[2016年6月8日 更新]

つつが虫病に注意しましょう!

つつが虫病とはどんな病気ですか?

 つつが虫病は、「オリエンティア・ツツガムシ(つつが虫病リケッチア)」という病原体を生まれながらに持っている特別なツツガムシの幼虫に吸着され、人の体内にその病原体が入ったときにだけ発病する感染症のひとつです。
 つつが虫病の初めの症状は、ひどい風邪とよく似ています。まず身体がだるく食欲がなくなり、次いで、ひどい頭痛や寒気とともに39度から40度もの高熱が出てきます。4、5日目になると胸や背中から腹部にかけて赤褐色の直径2~3mmの発しんが現れ、その後、腕や顔にも増えていきます。この頃までに適切な治療を受けると、たちまち熱が下がり、時には風邪よりも早く治ります。
 しかし、治療が遅れたり適切でなかったときはなかなか熱が下がらず、全身の内臓機能が侵され、重い脳炎のような症状が起こることもあり、治るまでに数ヶ月の入院が必要となったり死亡してしまうこともあります。
 平成25年には県内で15年ぶりに亡くなった方があり、今でもつつが虫病は昔から言われてきたとおり怖い病気の一つなのです。

 つつが虫病は秋田、新潟、山形だけで真夏にかかる病気と誤解されていた時代もありましたが、今はほとんど日本全国で見られていますし、東南アジアから中国、朝鮮半島、ロシアの極東地域を含めたアジアの広い地域でも見られます。平成27年には、全国39都府県から418名の患者が報告されています。
 季節的には、東北地方では主に新緑の頃と晩秋に、関東から九州にかけては主に晩秋に患者が多く出ていますが、これは生息するツツガムシの種類と活動季節に違いがあるからです。

ツツガムシとはどんな虫ですか?

 ツツガムシは非常に小さなダニの一種で、日本には120種類以上のツツガムシが生息しています。この中で、病原体を持つことと人に吸着する性質を併せ持っているのは、次の3種類が主なものです。

  ①アカツツガムシ
       昔から雄物川沿いで真夏に恐れられた有名な種類で、ケダニとも呼ばれている。
  ②フトゲツツガムシ
       全国的に春と秋に発生しているつつが虫病の原因となる。
  ③タテツツガムシ
       主に房総半島、東海、関西及び九州で秋に発生しているつつが虫病の原因となる。

 しかし、この3種類のツツガムシでも全てが病原体を持っているわけではなく、ごく一部のツツガムシだけが生まれながらに病原体を持っているに過ぎません。しかも、病原体はメスからメスへ伝えられ、その一族が生息するごく狭い範囲だけが危険地域になりますが、あらかじめそこをつきとめることは、ほとんどできません。
 秋田県内のつつが虫病の原因は、最近ではほとんどがフトゲツツガムシによると考えられており、有毒フトゲツツガムシは県内全域に生息していると思われます。
 一方、古くから真夏に雄物川沿いで数多く発生していたアカツツガムシによる患者が久しぶりに平成20年に発生し、その後も22年と26年の夏に患者が確認されています。大仙市以南の雄物川上流河川敷ではところどころでアカツツガムシの生息が確かめられており、平成20年と26年の患者はちょうど生息が確認された辺りで取り付かれたことがわかりました。その上、最近県南・県北の一部地域から予想外の種類のツツガムシによると思われる患者が出ていますので、改めて調査が続けられています。

つつが虫  つつが虫の大きさ

 

 

