今議会におきましては、当初予算案及びその他の案件についてご審議をお願いするものでありますが、提出議案の説明を申し上げます前に、去る4日にご逝去された、名誉県民である日沼賴夫博士に対しまして、謹んで哀悼の意を表したいと存じます。
 日沼博士は、永年にわたり医学の研究に邁進され、特に、人間のがんがウイルスでも起こることを世界で初めて立証し、がんウイルス研究に新たな局面を開くなど、我が国の医学の発展に大きく貢献されました。
 また、帰郷の際は、母校において児童・生徒たちを激励し、ご自身が所蔵する本を寄贈されるなど、故郷をこよなく愛されておりました。
 これまでの永年にわたるご功績に対し、改めて敬意を表しますとともに、安らかにご永眠されますようお祈り申し上げます。
 次に、所信の一端を申し上げます。
 はじめに、国政の状況と今後の県政運営についてであります。
 昨年末に行われた衆議院議員総選挙の結果、引き続き安倍総理が国政運営を担うことになりました。
 我が国の経済情勢を見ますと、安倍総理が打ち出した経済政策「アベノミクス」の下、有効求人倍率が23年ぶりの高水準となったほか、企業の経常利益が過去最高の水準となるなど、雇用や企業収益を中心に、景気の緩やかな回復基調が続いております。
 しかしながら、東京などの大都市圏に比べ、地方圏においては、景気回復感にばらつきが見られるなど、「アベノミクス」による経済の好循環が広く波及しているとは言い難い状況にあります。
 こうした現下の経済情勢を踏まえ、経済の好循環を地方に拡大させるための緊急経済対策を盛り込んだ国の補正予算が、政権発足後速やかに編成され、今般可決されたところでありますが、経済再生と地方創生に対する安倍総理の強い意気込みが感じられます。
 また、昨年末には、「まち・ひと・しごと創生総合戦略」が策定され、人口減少を克服し、我が国の創生を成し遂げるため、平成27年度からの5ヵ年で取り組む施策の基本的な方向性が示されたところであります。
 これを踏まえ、今後、県としても、「秋田版総合戦略」を策定いたしますが、我が国が人口減少を克服し、持続的に発展するためには、まずは国の責任において、地方への産業の再配置や地方の高等教育機関の充実など、東京一極集中の是正に向け、実効性のある施策を早急に展開し、我が国の社会構造を抜本的に改革する必要があります。
 これまでも国において様々な地域振興策が講じられてきておりますが、私は、人口減少に歯止めをかけ、地方が活力を取り戻すためには、国家の構造をどうするかという骨太の国家戦略が不可欠であり、特に、権限、財源、情報などが東京に過度に集中する構造を変革させることが重要であると考えます。
 安倍総理には、人口減少の克服と地方創生を確実に実現するため、今こそ、抜本的な構造改革や地方分権の推進に本腰を入れて取り組んでいただきたいと思います。
 本県では、既に昨年から、総合的な人口問題対策に取り組んでおり、「人口問題対策プロジェクトチーム」を中心に、人口減少要因の分析・検証や将来の姿のシミュレーションを行い、中長期的な視点に立った取組の方向性を、今般、「秋田の人口問題レポート」として取りまとめたところであります。
 レポートでは、本県の人口減少について、戦後から続く若者を中心とした就職・進学による県外流出や未婚率の上昇、晩婚・晩産化に伴う婚姻数や出生数の大幅な減少によるものとし、その背景には、本県の産業構造が資源立地型から脱却できなかったことや、産業の規模が相対的に小さく、就労人口の受け皿として十分ではなかったこと、首都圏との賃金格差が大きいこと、全国と比較して第3子以降の出生割合が低いこと、さらには、結婚・子育てに対する価値観の変化等があると分析しております。
 こうした状況を克服し、秋田の創生を進めていく上では、広大で豊かな自然、多彩な食文化、高度で多様な産業技術など、有形無形の豊富な資源を単に有するという現状に甘んじることなく、刻一刻と変化する時代の状況や多様化する価値観に合わせて、それらの資源をより磨き上げ、フル活用するという基本的姿勢が肝要であります。
 県では、こうした姿勢の下、「秋田版総合戦略」の策定に向け、今後、子育て世代や移住希望者、中小企業者・農林漁業者など、幅広い層の方々からご意見を伺うことにしておりますが、次の4つの視点に立った具体的な施策案を提示しながら、ご議論いただきたいと考えております。
 まず第1の視点は、「雇用創出のための産業振興」であります。
 地域における安定的な雇用を確保するためには、県内産業の基盤を強化し、県内企業の雇用吸収力を向上させる必要があります。
 このため、これまで本県の産業を牽引してきた電子部品・デバイス分野などに加え、自動車産業や航空機産業、医療福祉産業のほか、市場規模が急速に拡大している情報関連産業など、今後の成長が見込まれる産業分野における新たな事業展開への支援を充実し、県内産業の基盤強化を図ってまいりたいと考えております。
