今議会におきましては、補正予算案及びその他の案件についてご審議をお願いするものでありますが、提出議案の説明に先立ち、諸般の報告を申し上げます。
  国では、今後の我が国の経済財政運営の指針となる「骨太の方針」と「まち・ひと・しごと創生基本方針」を、今月9日に閣議決定し、地方創生については、「しごと」が「ひと」を呼び、「ひと」が「しごと」を呼び込む好循環を地方に確立し、将来にわたり地域が成長を続けることができるよう、地域の中核的な産業の振興や専門人材の育成等を通じ、地方の平均所得の向上や東京一極集中の是正などを目指すという方針が示されました。
 また、地域が域外から「稼ぐ力」を強化するため、一次産品や観光資源、スポーツ資源など地域の特性を活用した「しごと」づくりの取組を深化させるとともに、空き店舗や遊休農地、古民家などの遊休資産の活用等を進めるほか、東京23区内の大学の学部・学科の新増設の抑制と併せ、地域への貢献に向けた地方大学の振興などにより、東京圏から地方への新たな「ひと」の流れをつくるとしております。
 地方創生の取組は3年目を迎え、本格的な事業展開の段階に入っており、本県においても、「あきた未来総合戦略」に基づき、産業振興による仕事づくりのほか、交流人口の拡大、人口減少の抑制を図る移住・定住対策や少子化対策など、地方創生の取組を集中的に展開してまいりました。
 これまでの取組により、航空機や自動車産業での生産拠点形成に向けた動きや、洋上風力発電を含めた新エネルギー関連産業の集積の進展、園芸メガ団地を中心とした戦略作物の拡大や大規模畜産団地の形成、林業・木材産業の成長産業化など、本県を牽引する産業の礎が築かれてきており、雇用創出に向けた動きが活発化してきております。
 また、平成28年度の移住者が目標の100人を大きく上回る293人となったほか、東北各県との連携強化による積極的な誘客プロモーションなどにより、外国人宿泊者数は着実に増えており、昨年は6万人を超えるなど、移住・定住や交流人口の増加の面でも一定の成果が現れてきております。
 こうした動きを加速させながら、この4月に設置した「あきた未来創造部」を中心に、引き続き人口減少の克服に向けた取組を強力に展開していくことにしておりますが、一方で、全国的な状況を見ると、東京一極集中の流れに歯止めがかかっておらず、この流れを断ち切るためには、地方の取組だけでは自ずと限界があり、国として、人口減少克服や真の地方創生の実現に向け、あらゆる施策を総動員する大胆な取組が求められます。
 このため、先日、関係大臣を訪問し、地方への移住促進や産業再配置など、東京一極集中の是正に向けた構造改革の推進や、これらの取組を支える地方の財政基盤の充実強化などについて要望してきたところであり、今後も、「まち・ひと・しごと創生」の理念の実現に向け本腰を入れて取り組むよう、国に対し強く働きかけてまいります。
 本県の人口減少への対応については、社会減を半減させ、さらに解消を目指す「攻め」と、人口減少下にあっても、県民が安全・安心に暮らせる環境を維持する「守り」の両面にわたって施策を展開してまいりますが、今回新たに打ち出す施策について申し上げますと、「攻め」の施策としては、「人材の確保」であります。
 景気の改善や企業の採用意欲の高まりなどにより、4月の全国の有効求人倍率はバブル期を超える1.48倍に上昇し、本県の有効求人倍率についても1.33倍と過去最高になっておりますが、専門知識や資格が必要な職種では人材不足が深刻化してきており、業績の悪化や労働環境の低下につながることが懸念されております。
 こうしたことから、県では、まずは高校生の県内就職率の向上や、本県出身大卒者の県内就職促進などの取組を強化するほか、各業種毎に状況や課題が異なることから、例えば、建設分野では、人材の確保・育成を担う組織を新たに立ち上げ、就職情報の提供や企業とのマッチング、インターンシップの斡旋などを積極的に行うとともに、福祉分野では、介護サービス事業における労働環境や処遇の改善を図るほか、中高生とその保護者向けの情報提供を強化するなど、多様な人材の確保・定着に向けた取組をきめ細かに進めることにしております。
 さらに、労働団体や経営関係者と一体となって「秋田県公労使会議」を設立し、県内企業における賃金等の処遇面や就労環境の改善に向けた協議を進めるとともに、女性が働きやすい職場環境の整備や在宅勤務に必要な情報通信機器等の設備導入など、女性や若者に魅力ある職場づくりを進める企業を支援し、県内における雇用や労働の質の改善を図り、人材の県内定着に努めてまいります。 
 また、県民が健康で安心して暮らせる「守り」の施策についてでありますが、先日発表された人口動態統計では、合計特殊出生率は前年より0.04ポイント改善し、全国順位も上昇しているものの、がんや脳血管疾患などの生活習慣病による死亡率は、依然として全国的にも高い結果となっております。
