1月4日水曜日 県正庁
 
 まずは皆さん、あけましておめでとうございます。
 今年は、うさぎ年と。白いうさぎですが、元旦は少し少なかったんでありますが、一昨日からだいぶ雪が降って、真っ白なお正月です。ゆっくりした方もあると思いますが、まずは毎年のごとく、危機管理、防災、除排雪、そして、特に3年越しのコロナの関係で、休む暇もなく業務に当たった方については、心から感謝を申し上げます。
 さて、今年はどんな年になるか。全く不明確です。私も分かりません。当然です。いろんなお正月の政治経済番組を見ても、その方向について、大半の評論家が、この後どうなるか、そう簡単に分かるような状況ではないと。ただ、望むべくは、昨年のように激しい変わり方、あるいは様々な激しい出来事がなくて、平穏な、穏やかな、そして平凡な年になってほしいと思うのは、誰もが思うことでありましょう。しかし、そういう中でも分かりませんので、特に今年は、様々な周辺の出来事に目を配りながら、自分の仕事をしっかりやり遂げる、そういう年になるかなと思います。
 世界的なコロナの収束、また、ウクライナ情勢に平和が訪れること、また、そういう中で中国とアメリカの対立、あとは元旦からまたミサイルを発射した北朝鮮の危機。こういうことが今の喫緊の課題だと思います。また、これらは、世界経済への負の影響、特にエネルギー資源や食糧資源の乏しい日本への影響が非常に大きいと。そういう中で、円が(1ドル)129円と少し円高の傾向になってますが、これもあまり急激な円高になりますと、プラスもあるしマイナスもある。様々に、業種によっては、また様相が異なるものであります。そういう中でも、今のところ、大半の経済評論家の方は、日本国内の経済は復調傾向だと。また、そういう中で、これから4月に日銀の総裁が代わりますので、どういう金融政策(を採用するのか)によって、どうなるか。また、アメリカの経済動向。これも大変不明確で、この動向によっても、我々の世界にすぐ響くという状況であります。
 一方で、AIやICTなど情報ツールの進展は、ものすごいスピードで加速しています。自分も今回、電子マネー(のアプリ)を二つほど、お正月に入れて、すぐそばのATMでチャージしました。そうしましたら、最近、結構なお年寄りもスマホを持ってる方は、電子マネーを相当使ってると。ある人に聞いたら、私どものやったプレミアム飲食券が、紙よりも1円単位で(支払いが)できますんで、あれも電子マネーです。あれを入れてみるといいということで、これが相当普及したんです。県のあのせいで相当普及したという見方をしてる方もいらっしゃいました。やっぱりこれから、相当この方面が、電子マネーには様々に課題はありますが、年配者でもスマホを持っていれば、この方向に行くと。これで現金商売から電子マネーの商売へと相当変わると。また、宅急便の方に聞きますと、最近増えてるのはアマゾン、楽天の通販。あれが猛烈に増えてる。まだそこまでいってませんが、いずれ通販は、日本を中心に、生鮮食品、特に魚、肉、こういうものもあれで買い揃う。どうするか。今、こういう構想があるそうです。月1,000円ぐらいでクールボックスを各家庭にリース。年間1万2,000円です。あれを玄関先に付ける。そうしますと、暗証番号で開ける。そうすると、留守でも決まった時間にあれが入ると。そうしますと、要するに街の小売屋さんが、日本全国で競争です。これをどうするか。どう参加するか。こういうことも、今から当然考える必要あります。新しい発想、新しい波、様々な動向は、誰も止めることはできない。これを守りに入ったら終わりです。これにどう乗るか。どううまく活用するか。これが知恵です。ですから、今、様々に守りに入ったら終わりです。今も動向、流れは、変わりません。どんなふうにあらがっても、この流れは、絶対に変わらない。こういうことをしっかり認識する必要があると思います。
