今議会におきましては、補正予算案及びその他の案件についてご審議をお願いするものでありますが、提出議案の説明に先立ち、諸般の報告を申し上げます。
 はじめに、平成28年熊本地震についてであります。
先月14日以降、熊本県及び大分県で発生した内陸直下型地震により、多くの死傷者が出るなど、甚大な被害がもたらされました。
 秋田県民を代表し、犠牲となられた方々に対しまして、謹んで哀悼の意を表しますとともに、被害に遭われた皆様に対しまして、心よりお見舞い申し上げます。
 県としましては、被災された方々への緊急支援として、国や全国知事会と連絡調整を図りながら、アレルギー対策済のお粥を送るとともに、医療救護、被災建築物の応急危険度判定等にあたる職員を派遣したところであり、被災地が速やかに復旧し、被災者の方々が1日も早く元の生活に戻られるよう、今後ともできる限りの支援を行ってまいります。
 一方、県内においても、大きな被害をもたらす可能性のある活断層が複数存在していることから、この度の地震において課題となった避難所の運営や備蓄・応援物資の供給体制の構築等について、十分な検証を行うとともに、住宅の耐震診断や耐震改修の実施、家具類の固定など、防災意識の高揚に向けた普及啓発を一層推進するなど、防災対策の強化を図ってまいります。
 次に、大相撲豪風関への県民栄誉章の授与について申し上げます。
 豪風関は、本年3月場所10日目に、幕内通算507勝目を挙げ、本県出身力士の500勝達成としては、元大関清國関以来、2人目の快挙であり、現在もこの記録を更新中であります。
 たゆまぬ努力と研鑽により、この5月場所においても見事勝ち越すなど、36歳の今もなお幕内という高いレベルで取組を続けている姿は、多くの県民に勇気と希望を与えるものであります。
 また、土俵の外にあっても、帰省の際には、福祉施設や学校への訪問を精力的に行うなど、身近な郷土力士として広く県民に愛されております。
 この度、そのご功績をたたえ、県民栄誉章を贈り、広く顕彰することにいたしました。今後とも、益々ご活躍されますことを願っております。
 次に、リオデジャネイロオリンピック・パラリンピック競技大会への本県出身選手の出場について申し上げます。
 大仙市出身の佐々木悟(さとる)さんが男子マラソンの代表に、同じく佐々木将汰さんと翼)さんのご兄弟が本県では初となるカヌーの代表に決定し、また、美郷町出身の藤井新悟さんが車椅子バスケットボールの代表に内定しております。この度の出場を県民と共にお祝い申し上げますとともに、オリンピック・パラリンピックという世界の檜舞台で、これまでの練習の成果と実力を十分に発揮し活躍されることを期待しております。
 プロスポーツでは、バスケットボールbjリーグの「秋田ノーザンハピネッツ」が3年連続でファイナルズに進出したほか、サッカーJ3の「ブラウブリッツ秋田」がリーグ開幕から快進撃を続けるなど、トップスポーツチームの活躍が多くの県民に夢と感動を与えております。
 豪風関やオリンピック・パラリンピックに出場する本県出身選手、プロスポーツチームの活躍は、競技力の向上やスポーツ人口の裾野拡大はもとより、多くの県民が生涯スポーツに取り組むきっかけとなり、地域に活気と賑わいを生み出していることから、今後も「スポーツ立県」に向けた取組に力を注いでまいりたいと考えております。
 次に、「全国豊かな海づくり大会」の招致について申し上げます。
 この大会は、水産資源の保護・管理と海の環境保全に対する理解を深めることを目的に、毎年開催されている国民的行事であります。
 大会の開催を通じて、本県の豊かな水産資源の魅力を全国に発信していくことは、水産業の発展のみならず、地域の活性化にも大きく寄与するものと考えており、平成31年度に開催される第39回大会の本県への招致を進めてまいりたいと思います。
 開催に向けて、漁業関係団体や市町村等と連携しつつ、県魚ハタハタをはじめ、北限の秋田フグ、イワガキなど、本県が誇る水産物や豊かな自然環境等の魅力を広くアピールしてまいります。
 次に、国政を巡る状況について申し上げます。
