1月4日(木)県正庁

 まずは、明けましておめでとうございます。
 皆さんには、この年末年始、それぞれ思い思いの過ごし方をされたと思います。例年の如く、除雪、あるいは各種施設の管理関係、あるいは医療・福祉関係等の職員、また、除雪関係も含めて、危機管理関係の方は休めなかった方も多かったのではないかと思います。また、予算編成関係の職員なども、ギリギリまで年末、役所に出て大変ご苦労さまでした。
 昨年とはうって変わって、今冬は雪の訪れが大変早く、この年末年始も荒れ模様との予報で心配しましたけれども、そんなに多く荒れなかったということで安心をしたところでございます。ただ、先程、建設部から報告がありましたが、実はこの5年間では累計ですけれども、最も雪の量が多く、平成25年の最大の年よりも多くなっています。新年は雨の日もありましたので、降ったり止んだりということでそう感じませんけれども、内陸部の方では相当積雪状態が多くなっているようです。いずれこれからも気が抜けない状況が続くと思います。そういう中で、もう既に死亡事故も起きておりますが、今後の積雪の状況によっては事故の多発も心配されますので、今後、市町村と連携し、被害防止にしっかりと努めていただきたいと思います。

 
 年末年始、街の様子でありますが、全国的な景気の好転の中で、なんとなく人出が多いように感じられたような気がします。特に今年は秋田駅の周辺が再開発の振興とともに、久々に賑わいが見られるようになったと思います。いずれこれからさらに駅周辺の再開発が進みますが、これが秋田市の中心街区の回遊性の充実に、さらにつながればと期待をいたしてございます。
 また、早い降雪ということで、スキー場や冬物商品を扱っているお店にとっては大変有り難いことと歓迎の話も聞こえます。太平山のスキー場は、例年になく早いスキー滑降可能で、大分年末年始、稼いだようでございます。
一方、秋田の冬には欠かせないハタハタ、これが大不漁で、年末に漁業組合からも要望を受けましたけれども、日本海北部全域で不漁とのことであります。北原ミレイの「石狩挽歌」ではありませんけれども、ある年から突然獲れなくなった北海道のニシンの話のように、いずれ数百年の単位で海も変化するとは言え、私の年代では、正月にハタハタを食べるというのは常識でございます。非常に寂しい思いをした限りでございます。当面、漁業担当の方の調査研究、あるいは資源確保のための手段をとり続ける必要がございますが、若い年代ではハタハタと言ってもピンとこなくなっております。大変寂しい限りではございますが、ハタハタに頼る漁業から将来性の見える漁業への転換ということも視野に入れなければならない時代かもしれないということは感じております。
 さて、大晦日、私、ボクシングの五十嵐選手のリターンマッチの画面に釘付けになっておりましたが、残念ながらの結果でございます。今後、引退ということでございますが、長い間、秋田県民に勇気を与えていただいたことに心から感謝をしたいと思います。今後、いい人生を歩んでいただきたいと思います。

