令和7年4月1日知事記者会見
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●知事発表
なし
●幹事社質問
(1)「平成の大合併」の評価について
●その他質問
(1)南海トラフ地震の新たな被害想定について
(2)政府備蓄米について
(3)秋田県知事選挙について
(4)職員への最後の新年度挨拶について
(5)知事退任後の活動について
(幹事社)
幹事社のABSです。よろしくお願いいたします。
本日、知事の発表事項はないということですので、幹事社から質問させていただきます。
県内で平成の大合併がピークを迎えた2005年から今年で20年となります。当時は行財政基盤の強化ですとか行政の効率化、こういったものが目的だったと思うんですが、合併後に人口の減少が加速したような旧市町村も見受けられます。佐竹知事は秋田市長、当時務められておりましたし、知事としてこの20年を振り返って、その合併がもたらした効果をどのように評価するかお聞かせください。
(知 事)
二面性があるかな。当時、国がまずは財政基盤ということで、国自身も小泉さんの頃からの改革ということで、いろんな面で地方に対する財政支出、これを減らそうというふうな観点もあって、国は合併を相当強く進めたと。で、ある意味で評価というのは、今言ったとおり、単純に言いますと、やはり役場が小さい町村にはなくなって、支所になりますが、その支所もある意味で、ある程度大きいところの支所は役場と同じ役割をしてますが、そうでなくて、支所がだんだん機能を縮小して、そういう関係で周辺の住民の利便性が非常に減ったということはあるんじゃないかなという。ただ、当然、逆に言いますと、公務員の職員の数、あるいは議会の議員の数は少ないですから、そういう経費的な面で相当削減という面はあったということで。ただ人口減少、まあこれは分かんないですね。合併したから減ったのか、合併しなくても減ってくるのか。ここはなかなか分かんないよね。で、合併せずに全く独立したところで、そう減ってないところがあるんです。これやっぱり、その環境です。ですから、合併して中心都市以外は、大体は農林業の衰退、これは衰退というよりももともと生産性を上げるとすると、耕地面積が限定されてますので、生産性を上げるとすると、人は機械化をするから、(農業に従事する人は)少なくなるという。これが、ものすごい人なんだ。田植えとかは昔はものすごい人数(で従事していました)。今、田植機があれば1人でしょう。昔、私が職員のときに、(旧)雄和町から委託を受けて、(旧)雄和町の水田を機械化した場合、何人でできるか(ということを行いました)。大規模化をすると10分の1になるんですよ、就業人口が。そんなことで、どうしても農村部は農業の近代化によって人口が減らざるを得ない。そこにまた別の産業といっても相当難しいということで、そんなこともあるんです。ただ、確かに小さいまちで、合併せずに工夫しながら相当頑張ってるところもありますんで、そこら辺、なかなかそう簡単にどっちがね。まあ結果論として減っても、もし合併しなくても減ってるかもしれないです。だからそこはなかなか難しいところですね。ただ、やっぱり住民にとって役場というものが遠い存在(であるという指摘)、これは確かにあります。で、災害とかああいうときに、そばの市町村にそういう方がいませんので、職員がそういう緊急時に相当。まあ今、確かに情報ツールもありますが、そこら辺、農村部に行きますと高齢化ですので、情報ツールも簡単に使えない。そうしますとやはり何となく寂しいということ、あとはサービスが低下するという、これはあると思います。
(幹事社)
そうしたことを踏まえますと、今後については、さらに人口減っていきますので。
(知 事)
問題は人口が減るもんだから、小さい集落の集団移転、この話が昔もあったんです。で、過疎債で昔、集団移転する際には相当お金が出て、国から。ところが、これ自身、そう簡単ではないんです。単純に言えば、集団移転しますと、そういう場所が完全に荒廃します。そうしますと災害とか、荒廃しますんで、そういう維持ができません。あとは、ある意味でポツンと一軒家という、あれをなくそうというね。ところが、これが行き過ぎますと、最後は全部都市にすると。全部都市に住んじゃうと、誰が農業をやるんですか。この価値観ね。やはりそういう場所にも人がいないことには農林漁業はできませんからね。そこら辺の価値観、これを地方も国もしっかり認めて、これをどうするかという大きな視点から。単純に言えば、ある意味で都市に全部集めるということは、安全保障の面からあまりいいことではないです。だからそこら辺のバランスをどうするか。これを真剣に考えるべきかなと思ってるんです。
