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企画管理部

水産業改良普及事業

  • 岩谷良栄
  • 米谷峰夫
  • 渋谷和治
  • 山田潤一

 沿岸漁業の振興と漁業経営の改善を図るため、沿岸漁業担い手活動促進事業(就業候補者啓発・少年水産教室)、沿岸漁業担い手育成事業、青年・女性漁業者交流大会、漁業士育成活用事業、交流学習事業、漁業技術交流、漁業技術育成定着事業(新技術の定着試験、技術改良試験)、水産業改良普及員研修事業(一般研修・行政研修・ブロック研修)、Aターン漁業者育成事業、沿岸漁業改善資金貸付事業、漁業就業者確保育成事業、さけ・ますふ化場指導、栽培定着強化事業指導、流通加工指導などを行った。  (P13-15)

新技術養殖業普及対策事業

  • 山田潤一
  • 岩谷良栄
  • 米谷峰夫
  • 白幡義広

中層式浮沈生簀を利用した海面でのヒラメの中間育成試験と養殖試験を行った。中間育成試験は9月から翌年4月まで行ったが、この間の生残率は海面では62~64%、陸上水槽では91~93%であった。海面では、配合飼料投与区に比べて冷凍イカナゴ投与区で成長が良かった。ヒラメ養殖試験は、4地区8ヵ統で6月から12月まで行った。養殖期間中の生残率は、金浦地区及び戸賀地区(漁港内)で92.1 ~85.5%と高かったものの、椿地区・戸賀地区(湾内)では47.0~29.5%と低く、地区による差が大きかった。 (P16-18)

水産物高付加価値化技術開発事業

  • 山田潤一
  • 塚本研一

 高品質いずしの製造技術の開発を目的とし、いずし製造の実態調査と市販いずし製品の成分分析を行った。いずしの製造量は213トン・製造額は5億3千万円程度と推定された。魚種別製造量は、ハタハタが93%と大部分を占め、以下アユ・サケの順であった。いずしの製造時期は10~3月、熟成温度は5~10℃が主体であった。熟成期間は10~60日と差が大きかった。県内の市販ハタハタずし製品は、その成分等が3地域で異なっているが、それは熟成期間、原材料配合等の相違に起因したものと推察された。 (P19-21)

海洋資源部

海洋構造変動パターン解析技術開発事業

  • 笹尾 敬

 2000年4月から2001年2月まで、17回の観測を行った。調査海域は、ニ-10線、及び40度線往復観測である。海況などで40度線往復観測が実施できない場合は毎月中旬に実施している沖合定点観測時に、主として県南部海域のデータを収集した。
D-GPSの導入により船位・船速情報の精度が向上したことにより、これまでの事前の補正はほぼ必要なくなった。
北緯40゜線の流向・流速は比較的短期間に変化しているが、その挙動について詳しい解析はできなかった。今後、75mおよび100m層の流れに注目して調査を継続する必要がある。(P23-26)

新漁業管理制度推進情報提供事業

  • 笹尾 敬

日本海区水産研究所が指定した定線の海洋観測を、1月をのぞき毎月1回実施した。結果は、日本海水産研究所、各県水試、県内漁協に提供した。
県内の主要漁港別の漁業種類別水揚げ状況を調査し、旬別漁獲量、操業隻数をとりまとめた。また、船川港漁協の大型定置、イカ釣りの漁獲状況を週1回、漁業情報サービスセンターに提供した。(P27-68)

我が国周辺漁業資源調査

  • 佐藤泉
  • 杉下重雄

我が国周辺水域における主要魚種の資源評価を行うため、定置網2経営体の標本船調査、マダイ・ブリ類など主要魚種の生物測定、沿岸資源の漁獲動向の把握、スルメイカ・ズワイガニの漁場一斉調査及び浮魚類の卵稚仔調査を実施した。
調査結果は、担当の日本海区水産研究所に報告した。
(P69-82)

我が国周辺漁業資源調査(ズワイガニ一斉調査)