 また、3年越しのコロナで、相当に価値観が変わった。特に若い方の指向。県庁はまだやってますが、民間会社、忘年会・新年会をやめるところがいっぱいです。ある企業は、忘年会・新年会をやめる代わりに、個人個人にプレゼント、あるいはグループで飲み会をやるっていうときに、1人(当たり)何千円か補助する。そういうふうに変わってます。そうしますと、このコロナが終わっても、忘年会・新年会、大規模な宴会はなくなる。ある時期に、こういうことがあるんですよ。私が県庁の職員時代、あまりいいことではなかったですが、カラ出張、あるいは食糧費の問題で、全国の料亭が相当なくなった。秋田も、あの川反の料亭が3軒か4軒、大きいところがなくなったんです。何かあれば、変わるんですよ。 
 また、仕事以外で、組織の集団行動に若い方が参加しないと。昔は、職場の運動会、あるいは旅行(に若い方も参加していたが)、これも今の若い方はなかなか(参加しないと)。仕事以外ですから、業務以外のレクリエーションに参加するような傾向がないと。これもだめだとは言えない。
 また、こういう身近なことに加えて、気候変動。まさに海の変化。魚も、いつまでも同じものが獲れない。ハタハタ。お正月、家族分(を買おうとしたら)、1匹480円。ブリコが入ったの。あれは、そんなに食えないです。ハタハタ。秋田の県民魚です。ただ、これは冷たいことを言うけれども、海の変化があれば、そう簡単に驚くことはない。しかし、別の魚が入ると。そうしますと、網も変える。船も様々に変えていかなきゃならない。また、農産物。農業の生育環境も変わる。全部変化です。変化に対応する。昔から、勝つというのは、強い者が勝つわけでない。変化に耐える者が勝つ。これはことわざです。まさに今、急激な変化、この変化にどう対応するか。これが一番です。
 また、特に世界的に先進国の出生率は、当然、低下傾向です。特に日本です。そして秋田(県)。この問題は、相当深刻な問題です。例えば、社会を支える様々なエッセンシャルワーカー。特に今年、あるマスコミの記事に、西日本で送電線に相当雪で被害が出た。復旧がなかなか進まない。ここ数年間で、高圧電線の復旧の作業をする方が、相当減ってるんですよ。ですから、例えば、ああいう災害が起きても、復旧に時間がかかると。まさに、今回のあれが、すぐにそのせいかどうかは分かりませんが、電線の保守点検の要員が、2割ぐらい減ってるんですよ、この四、五年で。同じです。様々な面で、日本の安全・安心、生活インフラを支える人がどんどん減ってる。そういう中で、日本は、非常に広義な意味で日本の国力の低下が顕著です。これはなぜか。(それは、)旧態なる社会経済システム(に原因があります)。非常に世界の標準と違ってる。昔は、ジャパン・アズ・ナンバーワン。日本の終身雇用制度、様々な制度がもてはやされた。しかし、これが災いです。この終身雇用、あるいは年功序列がいい時もあった。でも、年功序列は、進歩がないんですよ。ますます時代の変化がある時に、若い人の発想が出てこないです。ですから、日本の民間会社は、年功序列がどんどんなくなる。そうしますとどうなるか。当然、格差(が生じる)。情報化、これも格差。様々に格差社会。まさにそうなる。また、日本は大学の法人化、、独法化れによって、ベーシックな研究開発が非常に少ない。論文の数が、がくっと減ってる。当然、人口減少、高齢化、低い賃金水準。外国人の労働者も賃金が低い日本には来ない。ですからどうするか。いろんな甘いことを言っても、あとは日本には戻ってこない、そう考える人があるんじゃないかと思います。協調は必要です。協調と建て前の重視。仲間の仲良しグループ的な組織経営は衰退です。地域経営も同じです。協調と、ある程度言うことは言う。仲良しグループが一番だめです。正々堂々と、意見は言う。これが必要です。
 まず皆さん、この社会の変化をしっかり認識してほしいと思います。そういう中で、県という組織がどうあるべきか、何をすべきかということになります。まずはリアルタイムな課題として、新型コロナウイルス感染に引き続きしっかり 取り組むと。また、当然、4月に感染法上の位置付けが変わります。この状況をどう捉えて準備するか。また、今年も、また来年も、雪国の宿命は続きます。この最近の気象変化を捉えて、雪の対策をどう見据えて対応するか。これが非常に厳しい状況です。