で、地方創生という言葉がありますが、ここら辺が、私、今日も言ったとおり、東京にどんどんね、めちゃくちゃすごいですよ、今、集中。東京にこの間も行ったけれども、もうクレーンね。大きなビル。今、東京でゼネコンが持ってる受注残、三十数兆円ですよ。これでますますマンションが多くできる。人口がますます増える。一方で地方創生。何か変なんです。で、東京は大災害があればすごいリスクでしょう。だから、私、地方創生という言葉自身がおかしいと思うんだ。あれは日本創生なんだ。だから地方創生、地方の努力だけで、地方の責任みたいに捉えるのはおかしいんだよね。日本創生。だからそういう観点から言えば、日本でいかに食料を確保するか。自然空間、森林環境を保つか。こういうことから言えば、農村部もしっかり守っていくという発想がないと、みんな最後は全部東京に行く。全部東京に集まったらどうするか。ここら辺で、この合併の問題もそういうふうな傾向になっちゃうから、ほどほどに考えながら、そういう不便な状況でも地域を守っている方、この方々を大切にする方針が必要かなという、そう思ってます。
(幹事社)
ありがとうございます。関連で質問ある社はありませんかね。
それでは、各社から質問あればお願いいたします。
(記 者)
昨日、政府が南海トラフに関する想定を新しく発表したところで、それを見ると、その被害者としては若干減っているものの、被害額に関しては物価高の高騰もあってかなり増額したという調査報告書になっています。知事、秋田県としては南海トラフそのもので大きな被害っていうのはあまり想定できないかもしれないんですが、日本全体としては大きな影響が出るというところで、知事、この結果についてどのようにご覧になったのかをお願いします。
(知 事)
東南海、東京から九州まで、非常に産業集積、重要なのは最も大きい製造業、あの主要なところが全部ある。これが全部いきますと、日本は立ち直るまでどうするか。あとは避難、千何百万人をどうするか。単純に言えば、原発、核弾頭、あれがあそこに3つぐらい落ちた状況ですよね。そうしますと、復旧・復興、日本が100年以上戻るんです(元の状態に戻るまで100年以上かかる)。これをどうするか。やはり、あそこに偏在するという。確かにあそこら辺は温暖で、貿易、あるいは海外との交流は非常にしやすいところです。ただ、それが逆に言えば、何かがあれば、日本が立ち直るまでは、まず100年はかかる。当然、あまりそういう物理的な影響のない地方においても、東北とか北海道、完全にこれは影響を受けます。そうしますとどうするか。これは単純に言えば、あそこら辺が消滅するんですよ。日本列島沈没と同じ被害ですから。ここをどうするか。やはり単純に言えば、最近のあそこら辺の製造業を地方に、うちの方にもあれを想定しながら、あそこに集中しないで、こっちの方に移って、セーフティネットという考えが出てますんで、主要な産業を分散するということを政府がしっかりやることによって、経済損失、あとは人口の減少、人口の移動、これをやることによって緩和するのかなという。うちの方でも実はものすごい津波を想定したシミュレーションをやったんですよ。これは発表してないんですよ。これ、どんなことがあっても死ぬんですよ。すごい人数の人が。ということは、そこに住んでるとどうにもならない。どんなふうに逃げても逃げきれない。そういう想定なんですよ。そうしますと、そこに住むこと自体がリスクなんです。だからすぐに別に移れっていってもそう簡単ではない。産業と就労の場、そこは社会基盤と同時に全部を移さないと人間は生活ができませんから。そこら辺、諦めるのか、少しでも改善するように今やるのか、まさに国家的な課題となるのかなと思ってます。
(記 者)
よろしくお願いいたします。
