私の社会を見る目が育った中学時代頃から祖父に、「世の中平穏な時ばかりであればよいが、残念ながらそんな時代は永久に来ないのが人類の歴史だ。」というようなことを度々聞かされていました。
 私の家系も関係しているのではと思われますが、祖父は明治の人で、若い頃には「心身の鍛錬」ということで、寝るときは昔の高枕(下が木製の台でその上に枕の乗ったもの)
で寝せられ、高枕によって生ずる首と敷き布団の間の空間に抜き身の短刀が差し込まれ、その状態で寝る訓練や、夜中の就寝中に布団の近くの衝立を倒され、それを手で受けとめられまで「心身の鍛練」というものを強いられたと言っていました。
 明治時代ですので江戸時代の名残があり、いわゆる敵の夜討ちへの備えという意味合いのもので、今の時代では想像もできないものです。
 さて、目下世界中で新型コロナウイルス感染症の拡散が人類共通の一大危機となっていますが、いわゆるこのような疫病のまん延はこれまでも度々繰り返されて来ており、今から100年前には、スペイン風邪というインフルエンザが世界中に拡散し、1億人以上の死者が出たという記録があります。
 様々な細菌やウイルスは新しいものが出る度に性質が異なり、医学がいくら進歩しても、あらかじめ何にでも効くようなワクチンや治療薬を作っておくことは困難なようです。
 一方、新型コロナウイルスで大騒ぎしている脇では、別の種類の危機も進行中です。
 その一つは、地球温暖化による気候変動は、地球の生態系を狂わし食糧確保の面に影響が及びつつあるほか、激甚的な気象災害が頻発し、多くの犠牲者を出すようになっており、二酸化炭素排出抑制のための自然エネルギーの導入拡大が国家的命題になっています。
 また、日本近海では国家の衰退にもつながり兼ねない巨大地震の発生確率が高まり、いつ来るか分からない巨大地震への備えも一大危機管理事案になっております。
 さらに海外に目を向けると、北朝鮮の高性能ミサイル開発の進展に伴う我が国の安全保障、中国の膨張政策に伴う台湾侵攻の可能性や尖閣諸島への不法干渉、さらには巨大な中国経済が破綻した場合の世界的経済危機など、いずれも我が国に重大な影響を及ぼすもので、中国の今後の動向に目が離せない状況です。
 加えて、ロシアとウクライナとの対決は、アメリカやNATO諸国も巻き込み、場合によっては米ソ冷戦の再現や、燃料価格への影響など経済面でも影響が大きく、警戒水域に近付きつつあります。
 いずれ、平穏に収まることを望みますが、世の中必ずしも願いどおりには運びません。
 新型コロナウイルスにばかり気を取られている間に、さらに大きな危機が身近に迫っていることも認識しておく必要があるのではないでしょうか!

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