銅造地蔵菩薩立像(どうぞうじぞうぼさつりゅうぞう) 平成24年3月23日指定

画像:銅像地蔵菩薩立像の正面 画像:銅像地蔵菩薩立像の側面
(鹿角市教育委員会提供)

銅造地蔵菩薩立像は、鹿角市八幡平大里の大徳寺が所有する金銅像である。

小型の像ながら大ぶりの頭部が特徴的である。さらに衣の襞が腹部から両足の間にY字型に流れる表現や、襞が太造りでその一部が分岐・収束する表現で大腿部の量感とアクセントを生み出している。これらの表現は平安時代前期(9世紀)の木彫像にしばしばみられ、制作時期もこの頃と推測される。

また、左手に宝珠を持つ地蔵菩薩は多いが、この像のように両手に宝珠を持つものは他にほとんど例がない。さらには、中型のない一鋳製という鋳造方法で作られており、当時の地蔵信仰や制作環境などを解明するための重要な資料となる。

もとは鹿角市大里の住吉寺(廃寺)の本尊であったともいわれるが、明治初年の廃仏毀釈によって火中に投じられたのを地元の人たちに拾われ、明治20年(1887)頃大徳寺に納められたという。

この像は、県内においては横手市正傳寺の観音菩薩像に次ぐ古作であり、金銅仏の制作が激減する平安前期の作例として全国的にも注目される。

参考

昭和61年(1986)1月16日 鹿角市指定文化財「大徳寺金銅仏」

参考文献

鹿角市文化財保護協会機関誌『上津野』第22号 平成9年(1997)3月31日