 誰もが生涯にわたって健康で安心して暮らすことのできる健康長寿社会の構築は、県民が豊かさや幸せを実感できる基盤となるものであり、県民挙げて、その実現に向けた行動を起こすべき時と考えております。
 このため、保健・医療機関や経済団体などと一体となって、県民一人ひとりが、運動や食生活、喫煙といった生活習慣の改善を図り、積極的に健康づくりに取り組む県民運動を幅広く展開するほか、市町村と連携し、地域において健康づくりを推進する人材を育成するなど、県民の健康寿命延伸に向けた取組を強化してまいります。
 また、脳・循環器疾患、認知症など、高齢者に多い疾患に対応するため、脳血管研究センターの医療・研究機能を強化するほか、秋田大学が新たに設置する「高齢者医療先端研究センター(仮称)」の運営を支援するなど、医療提供体制の整備も併せて進め、「健康寿命日本一」の実現を目指してまいります。
 「人口減少」と「少子高齢化」への対応については、地道な取組を息長く継続していくことが肝要であり、市町村や産業界、教育界などあらゆる主体とともに、人口減少への危機感と地方創生の意義を共有しながら、その克服に向け、一丸となって取り組んでまいります。
  次に、クマによる人身被害について申し上げます。
 先月27日、仙北市田沢湖玉川の山林において、タケノコ採りをしていた女性がツキノワグマに襲われ死亡するという大変痛ましい事故が発生いたしました。
 県では、今般の事故を受け、同日付けでクマ出没警報を発令し、県民に対し強く注意を喚起するとともに、「ツキノワグマ被害緊急対策会議」を設置し、バリケード等による林道への立入制限やチラシの配布などの被害防止対策を講じたところであります。
 その後も各地でクマが目撃され、負傷者も出るなど、今後もクマによる被害が懸念される状況にあることから、出没の恐れのある地域への立入自粛の呼びかけやパトロールの実施を強化するとともに、広く専門家等の意見もいただきながら、公共施設周辺等への電気柵の設置、里山での雑草木の刈払いによる緩衝帯の確保など、市町村や関係機関と十分連携しつつ、クマによる人身被害の未然防止対策に総合的に取り組んでまいります。
 次に、「ねんりんピック」について申し上げます。
 来る9月9日から12日にかけて、「秋田からつながれ!つらなれ!長寿の輪」をテーマに、第30回全国健康福祉祭「ねんりんピック秋田2017」が開催されます。
 「ねんりんピック」は、県内外から約1万1千人の選手・役員が集い、卓球や軟式野球、囲碁など、様々な種目で交流大会が実施されるほか、美術展や健康関連イベント等が多数開催される予定となっており、高齢社会のフロントランナーである秋田だからこその知恵や経験を生かした、「元気にとしょる」健康長寿の素晴らしさを実感できる一大イベントであります。
 県民の皆様には、ボランティアとしての参加や大会の観戦などを通じ、県内外のあらゆる世代の方々と交流を深めながら、人と人、地域間の絆を強く結び、次世代につなげていく主役となって、大会に参画していただきたいと考えております。
 次に、平成33年に予定されている「第76回国民体育大会冬季大会スキー競技会」について申し上げます。
 先月23日、公益財団法人日本体育協会から、鹿角市花輪スキー場での実施を前提とした、本県での開催について要請がありました。鹿角市での開催については、これまでの開催実績に加え、スキー競技四種目を1つの会場でコンパクトに実施できることなどが評価されたものと受け止めております。
 地元での国体の開催は、本県選手団の競技力向上につながることはもとより、交流人口の拡大と地域の活性化に寄与する貴重な機会となることから、鹿角市や県体育協会、県スキー連盟と協議を進め、開催に向けた合意形成に努めてまいりたいと考えております。
 次に、提出議案の主なものについて申し上げます。
 はじめに補正予算案についてでありますが、今年度の当初予算は、知事選を控え骨格予算として編成したことから、今回の補正予算案は、その肉付けとして、「第2期ふるさと秋田元気創造プラン」の最終年度における取組や、「あきた未来総合戦略」に基づく新たな事業等について計上しております。
 補正予算案を、「あきた未来総合戦略」に掲げる基本目標に沿って説明申し上げます。
 まず、1つ目の目標である「産業振興による仕事づくり」についてであります。
 はじめに、「地域産業の競争力強化」については、地域経済の牽引役となる中核企業を育成するため、サプライチェーンの形成等、地域内企業に大きな波及効果を持つコネクターハブ機能の強化となる取組に対し助成するとともに、今後の成長が見込まれる産業分野における設備投資を促進するほか、企業ニーズに対応した貸工場の建設等を行う市町村に対し、新たに支援制度を創設するなど、成長産業の集積・拠点化を図ってまいります。