  どのツツガムシでも卵からかえった幼虫は、一生に一度だけ温血動物から栄養を吸い取らないとその後の成長を続けることができませんので、生まれると間もなく吸着相手を求めて、地面をはい回ります。
(ツツガムシの一生図参照)
 ツツガムシの幼虫の多くは、まず野ネズミなどに吸着します。ネズミに吸着した場合は2日間ほど吸着を続け、満腹になると自然に離れて地上に落ちます。もし、この幼虫が親譲りの病原体を持っていた時には、吸着されたネズミの体内で一時病原体が増えますが、間もなく消え去り、後で吸着した別のツツガムシに病原体がうつることはありません。また、一度ネズミに吸着した幼虫は二度と温血動物に吸着することはなく、土の中で休眠後若虫となり、更に他の虫の卵を食べて休眠と脱皮を繰り返して成虫になります。
 ヒトがつつが虫病にかかるのは、親譲りの病原体を持っていて、しかも、何らかの理由でネズミなどに吸着できなかった幼虫に運悪く吸着されたときだけです。ネズミはツツガムシの成長には必要な生き物ですが、病原体を増やしたり、うつしたりする役割はなく、むしろ人の身代わりともいえます。

なぜつつが虫病は春と秋に多いのですか?

 秋田県内のつつが虫病の主な原因となるフトゲツツガムシは、夏に産卵します。その卵は秋にふ化して幼虫になりますので、吸着されてつつが虫病にかかることがあります。
 しかし、ツツガムシの幼虫は気温が10度以下になると活動できなくなるため、多くは未吸着のまま土の中で冬を越します。そして、春になり気温が10度以上になるとようやく吸着活動を始めますので、春先から初夏にかけてつつが虫病が発生します。秋田県のような雪国では、ふ化した幼虫が秋に活動できる期間は短く、むしろ越冬後に多く吸着するため、晩秋の患者数よりも新緑の頃の患者数が多くなるものと考えられています。
 昔から雄物川上流の川沿いで多く見られたアカツツガムシは、真夏に幼虫が生まれます。近年は絶滅したように思われていましたが、平成21年の夏に、大仙市角間川や運動公園付近の両岸河川敷に群がっているのが確認されました。真夏の河川敷に立ち入るときは、よく気をつける必要があります。
 さらに、県南・県北地域で、春と秋のつつが虫病に関わる新たなツツガムシの生息がつきとめられようとしています。 

病原体はどこから人に感染するのですか?

 ツツガムシの幼虫は一生に一度の吸着を遂げようと、温血動物が発する炭酸ガスを頼りに地面に出て待ち構えています。そこに人が腰を下ろしたり寝そべったりすると、人に取り付く性質を持った幼虫が取り付きます。その後、衣類の隙間等から皮膚の表面に入り込み、1分間に3~4cmほどの速さで好みの場所を探し回ります。ツツガムシが好む部位は、陰部、内股、脇の下、下腹部などの柔らかくいくらか湿ったところです。
 好みの部位にたどり着いた幼虫は、皮膚にクチバシを突き立てて吸い付き、このクチバシから唾液を出し入れし、何時間もかけて人の組織を消化して特別な管を作ります。その後、更に何時間もかけて、その管を通して人の体液を吸います。この吸着は蚊やノミなどのように血液を吸うのではなく、また、すぐに離れてしまうわけでもありません。しかも、アカツツガムシ以外では吸着されても痛みやかゆみがほとんどなく、また、0.2mm位とごく小さいので、取り付かれていたとしても気付くことはまずありませんが、アカツツガムシに取り付かれたときには『チカッ』と痛みを感じることがあり、そこにツツガムシが付いていることもあります。
 吸着したツツガムシが有毒ツツガムシであれば、その食道にいる病原体がクチバシを通して人の体内に入り込んで感染します。
 有毒のツツガムシに吸着された部位は2~3日目ころに赤い小さな水疱(ほう)になり、その後、膿(のう)疱(ほう)(ウミがたまった状態)になります。これが10日目ころには周りが赤く盛り上がったかさぶた(痂(か)皮)となり、「刺し口」と呼ばれます。そして古くからつつが虫病の臨床的な診断の決め手となったものですが、痛みもかゆみもなく、また隠れた部位にあることが多いため見逃がされることもありますが、「刺し口」のないつつが虫病はないはずです。そして「刺し口」ができ上がったころから発熱などの症状が始まりますので、発熱は取り付かれてから大抵1週間~10日以後からです。無毒のツツガムシに吸着された場合は、ごく小さな発赤がある程度で数日で跡も消えてしまい、発病することもありません。

刺し口   

どうやってつつが虫病と診断するのですか?

