このたび提案いたしました議案の説明に先立ち、諸般の報告を申し上げます。
はじめに、佐々木毅(たけし)さんの文化功労者顕彰についてであります。
美郷町出身で、我が国を代表する政治学者である佐々木毅さんが、このたび「平成27年度文化功労者顕彰」を受けられたことに対しまして、県民とともに心よりお祝い申し上げます。
佐々木さんは、政治学や西欧政治思想史を専門とされ、古代ギリシャの政治思想から現代日本の政治まで、幅広く考察し、我が国の政治学の発展に大きく貢献されるとともに、第27代東京大学総長として、国立大学法人化を含む大学の構造改革を進められたほか、国の審議会等の多くの要職を務められるなど、その功績は極めて高く評価されております。
今回の佐々木さんの文化功労者顕彰は、県民に大きな夢と希望を与えるものであり、今後とも健康に留意され、益々ご活躍されることを期待いたします。
次に、「あきた未来総合戦略」について申し上げます。
県では、先月20日に「あきた未来総合戦略」を策定したところでありますが、人口減少や少子高齢化、それに伴う経済規模の縮小など、本県における長年の構造的な課題を克服するためには、現状を冷静に分析した上で、地域の持続的発展に必要な施策を見きわめ、地道に、息長く取り組んでいくことが重要であり、こうした観点から、今般の戦略には、秋田の創生のため、今こそ腰を据えてじっくり取り組むべき攻めの施策を多数盛り込んでおります。
真の地方創生を実現するためには、住民自らが地域の活性化に向けた企画・提案を行い、地域の創生に積極的に参画するという意識改革が必要であり、県では、そうした県民や県内企業の取組について、拙速にその成果を判断することなく、戦略的かつ継続的に支援することにより、すべての県民が「高質な田舎」たる秋田で生き生きと暮らせる未来を築き上げてまいります。
なお、先般、グローバル展開するICT関連企業に続き、本県で初めての事例として、トヨタ自動車に直接部品を供給する、いわゆる一次サプライヤーの誘致に成功したところであり、「あきた未来総合戦略」で基本目標に掲げている「産業振興による仕事づくり」を進めるため、こうした情報関連産業や輸送機産業など、県内経済への高い波及効果が見込まれる重点産業分野において、引き続き企業立地の促進に努めるとともに、県内企業のチャレンジを強力に支援してまいります。
次に、TPP協定(環太平洋経済連携協定)について申し上げます。
今般、TPP協定の発効に備え、政府から、中堅・中小企業の海外展開や農林水産業の経営安定に対する支援策等を盛り込んだ総合的な政策大綱が示されたところであり、国では、農林水産業の体質強化策等を柱とする補正予算案を年内に編成する方向で検討が進められております。
自由競争が世界の潮流となっている中での協定発効を見通すと、あらゆる産業の国際競争力強化が急がれますが、特に、本県の基幹産業である農業分野については、農産物価格の下落などの影響が懸念されることから、「秋田県TPP農業対策本部」を設置し、現在、農家を個別に訪問してご意見を伺っているところであります。
今後、生産者、有識者、関係団体からなる「農業対策県民会議」を設置するとともに、年度内に本県農業への影響分析を踏まえたTPP対策を「農業関連対策大綱」として取りまとめることにしており、本県が取り組んできた複合型生産構造への転換や担い手の育成などによる構造改革の強化に加え、米の特別輸入枠の設定に伴う需給調整や牛肉・豚肉の関税引き下げに対応した所得補てんの拡充など、国による対策も視野に入れながら、攻めと守りの両面から関連施策を着実に進めてまいります。
次に、太平物産株式会社の肥料問題について申し上げます。
先般、JA全農により、太平物産株式会社が表示と異なる原料や配合割合等で製造した肥料を生産者に供給してきたことが明らかにされたところでありますが、今回の事態は、これまで積み重ねられてきた生産者の方々のたゆまぬ努力の成果のみならず、県を挙げて築き上げてきた県産農産物への信頼をも傷付けるもので、極めて遺憾であり、強い憤りを感じております。
県では、緊急的な対応として、相談窓口を設置し、生産者の相談に応じるとともに、特別栽培農産物として認証申請があったすべての案件について、JA全農秋田県本部や県農業公社と連携して再判定を行うなど、県産農産物の信頼確保に努めております。
一方で、この問題は、まずはJA全農が総力を挙げて対応すべき事案であることから、生産者へのきめ細かな対応に加え、問題になっている肥料の成分分析と結果の公表のほか、生産者に対する補償方法の提示などの措置を速やかに講ずるよう、JA全農秋田県本部に強く要請するとともに、国に対してもJA全農に同様の対応を求めるよう、要望を行ったところであります。