備蓄米の関連について、昨日、買い入れ契約を結んだにもかかわらず、規定の数量を納入しなかった業者が違約金などの支払いを求められるケースもありましたけれども、その市場価格と入札価格の釣り合いがとれていないことでしたりとか、現況、求められること、そして農業県としてはこの問題をどういうふうに見てらっしゃるかというふうなところはどうでしょうか。
(知 事)
単純に言えば、今の需給関係、あと備蓄米の放出、このルール、これは今一時の現象なのか、本来的に米自身がこれから不足になるのか。この根本の米の需給、これが今の流通上の市場から需給ギャップがあるのか、ここら辺がよく分からないですよね。だから私今、米をだんだん若い方が食べるんじゃないか(と思っています)。コンビニのおにぎり、あと今、牛丼屋。東京に行くでしょう。牛丼屋が異常に混んでるんですよ。私も牛丼屋に行くんですよ。で、何か昔と違ってパンよりも米の方が若い方が食べるんじゃないかと。スーパーのおにぎり売場、すごいですよ。私が行くところで、でかいおにぎりが189円。おなかいっぱいだ。ぼだっこがいっぱい入ってるんですよ。これがめちゃくちゃ売れてる。お昼に出るでしょう。あっという間にないのです。買っていくのは意外と若い方です。パンもだけれども、米の需給がだんだん戻ってきたのかなという感じもします。だから、今の状況は、流通の関係で、何かそういうそごがあるのかなという。そこは別ですが、問題は政府が需給環境をどういうふうに見ているか。需給関係が本当にひっ迫すれば、うちの方にはプラスですね。
(幹事社)
関連の質問がある社はないですか。
その他いかがでしょうか。
(記 者)
話題変わりますけど、知事選について、ちょっと投票率をお伺いしたいんですけれども、前回の記者会見で、知事は投票を呼びかけるようなことをおっしゃってましたけれども、肌感で構いませんので、今回の知事選、盛り上がっているかですとか、県民の関心度をどう捉えているでしょうか。
(知 事)
新人同士、若干、私の3回の再選、2、3、4、これよりは盛り上がってる。ただ、だからといって、ものすごい盛り上がりがあるかといえば、そうではない。最近の投票率は五十五、六。60を超すかどうか。まあ60を超さないと盛り上がってるとは言えないな。ただ、今の時期は異動時期です。これは前にも言ったとおり異動時期。これで行こうとしても行けない人がいるんです。だから時期にもよるかなと。だから、何となく国政も政治に対するしらけムード。これがまだあるんです。そこら辺、さっき言ったとおり、何か国政がもたもたしてると地方行政も何となく引っ張られるんです。あとは、この後、参議院選挙もあるし、場合によっては解散総選挙がありますんで。あと党派が増えてますね。この関係でものすごいでしょ、今。だからそこら辺、相当価値観がばらばらになって、ワンイシューのところに集まっていくという。だからこれ、ワンイシューのところはすぐ変わるんですよ。だから、国民全体、無党派層がだんだん多くなってくるという。無党派層は選挙ごとに政党を選ぶんですよ。そうしますと、だんだんまとまりがどうなるか。だからそこら辺、ヨーロッパは政党が多くて連立政権が相当ごたごたするという。こういうことになるのかな。昔は55年体制までは体制選択は自由主義か社会主義か。自由主義の中でどっちが自分のところか。この判断なんですね。そこら辺、何となく知事選も盛り上がってるように見えるけれども、あんまり関心がない人も多いんですね。
(記 者)
分かりました。前回2021年の知事選だと、過去最低の投票率56.56パーセントでしたっけか、56パーセントぐらいだったんですけど、それよりは上回る下回る、どう見てらっしゃいますか。
(知 事)
新人同士ですから上回るんじゃないかな。ただ前も相手が国会議員の経験があって、相当地盤がある人だから盛り上がると思ったら、ああいう状態でしょう。だから今回も56を超えても、そんなに大きくなるのかなって、そんな雰囲気がありますね。
(記 者)
ありがとうございます。
(幹事社)
知事選に関連して質問ある方はいらっしゃいませんでしょうか。
その他いかがですか。
(記 者)
先ほど職員への最後の新年度の挨拶を行って、幾つか重要事項を挙げて挨拶されてましたけども、そこに込めた思いと、最後の新年度の挨拶をどういうふうに臨まれていたのか、お話をお願いします。