 日本が8年ぶりに議長国を務めた伊勢志摩サミットでは、世界経済の成長の鈍化、人命を脅かすテロ、難民の発生など、国際社会が直面する多くの課題について、首脳間で率直な討議が行われたところであり、最終日の首脳宣言では、世界経済の持続的な成長に向けた「経済イニシアチブ」として、金融政策、財政政策、構造改革といった政策手段を、それぞれの国の経済状況等に配慮しながら機動的に講じる方針が盛り込まれており、不透明感が広がりつつある世界経済の安定化に向け、各国が協調して取り組んでいくことを期待するものであります。
 こうした中で、国では、経済・社会保障など今後の基本政策の指針となる「ニッポン一億総活躍プラン」、「日本再興戦略」、「骨太の方針」を近く閣議決定する予定となっており、「名目GDP600兆円」、「希望出生率1.8」、「介護離職ゼロ」という大きな目標の達成に向け、様々な施策を推進するとしております。
 一朝一夕に解決することが困難な人口減少と少子高齢化という国家的課題に真正面から向き合う姿勢と、その克服のための処方箋として新たに打ち出した総活躍プランの方向性については、一定の評価をするものでありますが、最も大切なことは地道な取組を継続していくことであります。プランを実効あるものとするためにも、必要な財源をしっかりと確保しながら着実に進めていただきたいと思います。
 少子高齢化が進む本県においても、国の施策に歩調を合わせ、本県の実情に沿った独自の施策を加えながら、保育士・介護人材の確保や女性が個性と能力を発揮できる環境づくりの推進、地域の担い手となる若者の育成など、県民一人ひとりが生きがいを持ち、健やかに生活できるような社会の実現を目指してまいりたいと考えております。
 次に、海外からの誘客促進について申し上げます。
 国では、本年3月「明日の日本を支える観光ビジョン」を策定し、2020年までに2,000万人としていた訪日外国人旅行者数の目標を、倍増の4,000万人にすることを決定いたしました。また、今年を「東北観光復興元年」と位置づけ、東北地方の外国人宿泊者数を2020年に現在の約3倍となる150万人泊とすることを目指し、大規模なプロモーションを実施することにしております。
 県としても、インバウンド対策を更に強化することとし、東北観光推進機構と連携し、航空キャリアや旅行エージェントによる旅行商品の造成やレンタカーを活用したドライブ周遊観光の取組への支援などにより、東北全域を対象とした誘客を促進するほか、本県独自の取組として、魅力的な農家民宿や四季折々の祭り等の伝統文化に加え、海外でも知名度の高い秋田犬など、本県ならではの地域資源を磨き上げ、台湾やタイなどの重点市場において、積極的なセールス活動、各種メディアを通じた情報発信を拡充してまいります。
 先般、銀座で開催された「秋田県・大館秋田犬・男鹿なまはげフェア」に大館市長や男鹿市長とともに参加してまいりましたが、銀座中央通りの歩行者天国をなまはげや秋田犬25頭と一緒に散歩する「秋田犬ウォーク」では、大勢の方が犬を連れた私の周りに立ち止まり、身動きができなくなるほどの盛り上がりを見せるなど、改めて秋田犬の人気の高さを実感したところであり、今後は、天然記念物としての伝統に配慮しながら、海外誘客に向けたキラーコンテンツとして秋田犬ブランドの活用を進めてまいります。
 台湾からのチャーター便については、4月に14便が運航されたほか、8月に予定されている秋田と台湾それぞれの観光客が利用できるツーウェイチャーター便の運航の際に、県内市町村長や民間事業者とともに私自ら現地の航空会社を訪問し、定期便化の要請を行う予定となっており、今後とも、官民一体となって、更なる運航拡大に向けた取組を推進してまいります。
 次に、「あきた未来総合戦略」について申し上げます。
 昨年10月に策定した総合戦略では、「産業振興による仕事づくり」や「移住・定住対策」など4つの基本目標を掲げ、その実現に向け、国の交付金等を活用しながら航空機産業の振興や総合的な移住情報の発信等に取り組んできたところでありますが、本年度はそうした秋田の創生の取組を本格化させていくことにしております。
