水田からの濁水流出を抑える「無代かき栽培」の技術紹介
2021年11月08日 | コンテンツ番号 40125
八郎湖に流入する汚濁負荷のうち、農地由来は、CODで42%、全窒素で43%、全リンで54%と大きな割合を占めています(H30年度実績)。
この中で、特に水田から排出される濁水を減らそうと、「浅水代かき・落水管理」などの取り組みが流域農家により行われ、実施割合は90%を超えるまでになりました。
八朗湖環境対策室では、さらに濁水を減らす方法として「無代かき栽培」を推進しています。具体的な作業内容などが分からないという方のため、実際の作業工程や内容をとりまとめた「無代かき栽培の手引き」や映像資料「無代かき栽培にチャレンジ」などの技術資料を作成しています。
当室で作成した技術資料は下段の "ダウンロード" にまとめてあります。
「無代かき栽培にチャレンジ!」映像資料
作業の様子は下の画像をクリックしてご覧ください。
WebTVあきた (YouTube) にジャンプします
YouTubeで動画を閲覧できない方はこちら(低画質版) [12791KB]
CD-ROM等でも映像を提供できますので、必要な方はお問い合わせください。
無代かき栽培のメリット・デメリット
メリット | デメリット | |
---|---|---|
代かき | ○漏水防止、除草、均平、砕土の作業を一度に行える ○苗が定着しやすい土にする |
○春作業に大量の水が必要 ○排水の悪いほ場で代かきを行うと、中干しの乾燥が不十分になりやすい。結果、稲の根張りが悪くなると同時に、機械作業がしづらくなる |
無代かき |
○春作業の時間短縮が可能となり、規模拡大が可能 |
○雑草が多くなる ○漏水の多いほ場では不向き ○砕土作業は土を乾かす必要があるため、作業の進行が天候に左右される ○浮き苗が多くなりやすい |
無代かき栽培の作業工程
1. 排水対策
雪解け後、早くほ場を乾燥させるために、前年秋のうちに排水対策を行います。
- 暗渠の設置
- 積雪前にデッチャで田面に浅い排水路を入れる
2. 土壌処理
雑草対策として、土壌処理剤を耕起の1週間~10日前に散布します。
3. 耕 起
土を起こして乾燥させるために行います。
細かくしすぎると、乾燥の妨げになるので、荒く起こすようにしてください。
プラウで大きく起こした場合は、均平作業が必要になります。
4. 砕 土
ほ場が乾いたら、ハローで表土10cm程度を細かくします。
代かき用ハローで対応できます。
バーチカルハローを利用すると作業効率が良くなります。
大潟村の場合、粉々にならなくても入水までに土が乾けば大丈夫です。


5. 均 平
代かき移植時に田面の露出があるほ場では、レベラーで均平を行います。
もともと均平がとれているほ場であれば、深く耕起しない限り3年前後は均平の必要はありません。
6. 潅 水
田植前はほ場の水面が2割みえる程度の水深とします。深すぎると浮き苗の原因となります。
2~3日かけてゆっくりと水を入れれば、浮きワラ防止になります。
7. 田植え
浮き苗防止のため、田植機の設定を深植えにします。
フロートの押さえは強め設定で。
無代かきは透水性が高いため、深植えでも問題ありません。
浮き苗防止のため、田植え後の潅水は1日以上経ってから、2~3日かけてゆっくりと行います。
その他
無代かき栽培を行うと漏水が多くなります。漏水が多すぎると除草剤の効果が低くなるなど、作業に影響するので注意してください。
漏水を防ぐためには畦塗りを定期的に行うなど、畦畔をしっかり作りましょう。
田植え直後の除草剤の使用は、薬害が起こる可能性があります。田植え後1日以上経ってから使用してください。
無代かき栽培の水質改善効果
下の表は、栽培方法の違いによる田んぼに「入れる水」と「出す水」の排出負荷量の差を示しています。
代かき栽培では、数値の分だけ負荷量が増えた水を排水し、無代かき栽培では(数値がマイナスなので)、数値の分だけ負荷量が小さな水を排水することになります。
つまり、無代かき栽培の田んぼには水質改善効果があることを意味しています。
ダウンロード
当室で作成した無代かき栽培についての資料は、下記からダウンロードしてご覧ください。
・無代かき栽培の手引き(R2年版) [9512KB]
無代かき栽培の全体的な流れをまとめています。
・無代かき栽培と代かき (H30作成) [1014KB]
代かきの意味や無代かき栽培の利点などについて説明しています。
・無代かき栽培のQ&A (H29作成) [784KB]
無代かき栽培についてQ&A方式でまとめています。