  • 杉下重雄

秋田県沖のズワイガニ資源量を直接推定するため、また、約30年間にわたる雌ガニ禁漁の効果を把握するために、カニ篭を用いて8月22、23日に戸賀沖及び松ヶ崎沖にて調査した。
戸賀沖においては雄74個体、雌241個体を採集した。雄のうち甲幅90ミリ以上のものは水深288m以深でのみ採集された。雌241個体のうち成熟個体は215個体であった。また未成熟個体は26個体であったが、すぐに成熟脱皮する個体が23個体であった。松ヶ崎沖においては雄23個体、雌5個体を採集した。
2000年資源評価票等により、新潟沖に比べ雌ガニ資源量が多く、禁漁効果であると推察された。   (P83-84)

定海域新魚種定着促進事業(ハタハタ追跡・被食調査)

  • 杉下重雄

開口板付き曳網を用いて、北浦では62回、椿では12回の調査を行った。さし網調査は網生け簀周辺と天然魚生息場で行った。
北浦では121尾、椿では15尾の人工種苗が再捕され、人工種苗においてもより大型の個体が深部に生息していた。また、放流後に種苗がうまく成長できなかったことが示唆された。ホッケによる種苗の捕食は放流地点から天然魚の生息場間で認められた。
放流のタイミングを図る指標として、①表面海水温②放流地点から天然魚主群位置までの距離③ホッケ等のハタハタ仔稚魚を捕食する魚類の分布④人工種苗が天然魚に近い習性を保有することの4つが挙げられた。  (P85-86)

水産資源調査

  • 船木 勉

 底びき網漁業による漁獲量の推移は、昭和57年の11,994トンを最高に減少に転じ、58~平成3年までは5~7千トンで推移していたが、平成6年には3千トンを割り込み、さらに、平成12年には1千トン台まで減少している。
平成12年度の漁獲量は、前年比78.4%の1,869トンで前年に比較し増加した魚種は、マコガレイ、アブラツノザメなどで、減少した魚種は、ホッケ、マダラ、ヒラメ、アンコウなどであった。
調査船千秋丸による底びき網試験操業日数は23日、延べ44回で秋田沖水深54~316mの海域でハタハタ、マダラ、アカガレイの資源調査を中心に実施した。   (P87-103)

特定研究開発促進事業(メバル類の資源生態の解明と管理技術の開発)

  • 笹尾 敬

 秋田県のウスメバル漁業の漁獲対象の主体は若齢魚であることが明らかとなった。本県の漁獲の盛期は成熟期から産仔期である春から初夏にかけてであり、産仔親魚の漁獲も多くなっている。ウスメバル漁業には1)未成魚の漁獲2)産仔親魚の漁獲という特徴があり、資源に与えるダメージはきわめて大きい。一方、ウスメバルの地域的な系群は認められず、日本海全域で一つの群と推定している。
したがって、ウスメバルの管理は日本海規模で広域的に実施する必要がある。(P104-115)

複合的資源管理型漁業促進対策事業

  • 杉山秀樹
  • 船木勉
  • 杉下重雄

平成10年度に、「活動指針」及び「活動計画」を策定し、従来の魚種に加えて、漁業実態に即した資源管理の成果が、漁業経営に反映する取り組みを計画的、効率的に展開していくこととしている。
これら全体計画を踏まえ、12年度は漁業経営の安定と漁業の持続的発展を図ることを目標に、主要魚種の資源動向の把握、調査・研究および販売促進活動を中心に実施した。
なお、本事業の詳細は「平成12年度複合的資源管理型漁業促進対策事業報告書」として報告している。 (P116-117)

漁場環境調査

  • 笹尾 敬

県内のごく沿岸部の海況と沖合の主として底びき漁場の海況を把握するため、平成12年4月1日~平成13年3月31日の間、岩館漁港、畠漁港(入道崎)、戸賀、台島、金浦漁港、象潟漁港の6地点で、原則として1日1回の水温測定及び一般気象項目を観測し、旬平均水温を算出した。また、 沖合定点調査として秋田県沖合の16定点で月1回の水深別水温・塩分の観測を実施した。(P118-131)

海域環境調査

  • 土田織恵
  • 藤田賢一

秋田県沿岸の海域環境を保全する基礎資料作成のために水質、底質及び生物相の継続調査を行った。塩分は全体的に6月の調査で10月より低かんな値を示した。COD及びchl-aは陸水の影響が強い定点で高い傾向を示したが、海流の影響から高い値が分断されている定点もあった。ILは深度との関連が深く沖合ほど高い値を示した。動物プランクトンはNoctiluca scintillansが優占していた。底生生物は陸水の影響が高い定点で汚染指標種が見られたが、有機汚染の進行とは言えなかった。(P132-160)