 まず、「産業振興による仕事づくり」についてであります。
 人口減少と少子高齢化が急速に進んでいる本県において、最優先で取り組むべき対策は、経済基盤の強化であります。今後、大幅な需要の増大が見込まれる航空機や新エネルギー関連産業のほか、国際競争にも打ち勝っていける農林水産業、国内外からの誘客による観光・サービス業、グローバル展開できる情報産業などを育成し雇用の場を増やすと同時に、生産性の向上、高付加価値化を通じた収益力や賃金水準のアップにより若者にとって魅力ある就業環境を整備するなど、社会減に歯止めをかけるため、多角的な取組を一層進めていく必要があります。
 航空機産業分野においては、これまで整備用機材や内装品を中心に出荷額を順調に伸ばしてまいりましたが、最近では、複数の県内企業が連携して内装品の供給体制を拡大する動きに加え、国際認証の取得や海外企業との業務提携により、重要保安部品やエンジン部品など、付加価値の高い基幹部品への参入も進んでおります。
 また、先般、国内外の航空機メーカーに直接部品を供給する、いわゆる一次サプライヤーの企業誘致に成功いたしましたが、既に多くの県内企業との取引実績を有していることから、今後、県内サプライチェーンの中核となることが期待されており、本県航空機産業の厚みが一層増すものと考えております。
 加えて、秋田大学が有する技術シーズを活用し、次世代モデル機種への秋田発となる主要部材の採用を目標に、国内大手メーカーとともに産学官の共同研究をスタートさせることにしており、今回、関連予算を提案したところであります。
 新エネルギー関連産業については、本県が風力や地熱、バイオマスなどの資源の宝庫であることから、地域の特性に応じた新エネルギーの導入による関連産業の振興や雇用の創出に向けた各種取組を展開しているところであります。
 特に、男鹿市から能代市までの沖合の洋上風力発電計画や潟上・秋田両市にまたがる県有保安林での風力発電計画など、民間主導の大規模な計画が動き始めていることから、県としては、地元市町村と連携しながら、その実現を後押ししてまいります。
 こうした動きに合わせて、風力発電システム関連企業が、東北地域のメンテナンス拠点として、技術者の研修所を併設したサービスセンターを11月に能代市に設置する予定となっており、今後も新エネルギー供給拠点の形成と関連産業の集積を図ってまいります。
 次に、「移住・定住対策」についてであります。
 これまで市町村等と連携しながら、首都圏等に向けた総合的な移住情報の発信や各種相談のワンストップ化、きめ細かな受入態勢の整備、移住体験・交流の拡充等を図ってきたことにより、民間団体によるアンケート調査において、移住希望先として全国8位、東北ではトップとなり、平成27年度の移住者数は、前年度の7世帯20人から58世帯123人と大幅に増加しております。
 また、移住してきた方が地域活性化の核として活躍しているケースも増えてきており、移住起業者を育成する、いわゆる「ドチャベン事業」で昨年度最優秀を獲得した方は、横手市内に会社を立ち上げ、地元農家と連携し、地酒と県産フルーツを組み合わせた定期宅配サービスを展開するなど、地域での好循環が生まれております。
 こうした動きを好機と捉え、本県の充実した子育て、教育環境を活かした教育体験プログラムの実施や、「暮らしと地域の仕事」を一体化させた新しい移住ライフを提案するなど、移住の一層の促進を図ってまいります。
 さらに、県外からの農林水産分野における移住就業を促進するため、PR動画や首都圏での就業セミナー等の開催により、本県の農林水産業の魅力をまるごと発信するほか、県内の生産現場において技術習得を目指すトライアル研修を実施するとともに、技術・経営両面において就業開始から定着まで一貫してフォローアップするなど、総合的な支援を展開してまいります。
 「少子化対策」については、県庁でのテレワーク導入に向けた在宅勤務の実証を行うとともに、民間企業においてもテレワークによる新しい働き方の普及拡大を図り、子育てと仕事の両立、さらには若者、女性、高齢者など「全員参加型社会」の実現を目指してまいります。
