平成27年度無代かき栽培研修会(第2回)を開催しました
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大潟村を含む八郎湖流域の農家などを対象に、平成27年12月17日、大潟村村民センターを会場にして無代かき栽培研修会を開催しました。これは、平成27年8月27日の現地研修会に続く2回目の開催でした。
無代かき栽培は、代かきを行わないことから、春作業の負担軽減や軟弱な水田の改良などが期待できます。また、水田から濁水排出を抑えることができ、八郎湖の水質保全にも役立ちます。
研修会には、農家などおよそ30人の方が参加し、無代かき栽培米の試食や県農業試験場研究員による講習会および意見交換会を行い、無代かき栽培について理解を深めました。
無代かき栽培米の試食会
- あきたこまち(八郎潟町産)の無代かき栽培米と代かき栽培米(同一生産者)の試食を行い、研修参加者に食味の比較をしてもらいました。
- 各参加者は、白さや艶などの外観、噛んだときの粘りや歯ごたえなどの項目で評価し、その結果を集計しました。
- 今回は、総合評価で無代かき栽培米の方が食味がよいという結果になりました。
無代かき栽培講習会
- 県農業試験場生産環境部の伊藤主任研究員を講師に、無代かき栽培の生育特性などについて研修を行いました。
- 農業試験場がこれまで大潟村などで実施した無代かき栽培の試験結果をまとめたもので、その概要は次のとおりです。
- 無代かき栽培の作業について
- 砕土率を上げるため、適正な土壌水分量で作業する。耕起から砕土作業までの間に雨に降られないよう計画的に作業する。
- 耕起は深めにするが、砕土は浅くてもよい。
- 無代かき栽培の水質保全効果について
- 大潟村における試験の結果では、無代かき栽培は、水田に流入する用水より排水の方が窒素やリンなどの負荷物質が少ない。
- 無代かき栽培の水稲生育
- 無代かき栽培は代かき栽培に比べて茎数が増加する。収量は同程度である。
- 八郎湖周辺での取り組み事例
- 大潟村以外でも、八郎湖周辺の地下水位の高い水田に適する。特に砂質土壌では砕土が容易である。
意見交換会
- 秋田県立大学生物資源科学部の金田吉弘教授を座長に、意見交換を行いました。
- 無代かき栽培を実施している農家からは、
「初期生育がよく、倒伏しにくい。」
「一発除草剤だけでは雑草の発生が抑えられないことがあるので、中期除草剤を併用している。」
「砂質と粘土質両方の水田で無代かき栽培をしているが、砂質土の方が作業がしやすい。」
「収量は代かき栽培と変わらない。」
などといった無代かき栽培の特徴や留意点について発言がありました。 - 一方、これから無代かき栽培に取り組もうとしている農家からは、
「従来の代かき栽培から変えるには、砕土がうまくいくかということと、雑草が心配。」
「代かきで均平にして、除草剤の効果を上げるという従来の考え方からは転換が必要。」
という意見がありました。 - また、無代かき栽培への取り組みを広げていくためには、
「農家の努力だけでなく、外部からの評価がなければ広がらないと思う。水質改善やCO2削減などへの貢献を評価するシステムが必要だ。」
「場合によっては機械の購入が必要な上、米が高く売れるわけではない。取り組むだけの動機付けがないという課題がある。」
「水質改善の効果を上げるには、八郎湖流域でまとまって取り組まないといけない。」
「取り組んだ農家が、やって良かったなと思うような仕組みが必要。」
など、農家の取り組みを外部からも支えることが重要であるという意見が多く出されました。
八郎湖環境対策室では、これからも八郎湖の水質改善につながる無代かき栽培の普及を進めていきます。