2.本県職務発明制度と県有特許の取り扱い

2016年08月26日 | コンテンツ番号 971

 ここでは、本県職務発明制度その他関係法令等について詳細に説明します。また、分かりやすくするために、特許に絞って説明します。

 特許制度と、実用新案制度・意匠制度との違いは、「1.特許制度と本県職務発明制度の概要」をご覧ください。

本県職務発明制度の全体像

図:本県職務発明制度

職務発明(特許法第35条)

 図4左側にあるとおり、特許を受ける権利は、権利能力を有する自然人たる発明者が原始的に取得します。したがって、原則としては発明者が特許出願人となります。
 ただし、従業者が職務として発明をした場合(職務発明)、使用者(会社、自治体など)は、就業規則や契約等によって、従業者が有する特許を受ける権利を自らに移転させることができます。つまり、使用者が特許出願人となり、あるいは特許権者となって、権利を行使することができるようになるわけです。
 これが「職務発明制度」といわれるもので、特許法第35条により定められています。そして、同条では、職務発明について使用者が特許を受ける権利を承継した場合、職務発明をした従業者は使用者に対して「相当の利益」の支払いを求めることができます。
 秋田県では、この「相当の利益」の額その他職務発明に関する手続きを「秋田県職務発明に関する要綱」により定めています。

職務発明に関する手続き

 秋田県の職務発明に関する手続きは、図4右側のとおりです。
 まず、研究機関の研究員など職員が発明した場合、発明が完成した時点で速やかに「発明等届」を所属長に提出します。
 次に、所属長は、課内での審査会などを経て、その発明が「職務発明」であるか、また、秋田県に権利(特許を受ける権利)を承継するかを認定・決定し、「発明等判定表」を作成します。
 そして、所属長が「職務発明」と認定し、秋田県に権利を承継すると決定した場合は、発明者は自ら有している「特許を受ける権利」を秋田県に譲渡する必要がありますので、直ちに「譲渡書」を所属長に提出します。なお、「発明等届」「発明等判定表」「譲渡書」の様式は、秋田県職務発明に関する要綱で定められています。
 以上の手続きにより、秋田県に「特許を受ける権利」が承継され、秋田県が出願人となって、特許庁に特許出願します。
 また、特許出願後、審査請求を経て特許権登録された場合には、発明者である職員に対して「登録補償金(3万円)」を支払う必要があります。
 さらに、民間企業に特許を受ける権利又は特許権を実施許諾等又は譲渡し、県が実施料や売買代金などの収入を得たときは、発明者である職員に対して「実施補償金(実施料の50%)」を支払う必要もあります。
 詳しくは、秋田県職務発明に関する要綱(第10条、11条)をご覧ください。秋田県の場合、この登録補償金及び実施補償金が、前述した特許法第35条でいうところの「相当の利益」となります。

特に注意すべき事項

  • 発明等届の提出の遅延及び未提出は、その後の手続きに重大な問題を生じさせます。全課・全職員に対し、手続きの遵守をお願いします。
  • 職務発明と認定し権利を承継することは、すなわち県予算による特許出願を意味します。
    一方で、特許出願予算は、現在のところ、各所属で措置することとしております。
    権利を承継する一方で、予算上の問題から特許出願を保留することのないようお願いします。
     なお、特許庁に対して納める出願料等については、特許庁HPをご覧ください(料金を調べる)。

(特記事項)
平成16年4月1日から、新たに公設試験研究機関が審査請求料及び特許料の軽減措置対象に加えられました。くわしくは、特許庁HPをご覧ください(軽減措置)。

あきた未来戦略課に提出する書類

 各所属においては、職務発明の認定及び権利の承継の決定をしたときは、速やかに「発明等判定表」を作成し所管部局長に提出するとともに、所管部局長は、その写しをあきた未来創造部長に提出してください(秋田県職務発明に関する要綱第5条)。
 

秋田県職務発明審査会

  職務発明に関する手続きのうち、各所属長ではなく「秋田県職務発明審査会」が決定権限を有している事項があります(秋田県職務発明に関する要綱第16条)。
 本審査会の審議事項は、図4下段(補足)のとおりですが、例えば、特許権を民間企業に実施許諾等をしたい場合は、各公設試験研究機関等の長は副申書に当該企業から提出された実施許諾等申請書を添えて所管部局長に提出し、所管部局長は秋田県職務発明審査会会長に必要書類を提出して、職務発明審査会の開催を依頼する必要があります。
 実施許諾等に関する手続きについては、「3.県有特許の実施許諾等と譲渡(実施許諾等編)」をご覧ください。

県有特許の取り扱い

  県有特許の取り扱いにおいて、最も注意しなければならないのは、関係法令等による様々な制約です。
 図4中央に示すとおり、県有特許のうち、特許を受ける権利は公有財産に該当しませんが、特許権は公有財産に該当するため、地方自治法、条例などに従った取り扱いが必要です。
 ここで、県有特許が法令上どのように位置づけられているか見てみましょう。

 図:県有特許 

 地方自治法第238条第1項第5号では、県が保有する特許権は公有財産であると定められており、その分類は普通財産であると解されます。
 また、同法第96条第1項では、条例で定めるものを除いて適正な対価によらない財産の譲渡や貸付(第6号)、条例で特に定められた財産の取得又は処分(第8号)は、議会の議決を要すると定められています。

 秋田県の場合、関係する条例は次のとおりです。

 普通財産である特許権においては、特に前者の条例が重要です。この条例では、普通財産を無償又は減額して貸し付けたり譲渡することができる場合を限定的に定めていますが、そのなかには、民間企業に対する特許権の無償実施許諾などは含まれないと解されます。
 したがって、現在のところ秋田県では、特許権の実施許諾や譲渡は、議会の議決を経ない限り、適正な対価を得て行わなければなりませんので、このことに十分ご留意願います。

実施許諾等・譲渡の手続き

特許を受ける権利

 前述したとおり、特許を受ける権利は公有財産ではありません。
 しかし、財産権として一定の価値を有するものですので、秋田県の場合、特許を受ける権利の実施許諾等及び譲渡は、公有財産である特許権に準じて取り扱うこととしております。

特許料

 図4左側下段に示すとおり、特許権を維持するためには、特許庁に特許料を納め続ける必要があります。
 特許法第107条、108条、112条により、定められた期日までに特許料を納付しないと、特許権は消滅します。なお、特許料については、特許庁HPをご覧ください(料金を調べる)。

(特記事項)
平成16年4月1日から、新たに公設試験研究機関が審査請求料及び特許料の軽減措置対象に加えられました。くわしくは、特許庁HPをご覧ください(軽減措置)。

県有特許業務マニュアル
~県有特許の適法適正な管理を目指して~

  1. 特許制度と本県職務発明制度の概要
  2. 本県職務発明制度と県有特許の取り扱い
  3. 県有特許の実施許諾等と譲渡
  4. 県有特許権の消滅
  5. 関係法令