果が出ました。県と大分ずれがあるんです。あれを両方調整してシミュレーションするということで、これを作りまして市町村が混乱を起こしていますので、国のものと県のものと合わせたもので、より精度を増すということ。それから、この後の海岸侵食対策ということで、防潮堤、これも例の津波対策になりますので、ここら辺は非常に大きな額になります。ですから、その前の調査費を盛っています。特に能代港、船川港、秋田港について、どういう方式になるのか、ここら辺はやるとするとすごい額になります。ここら辺が今回の予算は調査費で小さいわけですけれども、将来に対しては非常に大きな事業になるという準備作業です。
あと、やっぱり雇用に関係する中小企業対策、製造業を中心とした、それから農業の米以外のものに対する手当、ここら辺を重点的に加味しているということでしょう。
(幹事社)
ありがとうございます。関連で各社さんから質問お願いします。
(記者)
当初予算案の概要にも、追加補正で出る地方創生関連の事業が幾つか載っていますけれども、知事が考える、特にこれは目玉になるっていうか、特徴的なものと考えている事業があれば教えてください。
(知事)
これ一つで急に雇用を増やすというわけにいきませんけれども、やはり将来的に例えば航空機産業、それから新エネルギー。新エネルギーも洋上風力、あれは全体で七千九百数億円、あれを今のままでやった場合と、県内企業がより食い込んで、レベルを上げてやる場合と、相当違いますから、あれを何とか最大値になるように、そういう取り組みが非常に必要だということ。
それから、なかなかその将来的に日本でなければできないという航空機(産業)、ピンと来ないかもしれないけれども、県内企業で幾つか評価されている企業がありますので、しかもかなりその発注が期待できる。手づくりですから、あれは契約社員じゃできませんから、これは完全正規(雇用)ですから、そういうもので非常に期待ができますので。大学の工学部を卒業した人がたくさんいりますので、これからの地域雇用の質も高めるという面で、そういうものに対して力を入れていきたいと思っています。
(記者)
もう一点ですけれども、その地方創生関連が本格的に実施するのは28年度以降になるということですけれども、県とすれば去年の春からチームを作っていろいろやってきたわけですけれども、その後に国の方で地方創生というのを突然叫び始めたわけですけれども、もしそういう国の動きがなければ、来年度予算から、いろんな事業を本格実施するつもりだったのが、国のそういう都合といいますか、そういう面で1年後ろになったっていう側面はあるんでしょうか。
(知事)
幾つかあります。それは例えば、移住・定住なんかは交付金がつきましたので、26年度。これを使えば27年度にできますから、補正でやると県の単独資金がいりませんので、これをやります。
ただ、例えば一定のその制度を作って相当長くやるとすると、財源がどうしても必要です。そうしますと、例えば第3子対策に対するいろんな給付をやるとすると、相当長くなります。そうすると額がどうなるのか。あるいは、移住・定住の中で、例えば空き家を社宅にするとか、そういう大規模に大がかりにやるとすると、相当な金がかかる。これは27年度の総合戦略に盛り込んで、一定の国の暗黙の了解があれば28年度以降の交付金の財源になりますから、そこで31年度まではそれを使えます。そういうことで、かなりお金がかかって長く続けなければならないのは、やっぱりそっちに乗せた方がいいということです。ただそのための準備は27年度中にしっかりやると。制度設計もです。特に制度のあるものが若干ずれるかなという。もし27年度からやるとすると、やっぱり県の懐具合ですから、そんなにでかいことはやれない。ですから、ある程度でかいことやるとすると、1年ずれるということです。
(記者)
当初予算からお金がたくさんかかるのは、平成28年度からでしょうか。それとも一部は27年からでしょうか。
(知事)
あの、27年度からやりたいと思ったのは、逆に補正にあげているんです。逆に言うと、財源の振り替えです。ですから逆にその分を基金に積めたんです。基金に積むことによって、将来、国の交付金がなくなったときに備えるという、そういう意味です。
これから大変なのは人手です。いわゆる(有効求人倍率)0.97(倍)ですか、もう1と同じです。特に新卒も奪い合いで、そういう意味では、今が雇用対策の正念場です。県外に逃げているところに、いかに待遇をよくしてもらうか、待遇をよくすると、生産性が上がらないとどうしようもないです。ですから生産性の上がる、より高付加価値のものに取り組んでいってもらうということで、どちらかというと製造業は、今あるものというよりも、今あるものよりレベルを上げるというそっちの方に向いています。
また農林水産業も、今日も基盤整備の話が出ましたけれども、当然基盤整備もそうですけれども、国は基盤整備は、要するに米については、できるだけ押さえて、米以外の方で、しかも米も含めて、輸出戦略、加工品の。それが非常に強く出ていますので、我々も販売戦略も含めてそちらの方の農業をかなり強めに予算化しております。
あと追加補正で、金額はそう大きくならないでしょうけれども、宿泊施設のバリアフリー、あるいはトイレの洋風化だとか、バリアフリー対策と障害者の受け入れ、あるいは外国人旅行客の受け入れというものに、国も相当大きくあげていますので、そういうものに対しては使ってもいいようです。
なかなか国の交付金が自由に使えるようでもあるけれども、新規性と拡充じゃなきゃ駄目だと。我々もいかに拡充、新規性という形でやるか。12月の補正予算であげたものは駄目なんです。これは、振り替えができるから。今ある制度は使っちゃ駄目なんです。ですから、そこら辺は財源のやりとりをして、何とか中でうまく使う。
(記者)