 そういう中で、来年度の予算について大変厳しい状況ではありますが、こういう環境変化を踏まえて、変えるべきものは変える。そういう取り組みを試行しながら、また、全ての予算項目がリンクするわけではありませんが、査定をしてますと、他の部局と微妙にリンクするものが結構多くあります。どの部局も金額の多寡にかかわらず、様々に自分の仕事がどう他の部局、あるいは今の情勢変化にどうリンクするか。これを十分に考えてほしいと思う。
 1年というよりも、何年も先もそうですが、まずはこの1年の県政の主要目標を少し挙げてみたいと思います。
 まず、人口減少対策の要、特に若年女性の地元定着、あるいは活躍の場をつくる、Aターン、あるいは移住の推進。今回もお正月に、人口減少(対策に)何が必要か(を考えました)。経済的な支援も必要です。問題は、これもですが、やっぱり若い女性の方々がどう活躍できるか。若い女性がいないことには、結婚しようがないですよ。都市部にいっぱいいますから、所得あるいは格差の問題あって、そう簡単にいかない。地方に若い女性の方がある程度の数がいますと、数という言い方は悪いけど、バランスがありますと、地方の方が人口減少対策は効果が上がるというんです。東京で幾ら若い女性がいても、そう簡単には結婚できない。住宅事情、様々な仕事の関係。地方の方が、逆に言えば、男女のバランスがあれば、結婚を指向しない方もいるけれども、縁ができるということが、地方の方がむしろ有利という説もあります。そういうことで、本県も若い女性の住みにくいという評価が一番の問題です。あとは、若い女性が住みやすいということは、活躍の場、自分の能力発揮をどうつくるか。住みやすく、誰もが大事にされる県ににするために、多様性条例の趣旨の浸透を十分にする必要があります。
 また、次に、ビル・ゲイツがコロナの後にまた別の感染症が、温暖化によって感染症はどんどん出てくる(と予想しています)。そうしますと、保健所機能強化、医療体系の強化も必要です。健康寿命の延伸とともに、人口減を補完する様々な高齢化の問題も含めて、保健所機能、医療関係の整理をどうするか。これも今回のコロナの事例を踏まえてどうするか。相当に大きい問題です。
 あと、県も定年が延びますが、60(歳)はまだ現役です。人口減少の中、60(歳は)高齢でないですよ。高齢って80(歳)からです。私は後期高齢者。少し口はちょっとあれだけども、70(歳代)までは十分に現役です。この方々にどう能力を発揮してもらうか。健康だといいんです。健康寿命は、県別の競争ではない。健康寿命が延びるということは、社会に役立つ高齢者、高齢者というか、60(歳)では高齢じゃないから。「高齢青年」。この方々に社会に参加(してもらうこと)によって、様々なことが補完できる。
 また、特に最近、急激にクローズアップされてきた貧困問題。これをどうするか。県だけではできませんが、賃金の問題、非正規雇用の問題と様々にあります。ただ、その中で一番重要なのは、子どもさん方。どんな子どもさんも能力があります。自分の個性がある。貧困によって、個性、自分の能力が生かされない。これが一番の社会の損失です。特に子ども方の能力を発揮すべく、教育の支援が今必要です。
 次に、本県の売りである再生可能エネルギー、食料の供給、森林県としての役割の発揮。この中で、洋上風力。これは前から言ってますように、地元経済への波及の最大化、メンテナンス、部品供給、様々に(あります)。洋上風力は、まさに本県にとって100年に1回のチャンスです。どう生かすか。まさにこれです。これによって、いろんなことが変わります。また、今年は、サキホコレも正念場です。しっかりこのブランド価値を高めることが、本県の農業全体に相当影響します。また、様々に今増えてる農林水産資源の付加価値の向上、知名度の向上。また、森林環境税の問題も含めて再造林。この三つはしっかりやります。また、グリーン県。県民意識の醸成(を図ります)。一方で、エネルギー県、森林県ということであれば、県民もグリーン化に向かって進むと。バランスです。一方で、洋上風力をやって、CO2の吸収源の再造林をやっても、県民の暮らしがグリーン化してないと不十分です。
 また、さっき言ったとおり、通販、電子マネー(によって)、様々に商習慣が変わります。当然、必然的に衰退する分野、業種業態があります。衰退する業種業態を守りに入ったら終わりです。衰退するものは、止めようがないんです。これをどう変えるか。業種業態をどう展開するか。軟着陸、ソフトランディングをどう(するか)が一番です。