(知 事)
今日は5つの重要事項、あれは知事さんが代わっても、大きな政策変更がない状況です。今一番なのは、やっぱりトランプさんの関係で、車の産業に相当ダメージがあるという。そうしますと、本県は意外と部品製造プラス電子部品の方が相当広いんですよ。単純に言えば、銅とかは車の関係のものにも使いますんで、うちの方の得意な分野の非鉄金属製造業、こういうところに行けます。あと半導体。だから相当今、どうなるか。まさにこれが日本で、メーカーによっても違いますが、これが相当影響しますと、GDPが下がります。あと、この後困るのは、アメリカから農産物輸入を強制されるという。そうしますと日本の農林水産業、相当影響があるという。ここら辺、なかなかトランプさんがああいう状況ですので、そう簡単に覆るかどうか。政府も関税を何とか適用除外にしてくれと言っても、果たして日本だけそういうふうになるか。だから今、ある意味で経済不況対策を想定する必要があると。
あと大きいのは、災害はすぐにでもやってきますんで、災害対策、これは誰がやっても必要です。あと、洋上風力。FIP、あの変更はワーキングの審議会ではオーケーなんですよ。これを政府が正式決定するかどうか。正式決定しますと、あの案件はうまくいくんじゃないかという。ただ、正式決定となってませんから、これがいつ頃、政府が方針を出すか。あと米需給の問題、ここら辺が非常に大きい問題で、これは今すぐにでも取りかかって、データを集める、あるいは情報を集めながら新しい知事さんに判断してもらうという、そういうふうな作業が出てきますんで、まずそこら辺を急ぐ必要があるのかなということで、今日、ああいう5つの課題をお話ししたという、そういうことです。
(記 者)
最後の新年度の挨拶だったっていうことについては。
(知 事)
16回やってますが、まずは何となく緊張感から解き放されるということと、あとは何とかこの後、新しい知事さんがどちらになっても、本県の振興に対して職員が一致団結してやってもらいたいという。あと議会の方も十分意志疎通をやって、有り体で言えば、あまりもめることなく議論を尽くして、いいものはどんどん進んでもらいたいという気持ちでいっぱいです。
自分はあと解放されますから。ただ、あの自分なりにこの後、幾らでも県政の発展に貢献するような、一県民として幾つか自分も持っていますので、一県民として県政に貢献するような仕事が、ある意味、民間企業と組んで今やりつつありますんで、そこら辺をこの後の生きがいにしていければと思ってます。
(幹事社)
すいません、今のお答えに関連して、退任された後、県政の発展に貢献できるよう民間企業と組んでやられるということですけども、お話可能な範囲で。
(知 事)
非常に民間企業の方はノウハウがありますから、まだ中身を公表するまではいってません。まだ組織もこれからですから。ただ、かなり大きな企業が入ってます。で、秋田でなければできなくて、そういうのがあるんですよ。これがうまくいきますと、経済あるいは雇用に相当、すごいですよ。ただ、そう簡単にすぐにはできませんよ。だから、その研究には取りかかるということで、まず大体合意、民間と県内大学、あとは東北大学、何ていうか、これを研究しようと、そういうところまではきてますんで、その具体的なところはちょっとまだ。
(幹事社)
その取組のテーマというかですね、どういう目的の事業でしょう。
(知 事)
グリーン化です。洋上風力を活用する、電力を活用する。また秋田の広大な土地をどう活用するか。あとそこら辺、相当最新の技術、テクノロジーが入りますんで、そう簡単にはいきませんけれども、まずこれをやろうということで何人か有志を募って今やってます。
(幹事社)
その中で知事はどういう立場で関わっていく。
(知 事)
もともと技術系ですので、今は通用しないけれども、そういう自分の出身大学と関係がありますんで、そこへのつなぎはできます。あと、若干専門的な知識も。自分がやるのではないけれども、全体概要を分かりやすく説明することはできます。私も専門家ではないけれども、行政も関係があるんですよ、最後はね。だからそこら辺、まあこのぐらいにしておいて。
(幹事社)
ありがとうございます。
その他ございますでしょうか。それでは以上で終わります。どうもありがとうございました。