県としましては、農林水産省による立入検査の結果等を踏まえながら、関係機関と連携の上、県産農産物の生産・販売に支障が生じないよう、迅速かつ機動的に対応してまいります。
次に、秋田湾産業新拠点における石炭火力発電所建設について申し上げます。
先般、環境省から経済産業省に対し、関西電力関連企業などによる秋田港での石炭火力発電所の建設計画について、国の温室効果ガス削減目標の達成に支障が出る恐れが払拭できないとして、他県での石炭火力発電所建設計画と同様に、現段階では是認できないとする意見が提出されたところであり、電力業界において、二酸化炭素の排出削減に向けた実効性ある対策を早急に取りまとめることが求められております。
秋田港への石炭火力発電所の建設は、国家的な課題となっている安定的な電力供給に資するものであるほか、本県における雇用創出や地域産業への波及効果が期待されることから、今月19日に私自ら、林経済産業大臣に対し、電力業界や事業者への指導を要望してきたところであります。
こうした中、今月20日には、経済産業省から事業者に対し、電力業界による温室効果ガス削減に向けた具体的な仕組みやルールづくり等を前提として、計画を進めるに当たっての留意事項を示す意見が提出されたところであり、県としましては、国や電力業界等の動向を注視しながら、発電所建設の実現に向け、引き続き取り組んでまいります。
次に、韓国及び南米への訪問について申し上げます。
先月22日から今月2日にかけて、韓国ソウル市のほか、南米のブラジル、パラグアイ、アルゼンチンを訪問してまいりました。
まず、韓国では、大韓航空本社を訪問し、秋田・ソウル国際定期便の夏季スケジュールからの運航再開を要請したところ、日韓の政治情勢など、思うに任せない面がある中でも、運航再開に向け、引き続き協力して取り組んでいくことで合意いたしました。
一方で、大韓航空からは、需要や市場動向を見きわめた上で、運航の再開についての判断をしたいとの意向も示されたところであり、県としましては、今後とも、市町村や民間団体等と連携し、運航再開に向けて粘り強く取り組んでまいります。
また、秋田港に就航している韓国の船会社5社を訪問し、秋田港国際コンテナターミナルについて、ガントリークレーンを2基体制とするなど、港湾機能を強化したことをPRし、秋田港のさらなる利用を呼びかけたほか、就航20周年を迎えた興亜(こうあ)海運と10周年を迎えた南星(なんせい)海運に対し、感謝状を贈呈してまいりました。
機能強化した秋田港の利活用をさらに促進するためには、本県のみならず近隣県や関東地区の貨物の集荷も含め、国際コンテナ貨物の取扱量を増やしていく必要があることから、今後とも、積極的にポートセールス活動を展開してまいります。
次に、南米では、国策により本県から多くの方が移住した3カ国において、県人会の皆様と懇談し、移住後のご労苦をねぎらうとともに、これまでの交流について感謝の意をお伝えしたほか、移住一世だけでなく、二世、さらには三世などの若い世代の会員も含め、活発に意見交換を行い、親交を深めてまいりました。
特に、ブラジルでは、県人会が創立55周年を迎える中、県及び市町村振興協会からの支援を受けて県人会館が改修されたところであり、今後、県人会活動の拠点として大いに活用し、本県との交流深化につなげていただきたいと思っております。
今後とも、南米県人会の若い世代を研修員として受け入れるなどの交流を継続し、これまで培ってきた各県人会との絆を一層強固なものとして、次の世代に引き継いでまいりたいと考えております。
次に、提出議案の主なものについてご説明申し上げます。
今回の補正予算案は、ハタハタの資源量が急減している現状に鑑み、資源回復を図るための緊急対策に要する経費のほか、実績見込みによる給与費の減額について計上するとともに、県単独の道路補修事業等の前倒し発注を推進するため、債務負担行為を設定しております。
一般会計補正額は、5億2,531万円の減額であり、補正後の総額は、6,109億942万円となります。
次に、単行議案の主なものについて申し上げます。
「秋田県人事委員会の委員の選任について」、「秋田県教育委員会の委員の任命について」及び「秋田県公安委員会の委員の任命について」は、委員の任期満了に伴う一部委員の選任等について、議会の同意をお願いしようとするものであります。
「秋田県行政不服審査会条例案」は、行政不服審査法の施行に伴い、行政処分への審査請求に係る審査の適否に関し答申を行う秋田県行政不服審査会について、必要な事項を定めようとするものであります。
以上、提出議案の概要について申し上げました。よろしくご審議の上、ご可決賜りますようお願い申し上げます。

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