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[2012年1月21日更新]

「県の新コミュニケーションデザインとは!」知事と梅原真さんの対談を紹介します。


平成24年1月1日に秋田魁新報に掲載しました佐竹知事と梅原真さん(秋田県イメージアップ戦略アドバイザー)の対談記事を紹介します。 


 
 本県にあふれる多様な魅力を県内外に発信していくための新しいキャッチコピーが「あきたびじょん」「あんべいいな 秋田県」に決まった。今月から順次、県内主要駅や空港、公共施設などにポスターを張り出すほか、3月以降は首都圏にも大々的に展開、本県への交流人口の増加につなげたい考えだ。新コピーを考案したのが、高知県出身で県イメージアップ戦略アドバイザーの梅原真さん。刷り上がったばかりのPRポスター4種を前に、コピーに込めた思いや秋田への期待などを佐竹敬久知事と語り合った。(進行は吉尾聖子・県イメージアップ戦略推進室政策監)
 
 秋田魁新報記事
 
 
 
秋田にはタカラモノのようなニッポンが残っています 
 
―秋田のイメージをデザインするに当たり、県内各地を約50日かけて調査したそうですが、歩いてみてどんな感想をお持ちですか。
 
 【梅原】 一言で言えば、秋田には「奥深い日本」があると感じました。〝タカラモノのようなニッポン〟が残っていると。他県の多くは、中途半端な田舎になってしまったけれど、秋田は農業をベースにしながら、水があり、コメがあり、酒があり、人がいて…。ベースから順番に物語を展開していく力を持っています。
 
 【知事】 梅原さんは、一次産業に光を当てた商品の開発やデザインにたけた人。今回も、秋田の持つさまざまな資源をうまく取り込んで、訴求力のある素晴らしいポスター、キャッチコピーを作っていただきました。
 
 ―「あきたびじょん」という言葉に込めたメッセージは何ですか。
 
 【梅原】 県にはビジョンが必要。ローカルは、小さい器だからこそ明確なビジョンを打ち出すことができるはず、という思いが根底にありました。秋田で一番人気のある地域資源が「秋田美人」。これをじーっと眺めていたら、「ビジョン」と「びじん」がよく似ていることに気付きました。「よ」を小さくすると「びじん」に見えちゃう。僕はデザイナーですから、これをコミュニケーションの一番の源に使ってしまおうと考えました。「秋田美人」と思って「何だろう?」と寄ってきたら、実はビジョンの話だった、という感じです。
 
 【知事】 行政だとよく「ビジョン=数字」と捉えられがちですが、もっと広い意味で、生きる形の理想像を求めるのがビジョン。私たちの日常を思い浮かべてみれば、秋田の美しさに囲まれておいしいものを食べ、温泉に入って…。こんな幸せなことはないですよね。県別で比較すると秋田には悪い指数、数字もありますが、世の中全体を見回してみても、そんなに悪い暮らし方をしているとは思いません。
 
 
 
 製造品出荷額では測れない豊かさが秋田にはある
 
―秋田の豊かさとは何だと思われますか。
 
 【知事】 温泉に入って「気持ちいいな」と感じたり、コメを食べて「うんまいなぁ」と感じる。そんな〝瞬間の豊かさ〟が秋田にはあふれています。逆に、数字だけで豊かさを測れば、金持ちだけが豊かだということになってしまう。マイナスの指標はもちろん、できるだけよくしていかなければなりませんが、それだけにピリピリしていては、豊かな人生を送れないと思います。
 
 【梅原】 知事と僕は、考え方が似ていますね。(写真家・木村伊兵衛の作品「秋田おばこ」を使ったポスターを見ながら)ここでは、秋田美人が見つめる視線の先にあるものを「ユタカ」さ、と設定しています。僕が思うユタカさとは、自分のしっかりした物差し、座標軸を持っていること。秋田で言えば、「こんな温泉しかない」とマイナス思考に思うのは勝手でしょうが、「こんな温泉があって豊かだな」と思うのも勝手でしょう?
 経済指標の代表格とされる製造品出荷額をみてみれば、実は最下位が高知県です。秋田も下から5番目くらいで、高知と状況が似ている。逆に一番上は愛知県で、静岡、神奈川と続く。でも、県土の広さや人口などの違いを全く度外視し、県単位でみて製造品出荷額が少ないという理由だけで「お前の所は遅れているぞ」と言われるのは、どうですか。この物差しのさらに上にはアメリカがいたはずですが、アメリカはもう既にこけてしまった。そんなマラソン大会で、出荷額トップを走っている地域は本当に幸せ、ユタカなんですか? ということを問いたいのです。
 
 
 びじんで引きつけびじょんを語る
 
【知事】 梅原さんがポスターに使ってくれた「あんべいいな」という言葉、これもすごくいいですね。あんべいい暮らしは、最高の幸せにつながります。それとこの言葉、ぱっと見て意味が分からないという県外の人も多いでしょう? そこがいいんです。当たり前に理解できるものは、人の記憶に残らない。引っかかりが大事だと思います。
 
