つつが虫病は、ダニの一種であるツツガムシによって媒介される病原体を原因とする感染症です。ツツガムシは、その一生のほとんどを浅い土壌中で生活し、他の虫の卵などをエサとして生活していますが、幼虫の時期に一度だけ地表に現れて、ヒトを含む脊椎動物に吸着し、動物の組織液を取り入れる性質があります。病原体を持つツツガムシはごくわずかですが、秋田県でも毎年数例の患者発生があります。発生のピークは5月~6月で、農作業や山菜採り、魚釣りなどの野外活動が感染の機会となった例が多くみられています。
【症状】
 病原体を持ったツツガムシの幼虫に吸着された後、7~10日後に発症します。人から人への感染はありません。ツツガムシに吸着された部分に1cmほどの大きなカサブタが出来ることが特徴で、主な症状は38℃以上の高熱とその後に現れる発疹です。発病早期に適切な治療を開始すると通院治療のみで完治しますが、治療が遅れた場合は入院治療を要し、命に関わることもあります。
【予防法】
 つつが虫病のワクチンは作られていないため、ツツガムシを身体に寄せ付けないこが重要です。ツツガムシが身体に取り付いても、病原体に感染するまでには6~10時間ほどかかるため、この間を利用した次のような対策で早期に取り去ることが有効です。
 ① 野山、田畑、河川敷から帰った後は早めに着替える。
 ② 衣類は室内に持ち込まず、すぐに洗濯をする。
 ③ 帰宅後は、速やかに入浴し体を入念に洗う。
 また、ツツガムシの忌避効果が認められている虫除けスプレー剤もあります。効果は塗布部に限定され、持続時間も限られるため、上記①~③の対策の補助として活用しましょう。
 つつが虫病の治療では、早期に適切な抗菌薬の投与が必要です。この時期、高熱・発疹などの症状があった場合は、早急に内科、皮膚科などの医療機関を受診しましょう。その際、発病前の活動(農作業、山菜採り、登山など)を伝えることが早期診断に大切です。

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