文部科学省では、毎年、科学技術に関する研究開発、理解増進等において顕著な成果を収めた方々を表彰するため、科学技術賞、若手科学者賞、研究支援賞、創意工夫功労者賞の4つの大臣表彰を定めています。
 そのうち創意工夫功労者賞では、鉱工、農林、水産、運輸、通信、建設、保健衛生、電力ガス等の業務に従事する勤労者のうち、工場等における職長以下の工員、農林水産業従事者、医療補助者、研究所における研究補助員、技能職員及びこれと同程度の者であって、優れた創意工夫によって各職域における技術の改善向上に貢献した方々を表彰しています。
 今年度は、全国で480名の方々の受賞が決定しましたが、このうち本県では6名の方が受賞され、令和5年4月19日(水)に表彰状の伝達式が行われました。
 
伝達式写真
 

 
受賞者 JR東日本テクノロジー(株)秋田支店 大竹 義昭 氏
 
業績名  E 531系空 調装置 A U 726B吊り方法の改善
 
創意工夫の概要
 電車の「空調装置」は、屋根に設置されており、クレーンと吊り金具を使用して、取り外して検査や修繕をします。
 E531 系電車の空調装置(AU726B)は、断面形状が他形式と異なり、既存の吊り金具を使用した場合、装置本体に干渉するため空調装置上カバーが潰れる等の問題が発生し、取外作業で非常に苦慮していました。それらを解消するため、治具の新規製作により、「新しい吊り方法」や「空調装置筐体の損傷防止」を実現しました。
 

 
受賞者 小坂製錬(株)生産技術部設備保全課 黒沢 匠 氏
 
業績名 アンチモン澱物乾燥機における居着き改善
 
創意工夫の概要
 小坂製錬株式会社では、廃電子基板などを処理し金属を回収するリサイクル製錬を行っています。
 回収金属の1つであるアンチモン回収工程において、スクリュー状の羽根で物質を搬送しながら乾燥させる乾燥機が使われています。この乾燥機内に固着して居着いた物質と回転軸の羽根との接触により過負荷が掛かり、駆動モーター及び本体を固定するボルトが破断する重故障が発生し、長時間の操業停止を余儀なくされ、約 8,000 千円の機会損失が発生していました。
 対策として、羽根外周に居着き防止板を設置することにより、回転軸へ負荷が掛かることが無くなり、設備トラブル発生を撲滅できました。
 


受賞者 秋田製錬(株)焙焼硫酸部セレン工場 村木 博紀 氏、保坂 智也 氏、佐藤 孝大 氏

業績名 粗セレン品質改善

創意工夫の概要
 2017 年より製造を開始した粗セレンに含まれる不純物品位の上昇が問題となり、2020 年度には 28 件の品質異常が発生していました。点検の結果、不純物残渣がタンク内に堆積し、別の工程用タンクに流出することが、不純物品位を上昇させる原因であることを突き止めました。タンク内の残渣量を管理するために定期的にタンク内を清掃した他、残渣が流出しない構造にタンクと配管を変更しました。以上の取組の結果、粗セレンの不純物品位は大きく改善し、2021 年以降、品質異常の発生件数をゼロにすることができました。



受賞者 河野光学レンズ(株)秋田工場 第1製造部センターレス課 米田 久男 氏

業績名 小径レンズ加工冶工具3つの改良

創意工夫の概要
 消化器系の医療分野で使用される内視鏡用レンズの製造において、従来の設備では直径1.6 mm、厚さ 1.3 mm以下に小型化することはできませんでした。しかし、年々小型化、かつ、加工表面の低粗度化が要求されてきています。
 そこで、レンズの小径化、薄型化に対応する為、冶工具の改善、粘着力の強い接着剤への変更、切断ブレードの材質の見直しを行いました。
 これにより直径 1.2 mm、厚さ 0.5 mmの小型化、および、加工表面の低粗度化が実現されたことにより、新たに小径レンズの受注、消化器系以外の内視鏡分野での受注につながりました。


 

外部リンク

 令和5年度科学技術分野の文部科学大臣表彰受賞者等を決定しました