 【梅原】 知事は、コミュニケーションデザインをよく分かっていらっしゃる。今回のポスターでは「美人」で引きつけて「ビジョン」を語る、という手法を使いました。相手の心にとどまる力を持つ言葉を選ぶ、というのがコミュニケーションデザインです。
 
 【知事】 (秋田市長だった2008年の)秋田市県都400年事業の際、ひらがなの「け」一文字を大きくデザインしたポスターを作ったことがあります。秋田弁の「け」には「来て」「食べて」といった意味がありますが、東京の会合などに出掛けると「『け』って何ですか」とよく聞かれたものです。あれが、「美しい自然と豊かな食の秋田」と書いたポスターでは、話題にも上らなかったでしょうね。
 
 
 揺るぎない美意識でゆっくりと足元をみつめて生きていく
 
 【梅原】 資本主義一辺倒の世の中では、ほどよい所にとどまるのはとても難しい。でも東日本大震災が起きた「3・11」以降、私たちはこれまでの価値観だけでは説明できない現実に直面しました。そこで何かに気付いたはずです。このまま行ったらどうなってしまうんだろう、という不安の中で、秋田に目を転じてみると、「ちょうどいい」んですよね。あんべがいい。揺るぎない美意識を持って、大声を張り上げず、ゆっくりと足元を見つめて生きていく。そんな秋田の姿が豊かだと感じられるような時代になってきていると思います。今までいろんな意味で「遅れている」と言われ続けてきたのはもう〝チャラ〟。経済成長どうのこうの、と言っていたほうが、遅れていたんじゃないの、とさえ僕は思っています。
 
 【知事】 それと、ポスターには秋田の普通の人たちが写っていますね。みんな、本当にいい表情をしている。これが、有名人を使ったのでは県民参加にはなりません。ローカルのよさを前面に出しながら、情報発信にはユーチューブやユーストリームなど新しいツールもどんどん活用していきます。「あんべいいな」が日本全体の流行語になるくらいを目指したいですね。
 
【梅原】 田舎には大きなお金はないんだから、アイデアを使わなくちゃ。小さな資本で大きなメッセージを、より多くの人の心に響くように届ける。今回の「あきたびじょん」が、一つのきっかけになればうれしいですね。
 
 
秋田のソフトを再編集し人を呼ぶ施策を展開
 
 ―今後の展開についてお考えをお聞かせください。
 
 【知事】 ポスターを作って掲示するだけの単一の事業では決してありません。行政の宿命として、一定の経済価値にも当然、結び付けていかなければならない。県では来年度、観光を総合戦略産業として発展させるため「観光文化部(仮称)」を新設したいと考えています。秋田の文化や風習、祭りなどのソフトを再編集し、人を呼び込むための施策を展開していきます。
 
 【梅原】 観光振興には、明確な誘導が必要です。僕は「温泉」を入り口にしてほしいと思う。泥湯に乳頭、八幡平…豊かな温泉資源をゲートにして、農、酒、食べ物、文化、伝承…とつながっていくようなストーリー立てがほしい。言い換えればそれがビジョンです。一歩踏み込んだビジョンに期待したい。
 
 【知事】 確かに、今までの観光振興は単なる宣伝というか、個別のニーズに対する具体的な訴えかけ、きっかけづくりの観点からみると弱かったかもしれません。韓国など海外からの誘客においても、「秋田」の魅力がうまく整理できていない、インパクトが曖昧だと指摘されることがありました。今までより一歩踏み込んだビジョンを示すため、職員が楽しみながら大いに知恵を絞り、具体的施策に落とし込んでいく必要があります。
 
 【梅原】 今回、秋田が持つローカルな個性を一つずつ掘り起こしてみたら、温泉がありコメがあり酒があり、水があり、人がいて、食があり…とどんどん展開し、11種類もポスターを作ることになってしまいました。秋田にはそれだけ光る個性があるんです。このポスターをアイコンとして、県庁各部、各課がそれぞれのビジョンを作り上げていってほしいと思います。
 
 
この先は秋田のクリエーターたちに!
 
―お互いへのエールをお願いします。
 
 【梅原】 僕は基本的に、行政に対して不満を持っています。「わかってないな、ビジョンがないな」といつも思っています。でもその行政(秋田県)から今回のオファーがあった時、逃げる訳にはいかないと思いました。秋田のビジョンを創り出す、そのきっかけ作り、今後広がっていくはずのコミュニケーションの原型を作った、という感じでしょうか。
 ここから先は、秋田県内のクリエーターたちに是非、引き継いでいってもらいたい。「あきたびじょん」を持った県であれ、職員であれ、そして県民であれ、というのが僕の願いです。
 
 【知事】 幸い、県内に若いクリエーターたちもたくさん育ってきています。今後もそれぞれの立場で参加意識を持ち、そしてさまざまな横のつながりも生かしながら、みんなで「あんべいい」秋田を創っていきましょう!
  
 
 
あきたびじょんメインロゴ あきたびじょんメインロゴ
 
 
 
 
じっと今の秋田を見つめ直してみると、そこに日本のタカラモノのようなあきたが見えてきました。「どこまでもニッポンでいよう!」あきたびじょん
 
 
 
 
あきたびじょんポスター
 
 

 


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