赤潮貝毒監視事業

  • 土田織恵
  • 藤田賢一

イガイの毒化監視のため、原因プランクトンの出現状況及びイガイの毒量検査を3~8月に行った。本年度は6/17~7/14まで出荷自主規制を実施した。毒化原因種のD.fortiiは4/18~8/3まで観察され、最高値は5/23の20m層における395cells/?であった。D.fortiは水温が9.6~24.5℃の時に観察された。栄養塩類との関連は明確にならなかった。赤潮は6月にNoctiluca scintillansが原因のものが3件、8月にFibrocapsa sp.が原因のものが1件あったが、いずれも漁業被害はなかった。(P161-164)

漁場保全対策推進事業調査

  • 土田織恵
  • 工藤泰夫
  • 藤田賢一
  • 中林信康

水産庁の補助事業として秋田県沿岸及び八郎湖の漁場環境保全のため水質、底質及び生物相の現状調査を行った。海面の水質では高気温のためか水温が高めに推移した。また、5~7月にpH8.5の定点があったが、植物プランクトンの影響と思われる。藻場調査では衰退の様子は見られず、底生生物調査では汚染指標種が出現しているものの、環境の悪化とまでは言えなかった。八郎湖ではアオコの発生があったが大発生には至らず、底生生物もイトミミズが優占する平年並みの結果であった。      (P165-166)

公共用水域水質測定調査

  • 土田織恵
  • 藤田賢一

環境政策課からの依頼により、海域の水質測定を実施した。当センターでは秋田県沿岸の各調査定点における気象、海象、水温、塩分、pH、DO及びSSの分析を行った。その他の項目は同時に採水した検体を(財)秋田県分析化学センターへと搬入し、同所にて分析を行った。調査結果は環境政策課より環境白書として公表予定である。
(P167-168)

資源増殖部

種苗生産事業(餌料培養)

  • 古仲 博

 魚類、甲殻類の初期餌料として、シオミズツボワムシの生産及びそれに用いるために、ナンノクロロプシスを培養した。ナンノクロロプシスの主な使用期間は4~7月、10、11月及び翌年3月で、総使用量は1,739.8m3であった。なお、市販の濃縮淡水クロレラは、8月上旬~9月上旬の高水温期に主に添加した。使用量は1,120.0?であった。シオミズツボワムシの総供給量は 3,306.9億個体で、魚類仔魚育成用に3,032.9億個体、甲殻類育成用に274.0億個体を供給した。
(P169-171)

種苗生産事業(マダイ)

  • 古仲 博

 マダイの産卵は5月23日から始まり7月 9日で終了、分離浮上卵を1,356.3万粒収容しそれから958.3万尾のふ化仔魚を得た。ふ化率は平均70.6%、ふ化仔魚サイズは全長2.5ミリであった。餌料系列はシオミズツボワムシ、アルテミアノープリウス、魚卵(マダイ)、配合飼料を用いた。飼育は20、100トン水槽を用い8回次生産を行った。7月21日から稚魚の取り上げを開始し、平均全長24.4~ 33.3ミリ、平均体重0.28~0.61gの稚魚1,061千尾を生産した。
(P172-176)

種苗生産事業(ヒラメ)

  • 白幡義広

 回遊性資源増大パイロット事業などの放流用種苗及び養殖用種苗を生産した。
 親魚は12月中旬から加温飼育等により、早期採卵の処理を施した。
 産卵は2月下旬から始まり、種苗生産は3月下旬から開始した。
 2,058千尾のふ化仔魚を用いて、飼育期間49日から52日で18.8~24.8ミリの種苗を1,366千尾生産し、生残率は66.4%で前年度(31.7%)と比較すると高い値であった。
ヒラメ種苗生産で問題となっている体色異常魚等の出現率は比較的少なく良質な種苗の生産であったと考える。
(P177-178)

種苗生産事業(クロソイ)