 また、エネルギー供給県として、洋上風力発電の導入と再生可能エネルギー関連産業の育成を促進することや、国家的な課題となっている電力の安定供給に向け、本県の地理的優位性を活かしてベースとなる発電施設を集積することなどにより、雇用の拡大を図っていくことも求められます。
 加えて、本県の基幹産業である農業については、戦後農政を大きく転換する国の農政改革を本県農業の発展に向けたチャンスととらえ、地域の農業を牽引する力強い経営体の育成や、複合型生産構造への転換などを通じて、農業経営の基盤強化を図り、雇用の創出につなげていく必要があります。
 さらに、人口減少が進む中にあっても、本県経済を持続・発展させていくためには、国内外の需要を積極的に取り込んでいかなければなりません。
 このため、多様な資源を本県ならではの魅力として国内外に発信し、交流人口の拡大を図ることにより、観光関連産業を振興し、雇用拡大を図ってまいりたいと考えております。
 第2の視点は、「移住・定住対策」であります。
 県ではこれまで、首都圏での情報発信やお試し移住体験の場の提供などに取り組んでまいりましたが、東京一極集中を是正し、地方への新たな人の流れをつくるためには、より強力な「移住・定住対策」が求められます。
 そのため、受入体制や支援制度の充実を図ることはもとより、本県の魅力を十分に理解していただく必要があることから、四季折々の美しい自然や多彩な食文化、学力日本一の教育力など、都会にはない真の豊かさを実感できる秋田での暮らしについて、戦略的なプロモーション活動を展開してまいりたいと考えております。
 また、移住・定住先として本県が選ばれるためには、移住者向けの起業・就農支援や生活支援、住宅整備支援などについて、他の地域との差別化を図りながら、大胆に施策を推進していく必要があるものと考えております。
 第3の視点は、「少子化対策」であります。
 県ではこれまで、人口減少の歯止め策として、就学前の子育て世帯に対する保育料助成をはじめ、小学校卒業までの医療費助成など、子育て家庭への支援に取り組んでまいりましたが、人口減少を抑制するためには、若い世代が安心して、結婚、妊娠・出産、子育てができる環境をさらに充実させていく必要があります。
 このため、これまでの施策を検証しつつ、第3子を産むきっかけづくりにつながるような経済的支援や、多子世帯への住宅整備支援のほか、県内企業への就職を条件に返還を免除する奨学金制度など、子育て家庭への総合的な支援策の構築に努めてまいりたいと考えております。
 第4の視点は、「新たな地域社会の形成」であります。
 人口減少社会においても、人々が住み慣れた地域で安心して暮らすことができる社会を構築するためには、県と市町村や市町村同士の連携による行政サービスの提供体制の確保はもとより、地域の課題を地域で解決できる仕組みづくりを進めていく必要があります。
 このため、自治体間の連携強化や「秋田型地域支援システム」の構築を進めるほか、地域資源を活用したコミュニティビジネスを推進することにより、地域経済の活性化を図りながら、特色ある地域づくりを進めてまいりたいと考えております。
 以上の4つの視点から、自らの地域は自らで新しく創るという気概を持って、県民の皆様と知恵を出し合いながら、実効性のある施策を盛り込んだ「秋田版総合戦略」を策定し、秋田の創生に向けて全力で取り組んでまいります。
 私は、今年の一文字として、日本に貢献し、国を支える基盤として自立する秋田の創造を目指し、県政が直面している多くの困難な課題の解決に向けて、県民の皆様とともに、あらゆる可能性を信じ、勇猛果敢に挑むという思いを込めて、「挑(ちょう)」を選びました。
 平成27年度は、私にとって2期目の任期の折り返しの年であり、日々刻々と変化する社会経済情勢の中、これまで打ち出してきた施策の成果等を踏まえながら、秋田の創生に向けた思い切った施策の展開も視野に入れ、機動的な県政運営を行ってまいりたいと考えております。
 次に、農業を取り巻く状況について申し上げます。
 米政策の抜本的な見直しなど、国の農政改革が今年度から本格的にスタートしましたが、米の民間在庫の増大と需要の減退などが要因となり、農家への概算金が大幅に下落するなど、本県の基幹作物である米を取り巻く環境は厳しさを増しております。
 県では、米の産地間競争が激化する中、国内外において秋田米の需要拡大を図るため、今年度は、厳選された高品質な極上米の首都圏での販売や、コシヒカリを超える食味の高品質米の品種開発に着手したほか、改めて基本となる食味向上技術の徹底を図るなど、農業団体と一体となって秋田米ブランドの再構築に意欲的に取り組んできたところであります。