 ともすれば、日本は、いずれなくなるものを守る。これが日本の一番の失敗なんです。私は何回も経験があります。どうしても、これは無理です。この業態業種によっては、存続が無理だ。(しかし、)これを守るんです。結局、守って守って、5年後、10年後になくなっちゃう。この間に、ほかの国は変化する。
また、秋田の強みをどう生かすか。今、データセンターを含めた企業誘致(を進めている)。地元企業もまた、サプライチェーンの構築(を進めている)。当然、そのために試験研究機関、あるいは大学の有効活用をどうリンクして、地元企業の産業構造を新しいものに変えるか。これが一番必要です。また、公共基盤。当然、人口減少を見越してのメンテナンス、あとは産業活性化。攻める、このような方向に向かっての公共基盤の整備も重要です。当然、災害対策(のために)強靭化も同時にやっていくと。また、観光の形態が相当変わってます。観光の形態の変化に合わせた施設の整備、コンテンツ。また、気が付かないような、まだ表に出てない新しいコンテンツの発掘も必要です。
 あと、私が最近になく「おお」っと思ったのは、年末にミルハスでウクライナのバレエ(を観劇した)時に、若い女性、子どもがすごい多いんです。休憩時間にオーケストラピットを見てるんです。あの光景(を見て)、まさに今までこの秋田(県)になかったんです。遊ぶものがない。違うんですよ。この地元秋田(県)にディズニー(リゾートが)できるわけがない。でも、あのミルハスを見たら、全然価値がある。街が変わったんですよ。ある方が言ってます。若い女性を地元定着(させるには)、街づくりが一番だと。そう言う学者もいるんです。そういう意味で、あれをどう活用するか。また、スポーツ分野。県立体育館の方向性をまずはしっかり定める。これによって、若いスポーツ好きの方の希望を生み出すと。また、教育の方に行きますと、少子化に沿った教育スポーツ環境の整備、加えてIT教育の充実。特に秋田の子どもの学力日本一だけではだめなんだ。前から言ってるように、IT教育日本一があれば、これはすごいことです。
 細かく言いますと様々あると思いますが、ここら辺が私の今思ってる、今年の主な施策目標ということで、くどく言いますが、これまでとは違う時代になってくる。すごい変化の時代。この変化をどう捉えて、漫然と前例踏襲でない、むしろ変化の時代を先取りするような発想で取り組んでいただきたいと思います。
最後に、大変に業務量が増えてます。減退された職員数で大変だと思います。ただ、昨年あったとおり、職員の思い詰めての不幸な出来事は、極めて残念です。また、組織としてあるべき姿でない。十分にこれは、我々全員が反省すべきです。そういう原因で(職員を)失うことは、組織として申し訳ない。相談しやすい体制、あるいは人事配置(について)、十分に検討しながら、適切にそうすることは当然です。ただ、、特に一番職員の身近な位置にいる管理監督の職にある職員は、常に自分の部下職員の業務動向を見据えて、十分に状況を見ながら、どうすべきか。相談に乗って(業務量を)コントロールする。これがなかったんです。これは、特に身近にいる方が自分のこととして捉えてほしいです。そういう中で、職場がお互いに職員を支え合って、みんなで努力して、そういう職場をつくりましょうよ。県庁は、いいところ。みんなが頑張れる。みんなが一緒に頑張る。そういうところだと。これが一番です。
 この1年間、どんなことが起きるか分かりません。健康、事故に気を付けて、やるべきことをしっかりとみんなで努力して、前に進めましょう。
 今日は、ちょっとけいれんが起きて、滑舌が悪かったですが、まずは今年1年間、頑張りましょう。進めましょう。今、変わるんですよ。時代が変わる(今は)、チャンスなんです、チャンス。今が秋田のチャンスです。反省すべきは反省する。しかし、前を向く。世界を見る。端で起こったとき、どうなるか。何が正しいか。意外と常識が常識でなくなる。これをしっかり肝に命じて、皆さんと1年間頑張りましょう。
 そういうことで、波瀾万丈の年になるかもしれませんが、みんなで県庁一丸となって、県民のために頑張りましょう。
 終わります。