 また、県内就職の促進と県内企業の人材確保に向け、行政機関・労働団体・経営関係者等による「秋田県公労使会議」における議論を踏まえ、生産性向上、処遇や職場環境の改善等の「働き方改革」の推進を図ってまいります。
 「農林水産業の成長産業化の促進」については、「えだまめ」に続き日本一を目指す「しいたけ」について、生産拠点の整備を図りながら、生産拡大と販売促進の取組を一体的に推進するとともに、大規模肉用牛団地等の整備を着実に進めるなど、収益性の高い複合型生産構造への転換を加速してまいります。
 また、平成30年からの米政策の見直しを見据え、水稲新品種のデビューに向けた取組を強化するとともに、生産者やJA等が行う中食・外食等の業務用需要に対応した商品づくりや流通販売体制の整備などの取組を支援し、実需と結びついた産地づくりに努めてまいります。
 さらに、営農現場における労働力不足に対応するため、県外からの移住就業の促進に加え、中年層の就農を積極的に支援することにより、多様なルートから新規就農者を確保するほか、ICTを活かして農作物の生育環境を自動制御する生産施設を整備するなど、農業生産の効率性向上に取り組んでまいります。
 林業・木材産業については、林内路網の整備等を行い、引き続き低コストで効率的な素材生産を促進するとともに、イタリアのミラノ市で開催される国際的な家具の展示会に秋田スギを使った製品を出展し、国内外における秋田スギの知名度とブランド力の向上を図るなど、成長産業化に向けた取組を一層推進してまいります。
 「観光を中心とした交流人口の拡大」については、インバウンド誘客を促進するため、台湾、韓国、タイ等の重点市場に向けたプロモーションを集中的に展開するとともに、県内の観光資源を活用した地元提案型の旅行商品づくりや宿泊等の手配を行う新たな民間企業に出資するほか、県内宿泊施設について、旅行者の多様なニーズへの対応が課題となっていることから、民間宿泊施設が行う、地域の観光振興に資する大規模改修に対し、新たに助成制度を創設するなど、国内外からの誘客促進につながる魅力ある観光地づくりと受入態勢の整備を進めてまいります。
 「秋田のうまいもの」については、食の国秋田ならではの特産品である「いぶりがっこ」について、本県初登録となった「大館とんぶり」に続き、地理的表示保護制度、いわゆるGIマークの取得に向け、原料の確保や製造マニュアルの確立等に取り組み、秋田の食のブランド化と販売拡大を推進していくほか、本県が誇る清酒について、高品質化や販路の開拓を図るため、蔵元が行う特定名称酒の増産に向けた設備の導入や、関西圏等新たなマーケットを目指した販売強化の取組を支援してまいります。
 本県スポーツの競技力向上については、中学生を対象に、多様なスポーツに対する競技適性を見出すなど、ジュニアアスリートの発掘を図るとともに、専門的な競技指導を行うスポーツ国際交流員を招致するほか、スポーツ合宿等の誘致や本県選手の強化に向け、県内食材を使用したスポーツ栄養メニューの作成・提供に取り組んでまいります。
 また、プロサッカーチームの活躍等により県民の関心が高まっているスタジアムの整備については、関係市町村・団体とともに、地域の活性化への効果や負担のあり方等について情報の収集・整理を行うなど、今後の方向性を検討してまいります。
 2つ目の目標である「移住・定住対策」についてであります。
 「首都圏等からの移住の促進」については、移住者のニーズに対応した特徴ある空き家情報等の発信を強化するほか、首都圏・関西圏において、移住に関する漠然とした興味を持った方々に対し、秋田ファンとなっていただき、秋田も移住候補の1つとして考えていただく働きかけを積極的に行ってまいります。
 「若者の県内定着の促進」については、首都圏に在住する県出身学生の県内就職を促進するため、東京事務所に相談員を新たに配置し、大学訪問やきめ細かな相談対応を行うほか、就活総合情報誌の作成や情報サイトの拡充など、県内就職に向けた働きかけを強化してまいります。
 3つ目の目標である「少子化対策」についてであります。
 企業における仕事と子育ての両立支援の取組の更なる促進を図るとともに、子育て世代包括支援センター事業や地域子育て支援拠点事業など、地域の実情に応じた子育て環境の整備に対し助成するほか、認定こども園や放課後児童クラブの整備に対する助成、奨学金制度の専門学校生への拡充などを行い、ライフステージに応じた切れ目のない子育て支援の一層の充実を図ってまいります。