  • 白幡義広

 クロソイは成長が速く養殖用種苗として需要があることから養殖用種苗を生産した。
 親魚は2月上旬から加温等の処理を施して産仔を促進した。
 3月29日及び4月1日に親魚2個体から産出した仔魚155千尾を用いて生産を実施し、飼育期間、52~84日でTL24~45?の稚魚90千尾を生産し、生残率は59.4%であった。
 今年度も前年度同様、親魚を加温飼育し、早期に産仔魚を得て早期種苗の生産が可能であった。 (P179)

種苗生産事業(アユ)

  • 秋山 将

 県内有用河川放流用及び養殖用種苗の生産を行った。
 9月より19,796千粒採卵し、このうち16,921千粒を種苗生産に使用した。ふ化仔魚は5,666千尾でふ化率は、7.5~61.9%(平均33.5%)であった。5,666千尾のふ化仔魚から2,131.6千尾の種苗を生産した。生残率は24.9~72.3%(平均37.6%)となった。また、水産振興センターで生産した種苗を、阿仁川あゆセンターにおいて中間育成を実施し、300千尾(3.5g/尾換算)を生産し県内有用河川へ放流を行った。(P180-182)

種苗生産事業(ガザミ)

  • 白幡義広

 ガザミ資源の増大を図るため漁協などの放流事業及び中間育成後の放流事業に供するための種苗を生産した。
 6月1日から7月12日までに9回次生産を実施した。
 ふ化幼生13,774千尾を用いて2,128千尾の稚ガニ(c1)を生産し、生残率は平均15.4%であった。
 前年度の生残率は平均21.5%、前々年度は10.7%で前々年度よりは高い値であったが、前年度よりは低い値であった。
 生残率が比較的高かったことについては、真菌症等の発生予防の薬浴が効果的であったと考える。 (P183-184)

ハタハタ種苗生産放流事業(放流基礎調査事業)

  • 古仲 博

11年度事業の報告

  1. 海上網生簀育成技術開発
    • 飼育は椿港内に筏6基を設置し、網生簀24面(4.8m×4.8m 深さ3m)を用いて行った。稚魚の生産数は 4,018(サイズ17.7~34.5ミリ)千尾であった。放流は県北、男鹿、県南の3地区で行った。
  2. 放流魚への標識手法の確立
    • 網生簀(24ヵ統)からサンプル4,368尾を蛍光顕微鏡(100倍)のG励起で精査した結果、装着率は平均99.9%で良好であった。

12年度事業の報告

  • 種苗生産技術開発
    • 親魚の搬入は平成12年12月13日から18日まで行い、雌4,950尾から6,500千粒を採卵するとともに、ほかに漁網(海藻)付着卵10,000千粒の計16,500千粒を確保した。発眼卵をアリザリンコンプレキソン(ALC)400ppm液に24時間浸漬することにより標識付けを行った。
      (P185)

トラフグ種苗生産技術開発試験

  • 秋山 将

 資源の維持・増大を図るため、本種の生態の解明、増殖技術開発を行った。
 採卵方法については3種類について比較を行った。種苗生産では、ふ化仔魚111千尾を使用し17.8千尾生産した。中間育成では、17.4千尾を使用し密度試験を行い13.4千尾生産した。このうち10千尾に標識を装着し放流を行った。また、県内主要漁協及び北日本の漁獲量を集計し、天王町、県北部、県南部漁協での市場調査を実施した。(P186)

イワガキ養殖技術開発試験

  • 三浦信昭

 男鹿市戸賀地先でイワガキの付着時期予測を行った。産卵盛期が8月下旬から9月上旬と推定されたため、付着盛期は9月下旬から10月上旬と予想された。
 男鹿市脇本地先の増殖場においては、最初に造成された1991年礁が最も成長が大きく、1992年以降の増殖礁は、1993年礁を除き、全高、全重量ともほぼ同様の成長を示した。1993年礁は全重量の成長が劣った。
 ムラサキイガイの付着は、5月下旬から7月上旬までに起こることが解明された。この時期に養殖水深を調整して、ムラサキイガイを防除する試験を実施した。 (P187-191)

磯焼け診断指針作成事業

  • 中林信康
  • 三浦信昭

 漁場の遷移の進行系列とウニの消化管内容物を調べた結果、極相と途中相群落間においては、ウニの食物が海藻群落に対応して異なるために、その成長と生殖巣の発達が漁場の遷移の進行系列を反映すると結論した。しかし、優占種の異なる2つの途中相群落間では、一時期の調査からは明らかに出来なかった。(P192-193)