前回の知事定例会見でも秋田の底力を見せたいという予算案についておっしゃっていましたが、今回正式に議会に出されて、今も説明いただいたんですが、改めて今回の新年度の予算案について、こういう思いをのせて作ったもので、こういうのが特徴だというのを一つまとめてお話いただいてもよろしいですか。
(知事)
例えば製造業では、おもしろいのが、割と鉱山だとか、昔の鉱山機械、木材機械、TDKの下請さん、こういうところが意外と新しい分野に進んで、評価が高いんです。ですから、ベンチャー的な(企業も)必要ですけれども、いずれ今まで大変苦労したところが、正に新しいものに向かっていけるという、その下地が、やっぱり歴史的なその蓄積が非常に生きています。そういうものに対して、自動車だとか、あるいは医療機器に向けようということです。
あとは、農業関係も、確かに米の値段が下がって、大変農家の方々が苦労をしていますけれども、最近の若い農業後継者も年に200人ぐらいになりましたから、担い手ね。この方々が非常にやる気を起こして、もう必死でやろうという意識が芽生えてきています。ですから今までのように何とか役所がやってくださいというよりも、そういう自発的な構造改善の芽が出てきているということで、そういうところに、我々と一緒にやろうということで手厚い予算措置をしています。
産業振興というのは、企業誘致で大きいものがボンと来るというのはいいですけれども、いろんな歴史的な蓄積、こういうものを大切にすることによって、新しい展開も、その気になればやれるという感じで捉えています。林業(大学校)なんかも、15名の枠に今18名(の入学予定者)ですけれども、非常にそういうやる気のある人がドンドン増えていますので、米だとかお酒だとか伝統工芸も含めて、今秋田をみんなで再生しようという機運が盛り上がってきたのかなということで、我々もそれに応える予算という位置づけで頑張っています。
(記者)
よろしくお願いします。
農産物の流通販売対策の強化で、牛肉であったり、あとは園芸品目であったり、あとは農業者の販売力強化チャレンジであったり等、首都圏への売り込みを強化するという新規事業が相次いでいると思うんですけれども、ただ、他県であっても首都圏に売り込むという動きというのは、まあどこでもある話であって、そこで秋田が勝ち抜くには、その事業の予算を計上しただけでは当然なかなかうまくいかないとは思うんですが、何が必要だと知事は考えていらっしゃいますか。
(知事)
秋田の弱いのはマーケットリサーチ。どういうものを欲しているか、どういう形と形態のもの、売り方だとかサイズ、あるいは加工品でも東京にいる場合と関西にいる場合は、味が、塩分が違いますから。秋田は全部自分たちの発想でいっていますけれども、こういうマッチング推進員の配置とか、そういうところを、相当きめ細かく、首都圏とかそういう地域によって、そのニーズを把握すること、それをいかに情報として現地に還元して、現地はそれに合わせて加工する。今までそこら辺がものすごく弱かった。ですから、ここを通常レベルまで上げるだけで、ある程度の成果が上がるんじゃないか、今までもそういう事例がなきにしもあらずですので、基本の基本をやっていないところが非常に多かった。これは反省点です。
農林水産部と、観光文化スポーツ部、あそこと合体して、やっぱり観光文化の方は、東京の目で見るんです。やっぱり農政の現場っていうのは秋田の目で見るんです。そこのつながりが相当最近ではよくなってきた。ですから、そういうところの発想のものを、やる。
例えば、秋田牛の、そういうレストランを東京でつくるという民間企業者。県のアンテナショップというよりも、県内の企業でそういうところに支援してやった方が、すごくいいんです。鹿児島だとか、みんなそうです。民間ですから、いろんな面で展開も早いですから、地元のそういう飲食店のそういう流れがドンドン出てきている。今ある意味では、それいけドンドンなんです。
(幹事社)
そのほか、よろしいですか。
幹事社質問の関連以外で質問。
(記者)
イスラム国を名乗る勢力による日本人殺害事件についてのご感想をお願いします。
(知事)
湯川さん、後藤さん、あれを見ていて本当に、ああいう砂漠の中で、ああいう光景で、あの方々の心情を思うと、本当にどうなのかなという、そういう意味で大変憤りを感じています。
特に後藤さんは、現地のああいう混乱の中で子供方がどうなのかという、非常に善意の形で行った方ですので、本当にお気の毒としか言いようがありません。
イスラム国という武装集団については、ああいうことがあるのかと、我々の常識ではちょっと考えられないことですから、いずれ、ああいう形を何としてなくすかが、国際社会の一つの大きな命題になってきています。
これは当然許されないことです。あんな残虐なこと、許しちゃならない。ただ、あれをただそれだけで済むのかという。あれは歴史的な、三千数百年前まで遡った中で、今の非常に過酷な自然の中で、貧困と混乱の中でああいうものが出てきていますから。
基本的には宗教の問題もあるかもしれない、むしろ宗教の問題よりも、ああいうところでの現地との価値観の衝突、あるいは石油を巡るいろんな大きな世界のメジャーの動きと地元のその人々の暮らしのギャップ、貧困をどうするのか、そういうもの全部を考えてやらないと。
ああいう流れは、我々がただ許されないといって済む問題じゃないという、非常に複雑です。許されないことは当たり前です。ただ、それを我々日本人の価値観だけで決めつけても、解決しないだろう。基本的には国際社会が、ああいうところの、国際間の格差をどうするのか、アラブの中でも、石油ですごいその身分格差があります。ああいうものをどうするのかという、そこら辺まで考えないと、これはなかなか簡単に解決しないのかなと思います。
(幹事社)
そろそろお時間ですが、ほかよろしいですか。
じゃあ、ありがとうございました。
(知事)
はい、じゃあ、どうも。