 4つ目の目標である「新たな地域社会の形成」についてであります。
 「地域社会の維持・活性化」については、それぞれの地域が抱える課題や将来展望について、市町村、地域住民、若者など多様な主体が行う課題解決や地域社会の発展に向けた取組を支援するほか、地域住民の日常生活に必要な買い物の場であり、また住民同士の交流の場ともなっている「お互いさまスーパー」の普及を進めるなど、地域コミュニティの維持・活性化を図ってまいります。
 また、高齢者が福祉や農業など様々な分野で活躍できる環境づくりを促進するとともに、女性従業員の登用や職域拡大等、女性の活躍推進に取り組む企業へ支援するなど、元気な高齢者や女性が働きやすい環境を整備することで、地域社会を担う人材の確保を進めてまいります。
 「安全・安心な暮らしを守る環境づくり」については、社会資本の整備や災害対応など、県民生活の安全・安心を支える建設業の担い手を確保するため、建設業団体や教育・訓練機関等と連携した「建設産業担い手確保育成センター(仮称)」を開設し、建設産業で活躍する女性のネットワーク化や高校生・大学生を対象としたインターンシップの実施、建設系資格取得の支援やドローン等ICTに対応できる人材育成スクールの開設支援等を行い、女性、若者の建設産業への参入を促進してまいります。
 次に、「県民の生活を支える基盤づくりの推進」についてであります。
 「元気な長寿社会の実現」については、健康づくりを県民運動として推進するための行動計画を策定するとともに、県民一人ひとりが健康を考えて生活習慣を改善するための情報を積極的に発信するほか、地域の課題や目標を共有するための市町村巡回キャラバンや、地域において、健康づくりを自ら実践し、周囲に働きかける人材を育成し、県民がいつまでも元気に活動できる「健康寿命日本一」の実現を目指してまいります。
 また、地域における認知症医療提供体制の核となる「認知症疾患医療センター」を能代・山本医療圏に開設するとともに、高齢者医療等の充実に向けて大学が新たに行う研究を支援するなど、高齢社会に対応した医療提供体制づくりを推進するほか、介護人材の確保・定着を図るため、介護事業所にアドバイザーを派遣し、従事者の処遇の改善等を進めてまいります。
 さらに、がん患者の治療と就労や社会参画の両立を図るため、ウィッグ等の医療用補正具の購入について助成するほか、外見から分からなくても援助や配慮を必要としていることを知らせる「ヘルプマーク・ヘルプカード」の普及や、小学生も対象とした手話教室の開催などを通じ、県民の障害者に対する理解を促し、障害者が社会参加しやすい地域共生社会の実現を目指してまいります。
 災害時における医療・保健等の支援体制の構築に向けた取組としては、災害時の航空搬送の拠点となる秋田空港に医療機器等を備えた臨時医療施設(SCU)を整備するとともに、被災地に派遣する精神医療チーム(DPAT)の編成及び要配慮者への福祉支援を行うチーム(DCAT)の編成準備等を行ってまいります。
 「未来を担う人づくりの推進」については、能代地区専門系統合校の整備に着手するほか、横手高等学校の建替整備に向けて、校舎等の建築位置に関連する敷地の調査を実施いたします。
 「県民の安全・安心の確保と生活環境の整備」については、性暴力被害者の心身の負担を軽減し、その健康の回復を図るため、「あきた性暴力被害者サポートセンター(仮称)」を開設いたします。
 また、動物愛護思想の普及・啓発やボランティアの育成等、「動物にやさしい秋田」の取組の拠点となる「動物愛護センター(仮称)」の建設に着手するほか、ツキノワグマ被害の未然防止等、野生鳥獣の保護管理の担い手となる人材を育成・確保するため、若手狩猟者等を対象とする講習会の開催や新規狩猟免許取得などに対する支援を行ってまいります。
 公共事業については、今回約150億円を計上しており、平成28年度から繰り越した額を含めた実質事業費を、前年度に比し、21パーセント増としております。
 一般会計補正額は、243億1,108万円であり、補正後の総額は、5,885億6,017万円となります。
 次に、単行議案の主なものについて申し上げます。
 「秋田県監査委員の選任について」及び「秋田県公安委員会の委員の任命について」は、一部委員の任期満了に伴う後任の選任等について、議会のご同意をお願いしようとするものであります。
 「秋田県県税条例の一部を改正する条例案」は、地方税法の一部改正に伴い、不動産取得税の課税標準の算定上控除する額の引上げ等を行おうとするものであります。
 以上、提出議案の概要を申し上げました。よろしくご審議の上、ご可決賜りますようお願い申し上げます。

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