岩館小入川地区広域型増殖場効果調査(ハタハタ)

  • 中林信康

 平成13年2月6日に、秋田県八森町岩館小入川地先に造成された広域型増殖場に産み付けられたハタハタの卵塊数を推定した。
 当該増殖場上の総卵塊数は、30,812個と推定され、昨年の約1.4倍であった。(P194-195)

地域特産藻類増養殖技術開発研究

  • 三浦信昭
  • 中林信康  

 ホンダワラの生長過程を#65378;幼体期#12301;#65378;茎形成期#12301;#65378;主枝伸長期#12301;#65378;気胞形成期#12301;#65378;成熟期#12301;の5段階に区分した。主枝伸長期となった個体は、減耗しにくく、高い割合で成熟期まで移行することが明らかとなった。
 磯焼け海域において、アカモク母藻の移植とキタムラサキウニの除去を実施したところ、高密度でアカモクを増殖させることに成功した。
 エゴノリ養殖試験では、2m×4mの漁網に種糸を巻き付けて沖出しを行ったが、4月から7月までにほとんどが減耗し、収穫は湿重26gにとどまった。  (P196-200)

マリノベーション推進事業

  • 三浦信昭

 天然岩礁及び増殖礁では一度付着したイワガキを漁獲した後、再付着し難いことから、鋼材の特性である錆びを利用し、採捕後に新しい基質を出現させることによって、稚貝の再付着を促進させることが可能であるか試験を行った。
 本年度は、共同研究者である日鐵建材工業株式会社と試験礁の形状や調査方法などについての検討を行い、日鐵建材工業において試験礁の製作を行った。
 試験礁は9月13日に金浦町地先の水深6mの海域に設置された。(P201)

アワビ放流効果調査

  • 中林信康
  • 三浦信昭

 秋田県南部漁業協同組合管内において人工種苗アワビの漁獲割合を調べた。その漁獲割合は39.8%と推定され、投資効果指数は2.02が得られた。
 また、人工種苗からの再生産個体の識別法を検討するため、殻表面に着生する直立海藻の被度を調べた。その結果、天然貝は被度が低い個体で多かったが、人工種苗には明瞭な傾向は認められなかった。(P202-203)

クルマエビPRDV検査

  • 秋山 将

 疾病の発生による経費増大を防ぐとともに、種苗生産・放流による疾病の拡散を防ぎ健康な種苗を放流するため、親エビ及び稚エビの検査を行った。
 PCR法により、親エビ462尾(96検体)及び稚エビ300尾(25検体)の検査を行った。陽性反応が認められた検体が確認されたが、再検査時においては陽性反応が認められなかったため陰性とした。この他の検体では陰性であった。
(P204)

 内水面利用部

八郎湖水産資源調査(水産資源調査)

  • 工藤泰夫

 八郎湖における水産資源の維持増大のため、ワカサギ卵40,720万粒を放流するとともに、ギンブナを放流した。
 漁場環境については、7月から8月にアオコが散発的に発生し、操業を自粛するなど漁業に大きな影響があった。ワカサギの成育状況は順調であり、平年並みの大きさで推移した。シラウオについては、9月には平年よりも小型であったものの、その後順調に成育し、10月下旬には平年並みの大きさになった。(P205-224)

八郎湖水産資源調査(漁場環境調査)

  • 工藤泰夫
  • 藤田賢一

 八郎湖における水質、プランクトン、ベントスについての調査を行った。八郎湖はCOD、栄養塩類の値が高く、富栄養の状態にある。ワカサギ、コイ、フナを対象とした水産用水基準を上回り、魚にとっては好ましい環境ではない。この富栄養の状態の中で、7月、8月はアオコが散発的に発生し漁業を休むなど大きな影響があった。動物プランクトンでは5月はCalanoida、8月はツボワムシとオナガミジンコが多く出現し、ベントスではイトミミズ類が多く出現した。(P225)

八郎湖水産資源調査(ヤマトシジミ人工種苗放流・追跡調査、天然貝分布調査)