 
 この年末年始の状況につきまして、私の気付いたことに少し触れさせていただきますが、さて、今年はどんな年になるのか、いずれにせよ今年も内外ともに気の抜けない年になることは確実と思われます。2月9日から冬季オリンピック・パラリンピック、隣の韓国平昌で開かれますが、ドーピング問題でのロシア選手の個人参加、あるいは北朝鮮選手団の出場に関する話題などに、事欠かない大会になるのではないかと思います。いずれにしても日本選手の活躍に期待をしたいと思います。
 私ども秋田県出身選手、まだ正式決定にはなっておりませんが、有力選手も何人かいるようでございます。是非この有力選手がオリンピック選手に選出され、活躍していただくことを願っております。
 一方で国際かつ経済関係では、アメリカとヨーロッパの景気動向がどうなるかということでありますが、アメリカを中心にAI、あるいはIoTを中心とした、いわゆる第4次産業革命の進展は車の自動運転、商業環境への劇的な影響、様々な社会システムへの導入による職業形態の大転換など、幅広い方面への影響が想定され、既に海外では変化への対応に急速に取り組んでいる様子が見られますが、わが国においては、過度なものづくりへの自信、あるいは平均的教育レベルの高さからくる底の浅いプライド、官も民も、まずは和を尊ぶという合議主義からくる対応スピードの鈍さなどから、むしろ置いていかれるのではないかというような心配の話も聞こえ、この面だけは何とか革新的であって欲しいと思っております。
 そのような中で身近なところでは、この年末年始、宥和の方向も少し見えておりますが、二、三日中のミサイルの発射という話も聞こえます。我々の身近な問題でもありますが、北朝鮮の問題に加え、中東ではエルサレムの首都問題、さらに、突然のイランの内政混乱など対外情勢も緊迫化を増しております。いずれ北朝鮮問題は、直接我が国へ、また、中東問題も、間接的であってもいずれは我が国、あるいは私どもの地方に大きな影響を与えることになりますので、目が離せない状況がしばらく続くものと思います。
 我々そういう中でも県組織は、直接、間接の影響を見通し、必要な対応を行いながらも足元の課題を的確に捉え、やるべきことをしっかりと進めていくことが必要であります。現在、新年度からの「第3期ふるさと秋田元気創造プラン」の策定と予算編成作業に入っており、県政の重要な施策事業や各部局ごとの重点課題などについては、今後、プランの最終の詰め、予算査定等を通じ、皆さんと議論を重ね最終的な指示をすることになりますので、ここでは触れないことにします。
 ただ、いずれにしても人口減少対策、少子高齢化対応、産業基盤の強化という大命題を抱え、さらには財政環境も尚一層厳しくなる中にあって、老若男女多くの県民の期待に少しでも応えるため、知恵を出しながら実効性のある計画、予算をつくり、汗をかきながら実現のために全力を尽くしていかなければならないものと考えております。

 そういう中で最近の出来事から、幾つか私の思うところを述べて、皆さんの頭の隅に入れていただき、今後の仕事の糧にしていただければ幸いでございます。
まずは、何と言っても豪風関のことでございます。テレビの年頭の対談にもご一緒いたしましたけれども、昨年の11月場所、10日目まで3勝7敗、あと残すところ5日、普通に考えれば、どう見ても勝ってもあと1、2勝。ところが、11日目から4連勝、残念ながら千秋楽に敗退し、結果、7勝8敗と勝ち越しにはならなかったものでありますが、38歳という相撲界では高年齢で体力も減退している中にあって、あの諦めない心、最近になく感動させられた場所でした。良くない面で何かと話題となっている大相撲の世界で、豪風関、地味でもキラリと光る存在だなと思った次第です。この秋田の状況、厳しい状況であることは事実でありますが、「諦めない心があれば光は差す」ということにつながるような気がして、豪風関の活躍をずっと見守っていたところでございます。

