【第8回ジバゼミ開催】「元湯くらぶのこれまでとこれから」 ~ 小安峡温泉湯の宿 元湯くらぶ~

2018年12月11日 | コンテンツ番号 38959

つながる「ふるさと」、オガチの底ヂカラプロジェクト  趣旨

湯沢雄勝地域には川連漆器や稲庭うどん、清酒や味噌醤油など、秋田を代表する数多くの地場産業があります。また、国内外に誇るトップクラスの技術を有し、長年、地域とともにその歴史を刻んできた企業・事業所が多く存在しています。

このプロジェクトでは、湯沢雄勝の顔とも言える経営者らが、管内産業の魅力をより深く学び合うことで、地元企業や人物等の魅力を再認識するとともに、「ふるさと教育」を通して、地域の子どもたちや若者に、地元の良さや郷土への誇りを伝える土台を築くことを目指していきます。

ジバゼミ開催の概要 

ジバゼミ〖じばぜみ〗とは・・・

管内企業等や伝統産業の特長や強み、地域に根ざした事業展開の理由や意義等について学ぶ、交流勉強会のことです。

「社会科見学編」と「地場産業体験編」の二種類があります。

開催概要と講師

【開催日】平成30年12月4日
【講師】小安峡温泉湯の宿 元湯くらぶ 女将 佐藤 美佐子氏、専務 佐藤 忠明 氏
【講師プロフィール】
 ■女将 佐藤 美佐子  氏  
 旧皆瀬村(現湯沢市皆瀬)出身。小安峡温泉の老舗旅館「多郎兵衛旅館」の三女。26歳で民宿 元湯くらぶを開業。
 コンセプトは「お客さまに何度も来てもらえる宿を目指すこと」。
 ■専務 佐藤 忠明 氏 
 東京都出身。都内デザイン会社にてソフトウェア開発、ECサイトの構築、デザイン等を手がける。若女将との結婚を機に当地に移住。以後、フリーランスとしてまた家業に従事。2018年NPO法人Sowingを設立。
 「みがく」「つなぐ」「はぐくむ」の3つのミッションを軸に地域活性化に関わる活動を行っている。 

女将専務

  (写真左)佐藤 美佐子 氏    (写真右)佐藤 忠明氏

 

幼い頃から、自然に培われた“おもてなし“の心

実家が老舗旅館という美佐子さん。よもや、嫁ぎ先で自分が旅館業を始めるとは考えもしなかったそうです。

嫁ぎ先の食堂の2階に、最初は3部屋から民宿を始めたのがはじまり。
そうした中、たまたま当時中学生の娘さんの課外活動で出向いた旅行先で出された宿の食事が、決まり切ったメニューばかりであることに気付き、愕然とします。

お客さまをもてなすには、当地ならではの穫れたて新鮮な地場産品を用いること。それが他との差別化を図ることになる、と、確固たる思いに至った瞬間でもありました。 

特別ランチ特別ランチ2

(写真)旬の自然の恵みがふんだんに使われた「特別ランチ」。元湯くらぶさんの料理を食べた翌日は不思議と体がスッキリするそうです。 

訪れた転機と決断

その後、国内の高度経済成長期ともあいまって、小安峡温泉は行列ができるほど活況を呈します。発電所関連の作業員なども宿泊するようになり、経営は順調に推移。ご夫婦で上手に役割分担しながら、少しずつ部屋を増築していきました。

そうした折、2008年「岩手・宮城内陸地震」が発生。さらに、それに追い打ちをかけるように、2011年には「東日本大震災」が発生します。
この影響で敷地内地盤の一部が沈下。一部の壁などにも亀裂が入る事態となり、女将は一大決断を迫られます。
結局、選んだ道は「大改築」。

その頃、既に小安峡温泉内で女将の会を立ち上げていた美佐子さん。
先進的な取組や新たな気付きを求め、女将仲間と一緒に湯布院、飛騨高山など全国各地の著名な観光地に出向いては、積極的に勉強していました。
こうして見聞きした知識を、この大改築でも見事に活かし、一部屋ごとにその意匠を変える工夫を凝らしたそうです。
ここで活躍されたのは、普段、建物のメンテナンスなどを主に担当されている、ご主人利吉さん。美佐子さんと同様に熱い想いを持たれ、改築を手がける大工さんと一緒に、実際に先進地である九州にまで出向いたそうです。
こうした、美佐子さんご夫婦のおもてなしへのこだわりと熱意。
旅館の玄関に入った瞬間から、その空気が伝わってくるようです。

