秋田県森林審議会の審議要旨
 
1 開催日時 平成15年12月18日(木)午後1時30分から3時30分
 
2 開催場所 秋田市山王四丁目「みずほ苑」2階「藤紫の間」
 
3 出 席 者 (敬称略)
 (委 員) 阿部勝行、梅森栄利子、加藤雄悦、川喜多進、北林孝市、熊谷カズ子、栗生澤節
       佐藤清太郎、佐藤万里子、鈴木誠一、田口恵子、長沼誠子、那須チカ子、松橋久太郎
 (事務局) 佐藤次長、佐藤参事、原田秋田スギ振興課長、佐々木森林整備課長、小林森林環境対
       策室長
 
4 開  会
  佐藤農林水産部次長あいさつ
 
5 諮問事項
 (1)米代川地域森林計画変更計画(案)について
 (2)雄物川地域森林計画変更計画(案)について
 (3)子吉川地域森林計画変更計画(案)について
 
  以上は適当である旨、答申することが承認された。
 
  諮問に関する質疑(意見)の概要
 
委員: 資料によると秋田県の林業の目指す方向は、従来スギを植えてきたという考え方から、その
    後に広葉樹を残していこうという考え方に切り替わっているように思うのですけれども、こ
    れから秋田スギをどのような形で持っていこうとするのか。ないしは、ほぼスギの役割は終
    わって、樹種転換という考え方があるのか。
 
県 : 今ある人工林はきちんと育成していくことが基本でございます。今まで23万5千haほど人
    工林を育成しておりまして、面積では全国一になっております。これを全部混交林化するの
    ではなく、スギの人工林の育成はきちんとやっていき、成長の悪いところについては広葉樹
    林化・混交林化をしていくということです。
 
委員: 我々仕事をやっていて思うのは、スギはかなり水分を含んでいて、水を抜く作業がなかなか
    難しい。今後、建築基準法などが厳しくなって、含水率云々と言われた場合、樹種としては
    水分が少ないマツ系統のほうがいいのかなと、若しくは外材と競争力のある材がいいのかな
    という認識もあるわけで、森林の持つ機能ないしは自然に従うという意味で、スギという樹
    種は適するのですが、経済林としては50年後、100年後と長期的に見た場合に、どのよ
    うな樹種、施業をしたらいいのかということをどう考えたらいいのか。
 
県 : スギに変わる樹種が見つからないというのが現状であります。その中で、今あるスギを育て
    ていって乾燥の技術を進めていかざるを得ないのではないかと考えております。
 
 
県 : 現在、秋田県には民有林が44万haほどございます。そのうち23万haがスギで、半分が広
    葉樹であります。23万haという豊富なスギをいかにうまく利用して林業・木材産業につな
    げるかということを第一に県は考えております。スギから水を抜くことに関しては乾燥の技
    術を高めていくことによって、クリアしていけるのではないかと考えております。23万ha
    を他の樹種にかえることは、金もかかることですし、あるものを有効に活用するということ
    で、森林整備を進めていこうと考えております。
 
委員: 林業をやってるほうから言わせてもらうと、植えて、育てて、収穫することまで考えると、
    最終的にお金になるのがスギです。雑木を買ってくださいと言われても、ほとんどゼロです。
    そうすると石当たり1,000円でも800円でもお金になりますので、林業としてはスギに頼ると
    いうほかはないと思います。
 
委員: ヘクタール全部伐って売って、手に残るのは100万円。これで再造林ができますか。このよ
    うな状態が現実としてあります。現状を考えると、ここ1〜2年で秋田県の、森林・林業が
    どうなるのか、そこを審議会のみなさんに考えて頂きたい。何かいい明るい方法を智恵を出
    し合って、方向を見いださなければ秋田県の森林・林業はつぶれてしまうのではないかと私
    は危惧して今日来ました。
 
県 : 委員が言われたとおりの現状だと我々も感じております。今、少しずつ世の中が変わってき
    て、森林を環境財として取り扱う形、例えば、地球温暖化にどの位貢献するかとか、そうい
    う所からお金を出して頂いて森林の整備に向けるとか、そういう方向には成りうると考えて
    おります。我々も長い間悩んでいる問題です。経営としての林業というものが難しいという
    ことを感じながら、我々もいろいろな施策を行っているというのが実態であります。
 
委員: 「水と緑の条例」が非常に高く買われてまして、私もこれに期待したい。2001年の審議会に
    出た3区分ですが、水土保全林が51%、共生林が9%、循環林が40%。これをもう一度見直さな
    ければ、条例に符号しない。奥山が水土保全林、里山が全部循環林なんです。里山ほど水土
    保全林にしないと県民に理解してもらえない。水と緑の条例の中でどのように森林を考えて
    いくのかを教えてください。
 
県 : 条例の場合は森林の区分によることは考えておりません。民有林の中で実際にゾーニングさ
    れている内容は、水土保全林が54%、共生林3%、循環林43%。逆に国有林では、循環林13
    %と少なく水土保全林が6割を越えて共生林も多い状況です。県トータルで、約6割が水土
    保全林となっております。民有林は循環利用していくんだという面が強いのは確かです。し
    かし、里山を全て循環林にしている訳ではありません。
 
委員: 計画を見ますと保安林が増えることで、今まで手入れの行き届かなかったところにも間伐が
    できたりと、救済される森林が増えるんだなぁと思いました。資料の中の保安林指定計画面
    積を見ますと、現行の6〜7割増となってまして、すごい増加率だと思いました。それだけ
    環境面で差し迫っているのだと思いました。県民の意識付けをお願いしたい。
 
委員: スギの場合は水分が多くて乾燥するのに高い技術が必要だとおっしゃられてましたが、高い
    機械を購入しないといけないのでしょうか。
 
 
県 : いろいろな木材がありますが、中でもスギは水をいっぱい含んでおり、構造的に水がぬけに
    くい構造になっております。乾燥するためには乾燥機に2千万〜3千万円の経費がかかります
    し、単純に1m3の乾燥品を作るのに1万円くらいのコストがかかります。しかもそのコスト
    が製品価格にきっちり上乗せしてもらえばいいのですが、それもなかなかできない状況もあ
    りまして、生産しておられる方々は非常に苦労しておられるのが実態でございます。ただ、
    今ある木を有利に売っていくには、乾燥材が主流になっていると考えております。乾燥材を
    コスト低くおさえて大量に生産するかということを考えながら進めております。
 
委員: 保育所とか老人ホームに木材を利用すると聞いたのですが、秋田はスギが適用されるのでし
    ょうか。
 
県 : なるべく木を使いましょうという流れの中で、学校などは鉄筋とか木材とか建て方によって
    補助金が違ってたのですが、最近は同じ補助金を出しましょうという体制になってきており
    ます。県内では、秋田は木の国ということで、公共建築物に木材を、特にスギですが、それ
    を使うことによって、公共建築物は波及効果が高いということで、県としても公共建築物に
    は木を使って頂きたいと、県が建てるものについては基準を作りやっておりますし、市町村
    に対しても木の良さをアピールしながら、木を使って頂きたいとお願いをしながら木材の建
    物を進めております。
 
委員: 緑の回廊が繋がるという方向が見えてきましたことは、大変すばらしいことだと思います。
    ブナ・ミズナラの天然林に近いものが守られるということは、これからも啓蒙に頑張ってい
    ただきたいと思います。