 「新たな地域社会の形成」については、県内3地区で「お互いさまスーパー」が開設されたところであり、今後、地域の交流拠点となるよう、市町村と連携しながら運営の安定化や機能強化を支援してまいります。
 また、「県市町村未来づくり協働プログラム」については、本年3月までに全ての市町村がプロジェクトの策定を終えたところであり、多くの市町村では、地方版総合戦略の中心事業として掲げられていることから、県としても、市町村と一体となって、プロジェクトを推進し、各地域における地方創生を支援してまいります。
 今後の「あきた未来総合戦略」の推進に当たっては、個別の取組について、その効果を検証しながら、一定の成果が上がっている分野については「攻め時」を逃さず、国のあらゆる支援制度も活用し、更なる事業展開を図るなど、戦略に掲げる目標の達成に向け全力で取り組んでまいります。
 次に、提出議案の主なものについて説明申し上げます。  
 今回の補正予算案は、国の制度を活用した秋田の創生に向けた取組のほか、「第2期ふるさと秋田元気創造プラン」に基づく事業、公共事業等について計上しております。
 秋田の創生に向けた取組については、産学官連携により、航空機のメインフレーム部材として使用される複合材の製造技術等の研究開発を行うとともに、がん診断等の迅速化に結びつく技術開発を支援することにより、病理検査市場等への新規参入を図るほか、秋田スギの市場を開拓するため、異業種や産学官が連携し、CLTなどの新たな木質部材の生産に向けた取組を進めてまいります。
 また、海外からの観光誘客を促進するため、Wi-Fi環境の整備に加え、地域におけるカード決済機能の普及拡大などを進めるとともに、海外人気俳優を活用したテレビ番組の放映など、台湾やタイなどの重点市場に向けた観光プロモーションを実施するほか、国内外で知名度の高い「秋田犬」を活用した観光誘客を図るため、市町村や民間事業者と連携し、「秋田犬の里づくり」を進めるとともに、ハチ公ゆかりの渋谷を始めとする首都圏での秋田フェア等を展開してまいります。
 さらに、「多様なしごと」を提案しながら移住促進を図るため、農作業補助や観光ガイドなど地域に密着した仕事の情報をパッケージ化して発信するとともに、農林水産業への移住就業希望者に対する体験研修等を実施するほか、アスリートを雇用する企業を支援することにより、アスリートが県内で働きながら国内外で幅広く競技を続けることができる環境を整備してまいります。
「第2期ふるさと秋田元気創造プラン」に基づく事業については、「県市町村未来づくり協働プログラム」について、新たに、6プロジェクトに着手するほか、比内地鶏の販売不振を踏まえ、これまでの販売戦略を見直すとともに、他産地との差別化に加え、首都圏等での販路開拓や消費拡大に向けた緊急的な取組を実施してまいります。
 また、合板・製材の生産性向上とバイオマス発電の燃料となる木質チップや木材の安定供給を図るため、高性能林業機械の導入等に対し助成してまいります。
 公共事業については、国の内示による国庫補助事業を計上しており、道路・橋りょう、河川、土地改良などの基盤整備を積極的に進めてまいります。
 一般会計補正額は、96億6,157万円であり、補正後の総額は、6,101億8,657万円となります。
 次に、単行議案の主なものについて申し上げます。
 「秋田県県税条例の一部を改正する条例案」は、地方税法の一部改正等に伴い、自動車取得税の廃止及び自動車税における環境性能割の導入等を行おうとするものであります。
 「旅館業法施行条例の一部を改正する条例案」は、旅館業法施行令の一部改正により、簡易宿所営業施設の衛生措置の基準を改めようとするものであります。
 以上、提出議案の概要について申し上げました。よろしくご審議の上、ご可決賜りますようお願い申し上げます。

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