 いま一つは、最近東京であった出来事であります。最近と言いますか、このお正月に宮中の新年祝賀の儀で皇居にうかがって、天皇陛下からお言葉を頂戴した後でございます。東京のお正月、ほとんどのお店が閉まってますので、ご飯が食べられないんです。ホテルはほとんど予約ということで、街に出ても、ほとんど開いてないところで、ポツっと焼肉屋さんが開いておりました。その焼肉屋さん、非常に大衆的で一般的なところであります。店の造りは、ほとんどテーブル席でありますが、テーブル席を簾で区切ったような簡単な区切り。隣は全部見えますし、話も全部聞こえます。また、値段から見て非常に安い、若者が大半ということで、私も入りましたけれども、ほとんど若い人で、何か場違いな感じがしました。私も焼肉を頼んで食べようとしたら、隣の席に一組のアベックが入ってきてまして、一方の女性というか二十歳前後の女の子というか、何というんですか、コスプレですか、ものすごい派手な衣装で、服装もちょっと秋田では見ることができないようなそういう大変派手な服装で、いやあ東京ではこういう人がたくさんいるのかなと。何となくそういう派手な服装である程度人定めと言うんですか、よくないですけれども、どういう種のとかという、すぐね年寄りですから先入観を持って見てたんです。そうしているうちに、私も夢中で焼肉を食べておりました。店の中は満員で、ざわざわざわついてうるさい。そんな隣の話も明瞭に聞こえる状況ではないんですけれども、女の子、かなり甲高い声ですから、すぐパッと話が入ってきた。ところが、その話の内容です。その日開いてるお店(の話し)であろうと思います。「今日のお客様は何とか何とかで、私が対応させていただき説明したところ、ご納得されて何とか何とか」と、普通は、我々の先入観から、「今日のお客様が何とか、対応させていただいた」と、ものすごい丁寧な言葉です。これてっきり、相手の男性が会社の人、あるいは上司、そういうことで必要でそういう(丁寧な)言葉を使っていると思ったんですけれど、どうも聞いてみますと、相手の方は単なるボーイフレンド、その会社には全く関係のない話をしてございますので、会社とは関係のないボーイフレンドであったようです。
 その女の子が、そういう話ぶりで話すということは我々びっくりです。まさにそのお店の教育、これが目に見えるようです。そういうことで、私は、先入観で見て、いやあこれは、どんな状況でも「姿」「形」あるいは「年齢」などの先入観で見るその危険性、恐ろしさ、これを感じた次第です。

 もう一つ、東京というところ、やはりものすごい競争が激しい。多分お店の店員さんだと思いますので、このお店は、相当社員教育がしっかりしている。多分大繁盛しているお店だろうというふうに感じた次第です。
 どうっていうことのない話で、内容ですけれども、そういうことで実は、まずは豪風関には初場所、頑張っていただきたいと思っています。相撲界、今日も色々あまりよくない話で揉めてますけれども、あの豪風関、やはり秋田県民らしく、素朴で純情で、しかしあの姿、やはり力づけられると思います。粘りに粘って何とか幕内に残っていただきたいと思いますし、先般のテレビ対談でも非常に張り切っておりましたので、東京オリンピックまで現役を続けられると思います。我々も負けないで頑張らなければならないという強い思いをしてございます。
 もう一方の焼肉屋さんの女の子の話、たわいのない話ですけれども、真の姿を見ずにして決めつける先入観の恐ろしさ、また、企業でも役所でも、若くてこんなしっかりとした人につくり上げるという教育というものの大切さ、東京一極集中は確かに問題ではありますが、東京というところでは厳しい競争の中で多くの人間が育っているという事実に、自らの地はどうなのかといささか不安に感じられた次第でございます。
 いずれ色々な面で今年1年、様々なことがこれからもあろうと思います。そう簡単にいかないことがたくさんです。ただ、やはり最後まで諦めずに、そして粘り強く、さらには様々な面に先入観を持たずに、しっかり事象を見極め、そして方針をしっかり定め、そして様々な面で汗をかく、これが今年1年の目標であります。

 また今年1年、戌年、秋田犬、まさに世界中でブレイクしています。今、秋田犬に負けないように、健康に留意しながらチームワークを良くして、県民の幸せづくりのため、しっかりやっていきたいと思います。皆さんにもそれぞれの分野でしっかりと協力願って、また、色々な面でやはり成果をしっかり出していく。また、なかなか難しいものには、やはりそれなりに戦略も戦術も必要です。これをしっかり踏まえて一つずつ難しい問題も解決の方向に導いていく、そういうことで特に管理職の皆さんには、各職員にその意識をしっかり植えつけてもらって、全庁一丸となってこの戌年、元気に吠えながら進みたいと思いますので、ひとつよろしくお願いいたします。
 以上で終わります。今年1年、健康に留意して頑張りましょう。