「旭川農業水利事業 現場研修」が開催されました。
2022年11月21日 | コンテンツ番号 69051
令和4年10月7日(金)と10月21日(金)、国営かんがい排水事業「旭川地区」(注1)の現場研修が開催されました。この研修は、国営事業にて用いられているSPR-A工法(注2)を実際に見学するため、平鹿地域振興局と仙北地域振興局の農村整備課職員が参加しました。 | |
国営かんがい排水事業「旭川地区」は秋田県内陸南部の横手盆地に位置し、横手市、大仙市及び仙北郡美郷町にまたがる農業地帯です。本地区の農業水利施設は昭和21年度~昭和55年度にかけて造成されましたが、長い年月が経過し老朽化が進行するとともに、あいののダム(注3)等の施設については、大規模地震に対し必要な耐震性を有していない状態となっています。 |
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今回の研修では、旭川左岸幹線用水路工事を対象に、管更生工の一つであるSPR-A工法の説明をしていただきました。SPR-A工法とは、既設管の内面に塩化ビニル更生材(プロファイル)をらせん状に巻くことで更生管を製管、既設管と更生管の間隙にモルタルを注入することで、既設管・更生管・モルタルが一体となった複合管を再構築し、耐荷性や通水性等を回復又は向上させる工法であり、開削が不要で工期が短くなるなど様々なメリットがあります。また、円形や矩形、馬蹄形など多様な形状や大きさに対応が可能であり、曲線部にも用いることができます。本工事では、住宅街での工事となること、また、農業用水停止日から消雪用水通水日までの短期間で工事を完了させる必要があることなどから、非開削で通水しながらの製管が可能なSPR-A工法が採用されました。 |
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塩ビ材プロファイルの嵌合の断面図 |
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10月7日(金)は、SPR-A工法の説明後、実際に管径1,800mmの幹線用水路内に入り、自走式製管機による製管の様子を見学しました。元々ある既設管を利用しているため環境にも優しく、通水しながら施工をしている様子を見て、製管時は仮排水が不要という画期的でスピーディな工法だと感じました。 |
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自走式製管機による製管 |
通水しながらの製管 |
10月21日(金)には、製管後に行う支保工の見学が行われました。支保工は、既設管と更生管の間にモルタルを注入する際、浮上・バックリング防止のために実施する断面形状を確保するための作業です。
支保工についても管内に入り見学させていただき、日常業務では感じる事のない迫力を実感することができました。
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支保工 |
管内面 |
2日にわたりSPR-A工法を見学させていただき、地区の状況に応じて適切な工法を選ぶことの大切さを感じました。研修を通じて学んだことを業務へ生かしていきます。 | |
(注1 国営かんがい排水事業「旭川地区」では、農業用水の安定供給と維持管理に要する費用と労力の軽減を図り、農業生産性の維持及び農業経営の安定に資するよう、ダム、頭首工及び用水路の改修、大規模地震に対し必要な耐震性を有していない施設の耐震化対策及び用水系統の再編に伴う取水施設の統廃合等を実施しています。)
(注2 SPR-A工法(管路更生工法)とは、老朽化により既設管に破損、クラック、腐食等が発生し、力学的安全性や流下能力が保持できなくなった場合、非開削で既設管の内面から新たな管を構築し、耐荷性や通水性等を回復または向上させる工法です。)
(注3 あいののダムとは国営雄物川筋土地改良事業「旭川地区」によって築造された横手市にあるアースフィルダムです。あいののダムは当時アースフィルダムとして日本一の堤高を誇り、施工に当たっても農業用ダムとしては初めての機械化を行い築造されました。本事業においてはダムの補修および耐震化対策を行います。)
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