  • 佐藤時好

 八郎湖湖岸の払戸地先に9.5×6.5mキャンバス水槽10基を設置し、7月28日から11月6日の間に2回転の種苗生産及び中間育成を実施した。その結果、合計で昨年(3回転)の稚貝生産数8,617千個体より多い9,765 千個体を生産した。
 また、中間育成(給餌飼育)を行ったことにより、種苗サイズもこれまでの2~5倍の大型サイズで放流することが可能となった。この放流試験に加え、放流稚貝の追跡調査や船越水道及びその周辺における天然貝の分布調査を実施した。(P226-235)

河川水産資源調査(アユの遡上、仔魚の流下状況調査)

  • 高田芳博

 米代川水系を対象としてアユの遡上、成育・釣獲並びに仔魚の流下状況について調査を行った。阿仁川根小屋頭首工では約44万尾の天然稚アユが遡上し、サイズは小型でありながらも釣獲尾数はシーズンを通じて一人当たり平均20尾を超え、状況は比較的良好であった。米代川を流下した仔魚の総数は34億5千万尾と推定され、最近5年間では平成8年に次いで少ない値であった。    (P236-241)

十和田湖資源対策調査

  • 水谷 寿

 脂鰭と左腹鰭を切除した標識魚56,800尾を無標識魚約982,200尾とともに放流した。(標識率は5.5%)
 餌料生物として重要な大型動物プランクトンの発生量が少なく、ゾウミジンコやワムシ類などの発生量は多かった。特に秋季の出現状況が特異であった。
 ヒメマスの胃内容物として動物プランクトンが出現する頻度は少なく、小型の個体ではプランクトン、大型個体では昆虫類を捕食していることが多かった。
 放流魚と回帰親魚の魚病検査をした結果、回帰親魚からBKD及び冷水病原因細菌を確認した。  (P242-267)

内水面総合技術開発試験:新魚種開発試験(カジカの種苗生産と養成)

  • 伊勢谷修弘

 カジカ生態把握・種苗生産などの増養殖技術の確立を図ることを目的に、平成12年4月21日から5月2日まで、成熟雄・雌親魚を選別し、親魚の由来、養成・天然、雌・雄の収容数を変化させながら、延べ13回採卵を試みた。12月6日時点で平均0.26gの稚魚1,077尾生産した。平成11年産(1+)は12月6日時点で175尾が生残するのみとなった。(P268-269)

内水面総合技術開発試験:新魚種開発試験(モクズガニの生態と種苗生産)

  • 鷲尾 達

 米代川産親カニの漁獲時期は3~6月、盛期は5月であり、米代川・増川産ともサイズに差は認められなかった。
 幼生飼育は飼育面積、密度及び容量を変えた4つの区を設定して実施し、生残率は2.4~19.6%であった。
 中間育成は飼育面積、密度及び容量を変えた4つの区を設定して実施し、生残率は17.3~29.6%であった。中間育成開始時のC1及びC2は、終了時には少なくともC6~C7の段階に到達したものと考えられる。    (P270-273)

内水面総合技術開発試験:バイオテクノロジー利用技術確立試験

  • 高田芳博

 平成11年度に作出した偽雄サクラマスについて継続して飼育を行い、4gサイズまで成長した段階で解剖しその性比を調べた。その結果、ふ化後から浮上までのホルモン浸漬濃度を1μg及び5μgに設定したいずれの試験区においても雄化率は80%を超える高い値を示しており、この濃度の範囲内であれば性転雄が効率的に得られることが示唆された。(P274)

内水面総合技術開発試験:秋田固有遺伝資源増大対策試験(米代川水系阿仁川に遡上した天然アユの親魚養成と採卵)

  • 伊勢谷修弘
  • 高田芳博

 6月15日と20日に阿仁川において投網でアユを849尾採捕し、内水面試験池で親魚養成し、10月24日と27日で各133.2万粒、65.3万粒、計198.5万粒を採卵した。 (P275-276)

内水面総合技術開発試験:秋田固有遺伝資源増大対策試験(秋田市旭川におけるアユの放流追跡調査)