 今後は、こうした取組に加え、担い手の経営基盤の強化を図るとともに、需要が拡大している飼料用米の増産と地域の畜産農家との連携拡大など、米の需要動向を的確にとらえながら、ニーズにマッチした生産・販売活動を促進してまいります。
 一方、本県における農業産出額は、近年の米価の下落傾向により、低迷が続いている状況にありますが、この減少をくい止め、力強い秋田県農業を創り上げていくためには、園芸や畜産の拡大による本県農業の体質強化に向けたこれまでの歩みを緩めることなく、構造改革をさらに加速していくことが重要であり、昨年7月に策定した「農政改革対応プラン」に基づく施策を着実に推進するとともに、今後の状況変化にも的確に対応してまいります。
 次に、平成27年度の重点施策について申し上げます。
 来年度は、「第2期ふるさと秋田元気創造プラン」推進の2年目として、産業振興や移住・定住対策、少子化対策など、秋田の創生に向けた取組を一層強力に進めるとともに、国の農政改革への対応や「第2期プラン」に掲げた「6つの戦略」に基づく施策を重点的に推進するほか、県民の安全・安心の確保等についても着実に実施し、県民が日々の暮らしに安心と豊かさを感じることができるよう、各施策の目標の達成に向けた取組をさらに加速してまいります。
 まず、「産業構造の転換に向けた産業・エネルギー戦略」については、県内中小企業の経営基盤の強化をサポートするとともに、今後成長が見込まれる産業分野への県内企業の参入や洋上風力発電等の導入を促進してまいります。
 「国内外に打って出る攻めの農林水産戦略」については、国の農政改革に対応し、意欲ある担い手の育成やマーケットインの視点を重視した生産・販売の促進に取り組むとともに、若い林業技術者の養成や栽培漁業の推進などにより、林業・水産業の振興を図ってまいります。
 「未来の交流を創り、支える観光・交通戦略」については、秋田デスティネーションキャンペーンや国民文化祭等を通じて醸成された、各地域が主体となって観光や文化の振興に取り組む気運を活かしながら、観光と食や文化、スポーツ、交通など関連する分野を一体として、交流人口と県内消費の拡大に取り組んでまいります。
 「元気な長寿社会を実現する健康・医療・福祉戦略」については、総合的な健康づくりはもとより、医療・介護・福祉の連携による地域包括ケアシステムの構築、認知症の早期発見・早期治療に向けた取組の強化、質の高い医療提供体制の整備など、生涯にわたって生き生きと、安心して暮らせる地域づくりを推進してまいります。
 「未来を担う教育・人づくり戦略」については、ふるさと教育を基盤としたキャリア教育の推進や、少人数学級の拡充に取り組むとともに、高い英語コミュニケーション能力や、幅広い教養、問題解決力等の国際的素養を身に付けたグローバル人材など、未来を切り開き社会に貢献する人材を育成してまいります。
 また、今年4月から本格的にスタートする「子ども・子育て支援新制度」に基づき、地域の教育・保育ニーズに対応する市町村等の取組を支援してまいります。
 なお、新たな教育委員会制度が今年4月に施行され、教育行政に果たす知事の責務が明確になりますが、今後とも、教育委員会との連携をより一層密にして、秋田の教育力の向上に努めてまいります。
 「人口減少社会における地域力創造戦略」については、出会い・結婚支援の充実や、本県の魅力を売りにした移住・定住の拡大など、人口減少に歯止めをかける取組と合わせ、自治体同士の連携の強化や地域支え合い体制の構築など、人口減少社会に対応できる環境の整備を進めてまいります。
 次に、大曲工業高等学校の第87回選抜高等学校野球大会出場について申し上げます。
 来月開幕する選抜高等学校野球大会の東北代表として、大曲工業高校が選出されたことは誠に喜ばしく、関係者の皆様に心からお祝いを申し上げます。
 悲願の甲子園初出場は、学校創立53年目にしての快挙であり、選手の皆さんが、甲子園で日頃の練習の成果を存分に発揮して、伸び伸びとプレーし、大いに活躍されることを期待しております。
 次に、「2015FISフリースタイルスキーワールドカップ秋田たざわ湖大会」の開催について申し上げます。
 この大会は、2月28日と3月1日の二日間、国際スキー連盟主催の下、県内初のウインタースポーツの世界大会として、たざわ湖スキー場において開催されます。
 大会には、世界13ヵ国から選手・コーチ約120名が参加するほか、大会アンバサダーとして、モーグル界のトップアスリートであった上村愛子さんにもご協力いただくことになっており、多くの県民の皆様に世界トップレベルの熱戦を楽しんでいただければと思っております。
 また、今後、3年連続して本県で開催されることから、冬季観光の新たなコンテンツの一つとして積極的にPRし、県内外からの交流人口の拡大につなげてまいります。
