第7回ふるさと秋田文学賞(令和2年度)最終選考結果

2020年10月30日 | コンテンツ番号 29998

「第7回ふるさと秋田文学賞」には、2部門合わせて132編の応募がありました。たくさんのご応募、ありがとうございました。

最終選考結果をお知らせします。

入賞作品(敬称略)  

小説の部

 <ふるさと秋田文学賞>(副賞:賞金50万円)

『赦し』常田 あさこ(宮城県仙台市)

 

<ふるさと秋田文学賞 佳作>(副賞:賞金5万円)

『近かったり遠かったりするもの』石坂 仁(ペンネーム:青山 トーゴ)(神奈川県横浜市)

 

随筆・紀行文の部

<ふるさと秋田文学賞>(副賞:賞金30万円)

『蚕のなぐさめ』春野 昌和(横手市)

 

<ふるさと秋田文学賞 佳作>(副賞:賞金3万円)

『消えゆく集落の記』鹿住 敏子(埼玉県白岡市)

 

 最終選考委員コメント  

内館牧子 氏

 年々レベルが上がり、選考する側も熱が入る。また、毎年応募される方々もおり、そのレベルアップを感じるのは本当に嬉しい。

 〈小説の部〉では『赦し』に、選考委員がそろって高い点をつけた。登場人物の心理描写がいい。文章に勢いがあり、ユーモアも効いている。 佳作は『近かったり遠かったりするもの』で、構成もよく回想の入れ方がうまい。一度、自分から徹底的に離れた虚構を書いてみると、今後にいい影響を与えるのではないか。

 〈随筆・紀行文の部〉では『蚕のなぐさめ』が他に2ポイント以上の差をつけた。生命力の旺盛な蚕と、峻立する雌雄長子内岳と三本鎗山、そして生きる人間。それがうまくからみ、とてもよく表現されている。

 佳作の『消えゆく集落の記』は、故郷とは何といいものかと思わせる。それだけでも十分にいいのだが、そこで生きる人の動きや、本人の思いが描かれ、四季の単なる状況説明に終わっていない。  

 

塩野米松 氏  

 応募総数は昨年と同じ132作品。内容も質も確実に向上しています。最終選考には頭を痛めました。平均的な水準が高いのです。差が大きければ悩まずにすむのですが、それがなかったのです。ずば抜けた作品があれば、それで決まりですが、それもなかった。今回はかなり質のいい作品が小説の部7作、随筆紀行文の4作が最終選考に残りました。文章はみなさん訓練なさってきたのでしょう。達者です。そうなると、書きたいテーマを持っているか、それが作品に表現されているか、構成の工夫が生きているか、今という時代のなかで作品が輝いているか、こうしたことを選考の要点としました。

 最終に残っていた方のなかには、前にも最終まで残った方や佳作に選ばれたことのある方もおります。こうした方には少し評価が厳しくなります。ほぼ同点数で候補に残れば、前回の作品と比較してより良くなっていることを望みました。その結果がごらんの受賞4作です。随筆部門では、思いの深い『蚕のなぐさめ』が文学賞。故郷の四季を描いた『消えゆく集落の記』が佳作。小説は読後のさわやかな『赦し』がふるさと秋田文学賞に。コロナ騒ぎの現代を背景にひびの入った家族のなかでの男の姿を描いた『近かったり遠かったりするもの』が佳作。どちらの分野も3人の選考委員の意見が一致しておりました。

 

西木正明 氏

 文学賞選考などというと、いかにも難しい作業のように思われるが、実際はとても簡単で楽しいことです。読書が好きな人なら、誰だって出来る作業なのだ。

 優劣を決める基準はだたひとつ。読みおえて、ああおもしろかったといえるかどうか、それだけです。

 今年度のふるさと秋田文学賞を授賞された小説とエッセイは、いずれも、ああおもしろかったといえる、すばらしい作品でした。

 ということなので、選考委員のひとりとして私が言えることは、この度受賞された方には、おめでとうございます、これをきっかけに、どんどん書いてください、だけ。

  惜しくも受賞を逃して、来年もふるさと秋田文学賞に挑戦しようと思っておられる方には、書きおえた作品をしばらく机の引き出しに、そう、最短でも1か月閉じ込めておいてから読みなおしてみること。 そうすると、ご自身が書かれた作品が面白いかつまらないかを、本屋さんで本を買った時と同じ冷静さで判断出来ます。がんばってください。

 

 応募状況等

  • 応募総数132

  [内訳]小説の部77、随筆・紀行文の部55(県内45、県外87)

  •  最終選考委員は内館牧子氏、塩野米松氏、西木正明氏(五十音順)

  

最終選考候補作品(敬称略)※応募順

小説の部(7作品)

『異界の人』谷口 俊明(滋賀県大津市)

『赦し』常田 あさこ(宮城県仙台市)

『近かったり遠かったりするもの』石坂 仁(ペンネーム:青山 トーゴ)(神奈川県横浜市)

『八月の恩返し』位ノ花 薫(栃木県塩谷郡)

『生きていれば、どうにかなることも』谷門 展法(千葉県柏市)

『十七年目のババヘラアイス』右川 雅基(香川県高松市)

『ひとり祭り』畠山 政文(岩手県花巻市)

 

随筆・紀行文の部(4作品)

『消えゆく集落の記』鹿住 敏子(埼玉県白岡市)

『台の洋館の宣教師』皆川 順子(横手市)

『おもかげ』堀川 茂進(湯沢市)

『蚕のなぐさめ』春野 昌和(横手市)

  

 受賞作品集

受賞4作品と選考委員による選評などを収めた作品集は令和3年2月刊行予定です。

なお、同作品集は県ウェブサイト「美の国あきたネット」にPDFで掲載します。