令和6年度政府予算案及び令和5年度補正予算は、足下の物価高に対応しつつ、持続的で構造的な賃上げや、デフレからの完全脱却と民需主導の持続的な成長の実現に向け、人への投資や成長力の強化に資する国内投資の促進、少子化対策・こども政策の強化など新しい資本主義の実現に向けた取組を加速するとともに、国土の強靱化や安全保障環境の変化への対応を始めとする重要課題に対応したものと受け止めている。
 県としては、こうした国の予算を効果的に活用しながら、人口減少問題の克服に向けた「未来の秋田を支える人への投資」や、県民の生命や財産を守るための「気候変動に対応した防災力の強化」に取り組むとともに、推進期間の3年目となる「新秋田元気創造プラン」の更なる加速化を図るための施策・事業について、重点的に推進していく。
 なお、主な分野に関しては、以下のとおりである。
 
1 少子化対策・子ども関係予算について
 国の「こども未来戦略」において、令和6年度から3年間集中して取り組む「こども・子育て支援加速化プラン」の具体的な施策として、児童手当の抜本的拡充や、妊婦や子育て家庭を対象にした「出産・子育て応援交付金」の継続実施のための予算が確保された。
 県としては、こうした国の制度を活用し、市町村との連携も図りながら、妊娠・出産、子育てしやすい環境づくりを進めていく。
 
2 物価高対策にかかる予算について
 補正予算により、燃料油をはじめとしたエネルギー価格の負担軽減、農業分野における化学肥料等の生産資材の使用低減や省エネ技術の導入、国産飼料の生産・利用拡大の支援が措置された。
 また、所得税・個人住民税の定額減税においては、地方の財政運営に支障が生じないよう、地方交付税について所要の額が確保された。
 県としても、こうした国の対策を踏まえて、県民の暮らしを守るための支援を行っていく。
 
3 選択・集中プロジェクトにかかる予算について
 
(賃金水準の向上)
 賃金水準の向上につながる施策として、新分野展開や業態転換を目指す事業者を支援する事業再構築補助金について、制度が拡充された。
 また、設備投資、販路開拓、IT導入など生産性向上等に向けた取組の支援、賃上げ原資確保に向けた価格転嫁対策、構造的な賃上げに向けた支援が盛り込まれた。
 県としても、こうした国の制度を活用し、中小企業・小規模事業者の生産性向上や成長分野の拡大に取り組んでいく。
 
(カーボンニュートラルへの挑戦)
 2050年カーボンニュートラルの実現に向けて、再生可能エネルギーの更なる導入を促進するため、洋上風力発電の導入拡大に向けた調査に関する予算が措置された。
 また、川上から川下までの森林・林業・木材産業によるグリーン成長のための予算が確保されたほか、令和6年度税制改正により、森林環境譲与税の譲与基準が森林面積の多い市町村に手厚く配分されるよう見直されることとなった。
 県としても、こうした国の制度を活用し、再生可能エネルギーの導入拡大や、再造林など森林資源の循環利用の促進に取り組んでいく。
 
(デジタル化の推進)
 「デジタル田園都市国家構想交付金」が引き続き措置されたほか、自治体情報システムの標準化やマイナンバーカードの利便性向上、中小企業のデジタル化・DX支援などの予算が盛り込まれている。
 県としても、様々な分野のデジタル化を進めることで、行政サービスの向上、地域産業の生産性向上や競争力強化、県民生活の様々な場面における利便性の向上を図り、誰もがデジタル化の恩恵を享受できる社会の実現を目指していく。
 
4 予算全般について
 
(地方財政対策)
 一般財源総額について、交付団体ベースで前年を上回る額が確保されたことに加え、地方交付税総額を増額し、かつ臨時財政対策債を抑制したことについては、高く評価できる。
 物価高騰による県内経済への影響が長期化する中、国の総合経済対策と歩調を合わせつつ、補正予算において措置された物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金等を有効に活用し、引き続き県民の暮らしを守るとともに、今般の大雨を受けて実施する抜本的な治水対策はもとより、人口減少対策や県民所得の向上につながる産業・雇用施策などに重点的に取り組んでいく。
 併せて、歳入・歳出の徹底した見直し等により財政の健全性を維持しつつ、持続的かつ安定的な財政運営が行えるよう、地方財政基盤の充実・強化について国に働きかけていく。
 