 新緑の頃(初夏)や秋に頭痛やだるさが強く、高熱が続いたり、更に発しんが出てきた場合にはつつが虫病の可能性が濃厚ですから、我慢したりしないで急いで医療機関を受診してください。そして、発病前の生活、例えば、山菜採りに出かけたことや田畑で農作業をしたこと、真夏に河川敷に行ったことなどを必ずお話ししてください。
 また、身体に疑わしい「かさぶた」や「腫れ物」があった場合には、人に見せにくい部位であっても、必ず医師にそこを診てもらうようにしてください。
 秋田県内にはつつが虫病の発生を報告したことのある医師が多数おり、「刺し口」や臨床症状等からつつが虫病と診断とすれば直ちに適正なミノサイクリンによる治療を始めて、速やかに治癒するでしょう。しかし、受診が遅れたり適正治療が遅れると重症になりやすく、死亡してしまうおそれもあります。また、つつが虫病と似た症状の病気もありますので、確実に診断するには血液による病原体の検査が必要です。今のところ、血清中のつつが虫病リケッチアに対する抗体を調べる方法が、最も早く確実です。秋田県では県健康環境センターで、この正確でしかも迅速な検査を県内のどこの医療機関からでも無料で受け付けており、検査結果はすぐに医療機関に伝える体制を整えています。つつが虫病が疑わしい場合には一刻を争いますから、まず適切な治療を開始するとともに、県健康環境センターに病原診断を依頼してください。

なぜ秋田県ではつつが虫病が話題になるのですか?

 つつが虫病は毎年同じような季節になると必ず出てくる病気であることと、早期に適切な治療が行われると風邪よりも早く治る病気でありながら、治療が遅れると重症になりやすく、診断不明のままに死亡してしまう可能性が極めて高い病気の一つであるためです。
 つつが虫病は、診断した医師が全ての発病者について最寄りの保健所に届け出ることが法律で定められています。秋田県では30年ほど前から全国に先駆けて診断体制を整え、つつが虫病を診断した医師の報告に基づいて報道機関等を通じて県民の皆様に発生情報を提供しています。

つつが虫病の予防方法はないのですか?

 完全な予防というのは、非常に難しいのが現状です。
 例えば、山林や田畑に殺虫剤等を散布して駆除しようとしても、広範囲な散布は経済的にも環境衛生的にも実際上不可能です。
 また、感染又は発病を防止するワクチンは、開発されていません。
 ツツガムシは身体に取り付いてもすぐに吸着するのではなく、適当な場所を探し回り、さらに、病原体が人の体内に入るまでには10時間近い時間がかかります。そこで、衣類や身体についているかもしれないツツガムシを吸着前に取り除くのが、日常的には一番有効です。
 ツツガムシはごく小さく、肉眼で見つけることはほとんど不可能ですが、次のようなことをお勧めします。

① 野山・田畑等では、長袖・長ズボンを着用し、素肌の露出を少なくする

② 野山・田畑等ら帰宅後は、速やかに入浴し、念入りに身体を洗い流す

③ 脱衣後は、衣類を室内に持ち込まない、またはすぐに洗濯する

 また、これらの対策の補助としてツツガムシに効果がある虫除け剤(医薬品)を使用する場合は、「使用上の注意」をよく読んで正しくご使用ください。

    指導・写真提供  秋田大学名誉教授 須藤恒久

 

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TEL:018-860-1422   FAX:018-860-3821   E-mail:kenkou@pref.akita.lg.jp

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