秋田県観光戦略課の補助制度を活用し施設改修等を行った事例について、紹介いたします。

県内宿泊施設における高付加価値化の先進事例

 「高単価な客室の稼働率を上げる」 湯瀬ホテル(鹿角市)

露天風呂付き客室(湯瀬ホテル)露天風呂付き客室(湯瀬ホテル)

【概要】
 これまで使用してきた大浴場を源泉かけ流し露天風呂付き客室(7室)に大規模改修し、高単価な客室に生まれ変わらせるとともに、その稼働率を上げることを追求し、着実に売上高を増加させた。
 また、職員間のコミュニケーションツール(インカム)の増強による業務効率の改善と職員定着率の向上を図っている。
 
【利用した主な補助制度】
・R3年度宿泊施設感染防止対策等支援事業(施設改修)
・R4年度宿泊施設生産性向上支援事業(システム導入)
・R6年度宿泊事業者経営力強化支援事業(システム導入) など
 
【実施内容】
・コロナ禍で大きな影響を受けていた令和3年に、稼働率の低い本館11階にあった展望大浴場を解体し、宿泊ニーズが高い源泉かけ流し露天風呂付き客室を新たに7室設置するとともに、この7室を中心に高価格帯の客室の稼働率を向上させることに注力した。
・広いホテル内にあっても職員間の情報共有をスムーズに行うため、インカムをWi-Fi経由のシステムに全面交換することで業務効率の改善を図り、利用者と職員の双方の満足度を高める。
 
【効果】
・宿泊単価がコロナ禍前(令和元年)から令和6年にかけて約6,000円(約45%)上昇したほか、従業員の給与(年収)も令和4年から令和6年にかけて約27万円(約7%)上昇した。
・全118室ある客室の中でも、源泉かけ流し露天風呂付き客室はホテルの象徴(顔)であり、同部屋タイプは令和6年度に過去最高の稼働率となり、この7室だけで売上の1割弱を稼ぎ出すなど、売上と収益への貢献度も向上している。
・人手不足が著しい宿泊業の中で人材の確保には苦労しているものの、近年は横ばいで推移しており、営業に必要な従業員数を確保できている。
 

「宿の価値を高めていく」 日景温泉(大館市)

 日景温泉の外観露天風呂(日景温泉)

【概要】
 上質な秋田の田舎をコンセプトに、団体客向けの湯治宿から貸切家族風呂や個室の食事会場を備えた個人客向けの宿への転換に成功し、コロナ禍でも売上を倍増させた。
 
【利用した主な補助制度】
・地域経済循環創造事業交付金(国、県)
・コロナ対応観光宿泊施設受入態勢整備促進事業費補助金(県)
・宿泊施設感染防止対策施設改修等支援事業費補助金(県)  など
 
【実施内容】
・建物が老朽化していたため、客室数80室を3分の1(28室)まで減らす大規模な施設改修を行い、
温泉付きの特別室や広めの和洋室を中心とした構成に見直した。
・もともとあった大浴場の他に、滝を眺められる露天風呂など、5箇所の貸切露天風呂を新設し、宿泊し
ながら、湯巡りが楽しめるようになった。
・プライベートな空間を確保するため、食事会場は全て個室化した。
 
【効果】
・数年にわたるリニューアル工事により、宿泊単価は以前の1万円前後から大幅に引き上げることに成功
した。温泉付き特別室は、1泊4~5万円の価格設定となっているが、大都市圏を中心に多くの宿泊者が
訪れている。
・コロナ禍で経営状況が厳しい宿泊施設が多い中、令和3年の売上高は前期比約200%を達成し、令和
4年についても順調に推移している。