  • 伊勢谷修弘
  • 高田芳博

 6月25日に、脂鰭を切除した阿仁川産F1人工種苗(平均11.8g)を旭川の3カ所に2,864尾放流し、28日に6カ所に放流された13,600尾と併せ、旭川清流友の会会員の釣りによる追跡調査結果をとりまとめた。
 10~12年度の調査結果によれば、放流適期・サイズについては、5月下旬に11.8gで放流した際に採捕率が最大になった。
 また、12月の採捕率は、阿仁川産F1はF2より1.9倍高い0.128%で、この数値は過去2番目に高かった。(P277-281)

内水面総合技術開発試験:希少種資源増殖技術開発試験(イワナ)

  • 高田芳博

 県内に生息する在来イワナを対象とし、親魚養成及び種苗生産に関する試験を行った。2+と3+では6月以降11月まで水カビにより著しい減耗を生じた一方で、生残した個体のほとんどが銀化したいわゆるアメマスの形態をしていた。また、0+は餌付けがうまくいかなかったことと寄生虫の発生により、生残率は極めて低い結果となった。
(P282-284)

内水面資源適正増殖手法開発事業(イワナ)

  • 高田芳博
  • 水谷 寿・
  • 勢谷修弘

 県内に生息する在来イワナを対象とし、生息環境や生態に関する調査を行った。その結果、成魚の生息する環境は流速が5?/sec未満の緩流域であることが多く、稚魚と同様に、倒木や石などのカバーの存在が重要であることが分かった。産卵床は広範囲にわたって分布し、河川内で産卵場が限定されていることはないと考えられた。また、調査区間におけるイワナの生息尾数はピーターセン法により2,201尾と推定された。(P285)

さけ・ます増殖管理推進事業(サケ)

  • 佐藤時好

 秋季の重要魚種であるサケの回帰率向上と回帰予測のための資料収集を目的として、回帰資源、生産技術、移動分布の各調査を行った。 また、サケふ化放流事業における増殖体制の強化を図ることを目的として、民間ふ化場に対しての技術指導を行った。
 本県の平成12年度の沿岸漁獲尾数は、64,753尾(前年比102%)、河川捕獲尾数は28,063尾(前年比129%)であった。
 県内の13ふ化場から、28,851千尾の稚魚が放流され、川袋川から185千尾の鰭切除による標識放流を行った。
(P286-293)

さけ・ます増殖管理推進事業(サクラマス)

  • 伊勢谷修弘

 回帰資源量調査として、沿岸・河川に回帰した親魚の標識魚の確認調査を行ったところ、沿岸で63尾、阿仁川遡上親魚で4尾、計67尾の標識魚が確認された。また、生産技術調査として、主に内水面試験池において飼育したサクラマスを阿仁川本・支流に夏・秋・春の3回計75,012尾放流し、その間の成長・歩留まり・選別状況・成熟雄の割合・スモルトへの移行状況・魚病発生状況、試験池で飼育している親魚の成長・歩留まり・採卵状況、及び、阿仁川ふ化場における天然親魚からの採卵状況を調査した。
(P294-295)

外来魚生息状況調査

  • 水谷 寿

 ブルーギルとコクチバスが生息しているという情報のあった水域において、聞き取り調査や現地調査を行った結果、この両種の生息は確認できなかった。
 水抜きによるため池のオオクチバス駆除に参加した結果から、小型魚の流出及びオオクチバス小型魚の拡散防止、水抜きした後のため池からの魚類の回収方法など多くの問題点が指摘され、駆除の難しさが確認された。
(P296-298)

魚類防疫対策事業

  • 鷲尾 達
  • 水谷 寿

 魚類防疫推進事業として疾病検査・巡回指導、防疫対策会議の開催、緊急魚病発生対策を実施し、養殖生産物安全対策として医薬品適正使用指導、医薬品適正使用指導実態調査を実施した。疾病検査については、平成12年4月から3月まで県内の魚類養殖場延べ17カ所の巡回指導を含む54件の種苗・病魚の検査を実施したところ、1箇所でIPNウイルスが、1箇所でIHNウイルスが、延べ14箇所で冷水病原因菌が確認された。また、県内のマス類養殖業者を対象に防疫対策会議及び防疫講習会を開催した。  (P299-301)

種苗生産事業(ペリヤジ)

  • 高田芳博

 3歳以上のペリヤジを円形30トン水槽に収容し、マス類育成用配合飼料を与え、12月までに雌229尾、雄392尾、合計773尾の親魚を養成した。(P302)

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