 露店風呂 きはだ風呂貸し切り風呂

(写真)各部屋ごとに趣が異なるお風呂。ひのき、露天風呂、貸切風呂などこだわりのお風呂に出会えます。

築いた宝を、これからも大事に守り続けるために

一方、若女将(次女 恵さん)との結婚を機に、東京から皆瀬に移住した忠明さん。田舎の生活は最初はさぞかし大変だったのでは、と思いきや、「いつのまにか、自然に居ついてしまって」と、サラッと語ります。
しかし、いざ旅館の仕事に就いてみると、朝早く、夜遅いだけでなく、繁忙期は数ヶ月にわたって土日の休みもとれないなど「実際にやってみると、なかなか大変な仕事」と実感したそうです。

忠明さん曰く「これまで女将の世代が苦労しながら築き、磨き上げた宝を、情報発信するのが自分の役割」と、HPの開設をいち早く手がけたほか、現在は公的機関や団体等の会合への参加など、いわゆる渉外部門も担っています。

その活動は温泉全体にも及び、一旦、都会に出てから温泉内に戻ってきた若手後継者らと一緒に、小安峡温泉を核にした「主体的な地域づくり」にも、意欲的に取り組んでいます。

管内では岩崎地区などを中心に、若手民間事業者らによるイベント企画などさまざまな新たな動きがあり、こうした人たちともつながりながら「観光振興に向けて新たなモデルをつくっていきたい」と語ってくださいました。 

「ただいま」「ありがとう」の声に支えられて

廊下は温泉熱を活用した床暖で、文字通りホッとする空間の元湯くらぶ

お部屋や廊下のすみずみまで、掃除が行き届いています。

 

  部屋の様子絵画

(写真左)部屋ごとにガラリと意匠が異なる、こだわりの空間。
(写真右)女将の趣味のひとつ、絵画。お部屋ごとに素敵な絵画や書の掛け軸が。 

 

元湯くらぶでは、女将さんの同級生など、農協職員や保育所の先生などを退職した強力な助っ人部隊(レディ5人)が裏方として、平日の午前中、掃除や洗濯などで大活躍しているそうです。
昼までに一仕事終え、その後はみんなでワイワイとお昼の賄いを食べ、お風呂に入って「また明日!」と元気に別れるのだとか。

元湯くらぶの助っ人部隊1 元湯くらぶ助っ人レディ2

(写真)元湯くらぶの強力助っ人部隊のレディ5人。お部屋、廊下など、すみずみまで掃除が行き届く心地よい空間を作り出している、スゴ技レディたちです。(写真は、昼、賄いをいただきながら懇談するレディたち)

 

旅館を訪れるお客様の中には「ただいま」と言って、玄関を入ってくる方もいらっしゃるそうです。
女将にとって、お客様からいただく「ありがとう」「すごくよかった」「またくるよ」という言葉は、何より励みになると言います。

女将の明るく気取らない、アットホームなキャラクター。
地域内外の人々がここに足を運ぶ理由・・・。誰もが、女将を中心とした「チーム・元湯くらぶ」の熱意に引き寄せられているのだと、改めて実感することができました。

参加者の感想

・新鮮野菜やキノコ、山菜、皆瀬牛など自然の恵みを活かしたおもてなしの素晴らしさが際立っている。

常に「どうすればお客様が喜んでくれるのか」を考え続けている。これがきめ細かな接客につながっている。

・ピンチが到来しても、世情を的確に捉え、スピード感ある対応で乗り越えた。女将の決断力が素晴らしい。

・地域の人を巻き込みながら、小安峡温泉のブランド力をますます強化しようとする力を感じた。

ワークショップ3 ワークショップワークショップ2

元湯くらぶが持つ力とは、何か。参加者全員で意見交換しました。

  

ジバゼミレポート

 第8回ジバゼミレポート   

   プロジェクト早わかり


 つながるふるさと、オガチの底ヂカラプロジェクト実施要領

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