(成長産業の拡大・企業支援施策)
 中小企業等の経営基盤の強化や生産性の向上、賃上げ等に向けて、経済社会の変化に対応した事業再構築の取組への支援や中小企業・小規模事業者の設備投資、システム構築等への支援が盛り込まれたほか、事業再生支援や円滑な事業承継を実施するための予算が確保された。
 今後も、商工団体等と連携しながら、こうした国の制度の活用を促し、中小企業・小規模事業者の支援に取り組んでいく。
 
(農林水産業の振興)
 食料の安定供給の確保に向け、大豆やソバ等の畑作物の産地形成を促進する「畑地化促進事業」をはじめ、生産基盤の整備等を推進する「産地生産基盤パワーアップ事業」や「農業農村整備事業」、「水産基盤整備事業」などの予算が確保された。
 今後もこうした国の予算を積極的に活用しながら、食料供給力の強強化に向けた取組を加速していく。
 
(観光・交流の活性化と交通基盤の整備)
 都市公園の機能向上と地方創生の拠点となるアリーナの整備に充当可能な予算が確保され、PFIの場合は引き続き優先的に支援されることから、新県立体育館の整備に当たっては、こうした国の交付金を最大限活用していく。
 また、インバウンドの本格的な回復に向け予算が確保されたため、最重点市場に位置づける台湾からの直行便の継続運航や定期便化の実現に取り組むとともに、冬季を中心に誘客を積極的に推進していく。
 
(人口減少対策と地域社会づくり)
 「デジタル田園都市国家構想交付金」の活用等による東京圏への一極集中の是正と活力ある地域社会の実現に向けた姿勢が示されており、これら関連予算を有効に活用し、移住の促進や関係人口の拡大などを力強く進めていく。
 
(健康長寿・地域共生社会の形成)
 健康寿命延伸に向けた疾病予防の強化、医療・介護分野のDXの推進、包摂的な共生社会づくりに資する各種福祉施策の充実など、国民一人ひとりが豊かさを実感できる社会の構築等に必要な予算が確保された。
 また、令和6年度診療報酬・介護報酬等の改定においては、物価高騰や賃金上昇などを考慮した改定の方針が示されている。
 県としても、国の予算を活用しながら、引き続き県民に対する保健・医療・福祉サービスの充実に取り組んでいく。
 
(教育・人づくりの推進)
 小学校において、学級編制の標準を令和3年度から令和7年度までの5年間で35人に計画的に引き下げるほか、高学年における教科担任制の推進に必要な教職員定数が措置されている。
 併せて、教員業務支援員や部活動指導員の配置等、多様な外部人材の活用支援などについて、予算の充実が図られており、県としては、これらを有効に活用し、教育環境の整備に努めていく。
 
(強靱な県土づくりと防災力強化)
 令和2年度より「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」を集中的に実施してきており、補正予算においては前年度を上回る配分があったほか、令和6年度予算案における公共事業の全体額は、前年度と同程度の予算が確保されており、本県の要望が一定程度反映された。
 今後も、産業振興や交流人口の拡大、防災・減災対策等の更なる推進のため、本県への配分額の確保に向けて、国に対し要望していく。
 
(環境保全対策の推進)
 クマによる人身被害の発生を抑制するため、人の生活圏に出没するクマの調査・捕獲、人の生活圏への出没防止対策のための予算が措置された。
 また、農作物や家畜への被害防止に向け、侵入防止柵の整備や捕獲機材の導入、捕獲活動経費などを支援する「鳥獣被害防止総合対策」の予算が確保された。
 県としては、こうした予算を活用しながら被害防止に取り組み、県民生活の安全・安心を確保していく。
 
 
令和5年12月22日
秋田県知事 佐竹 敬久

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