 次に、平成27年度の組織再編の主なものについて申し上げます。
 新たな政策課題に対応するため、企画振興部に、秋田の創生に向けた取組を総合的に推進する「人口問題対策課」を、農林水産部に、マーケットインの視点による農産物の生産振興と販売促進を一体的に推進する「販売戦略室」をそれぞれ設けるほか、平成29年に予定されている「第30回全国健康福祉祭(ねんりんピック)秋田大会(仮称)」の開催準備を進めるため、「ねんりんピック推進室」を健康福祉部に設置いたします。
 次に、平成27年度当初予算案について説明申し上げます。
 新年度予算案においては、産業振興による雇用の創出や農林水産業の振興によるふるさとの再生、移住・定住対策、少子化対策など、秋田の創生に向けた取組を中心として、2年目となる「第2期ふるさと秋田元気創造プラン」に基づく施策・事業を着実に推進することにしております。
 厳しい財政状況にあっても、プライマリーバランスの黒字の確保、財政二基金の残高300億円台の維持など、財政の健全性を保ちながら、様々な県政課題に対応し、元気な秋田を創造していくための積極型の予算としたところであります。
 以下、当初予算案の主なものについて申し上げます。
 はじめに、「秋田の創生に向けた取組の推進」についてであります。
 「雇用創出のための産業振興」に向けて、経営革新や生産性の向上に取り組む企業を支援し、県内企業の競争力を強化するとともに、今後の成長が見込まれる産業分野において、先導的な技術開発に取り組む企業を支援し、県内産業の基盤強化を図ってまいります。
 また、大きな経済波及効果と雇用効果が期待される洋上風力発電について、発電設備を整備する際に拠点となる秋田港及び能代港の港湾施設に関する調査を行うなど、本県沖での洋上風力発電の早期事業化に向け、積極的に取り組んでまいります。
 国内外への売り込みの強化としては、市場ニーズに対応した商品づくりを促進し、大消費地である首都圏等への戦略的なプロモーション活動を展開するほか、東アジアや東南アジアの旺盛な需要を取り込むため、本県企業が台湾に新設する情報拠点と連携して商談会を開催するとともに、引き続きタイを拠点に県内企業の東南アジアへの進出や経済交流を支援してまいります。
 「農林水産業の振興によるふるさとの再生」については、農地の流動化の促進による担い手への農地の集積や経営の規模拡大、複合化・多角化による経営発展を促進し、本県農業を支える強い担い手を育成するとともに、大規模園芸団地の整備や、果樹の雪害回避対策など、生産力向上に向けた取組を強化し、農業の構造改革を推進してまいります。
 さらに、マーケットインの視点をより重視し、県産農産物の流通・販売対策を強化するため、新たに「農産物流通販売戦略」を策定し、生産者や農業団体と一体となって、生産現場の市場ニーズへの対応力向上を図るとともに、新たな販路の開拓に意欲的に取り組む農業者等を支援してまいります。
 また、県産牛ブランド「秋田牛」の認知度向上を図るため、首都圏において通年で「秋田牛」を提供する事業者への支援等を行うほか、県産食肉の流通販売機能を強化するため、食肉流通販売拠点が行う施設整備に対して助成してまいります。
 林業・水産業の競争力や体質の強化に向けては、今年4月に開講する秋田林業大学校において実践的な研修を行い、将来の林業を担う若手人材の確保・育成を進めるほか、栽培漁業推進の拠点となる水産振興センターの機能強化を図るため、必要な施設を整備してまいります。
 「交流人口の拡大」については、「第23回地域伝統芸能全国大会」を開催し、県内外に秋田の魅力を発信するとともに、国民文化祭の成果を踏まえ、地域活性化や交流人口の拡大につながる文化活動に取り組む民間団体等への支援を新たに実施するほか、引き続き、韓国国際定期便の利用拡大を図り、国内外からの誘客を促進してまいります。
 また、ワールドカップ・モーグル大会や県内全市町村対抗駅伝大会等の大規模スポーツイベントの開催のほか、「2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会」の事前合宿誘致活動の展開により、スポーツを通じた交流人口の拡大や地域活性化に積極的に取り組むとともに、高等学校強化拠点校への支援を拡充するなど、小学生から高校生までのジュニア世代の育成を強化し、スポーツ王国復活に向けて競技力の向上を図ってまいります。
 さらに、日本海沿岸東北自動車道の早期完成に向けた鷹巣西道路の整備などを着実に進めるとともに、生活バスや地方鉄道など地域公共交通の安定的な運行を確保するほか、市町村や観光関係団体と一体となって、秋田空港や大館能代空港の定期路線の維持・拡大に向けた利用促進活動を展開し、県民生活や経済活動を支える交通体系を整備してまいります。
 「移住・定住対策」については、市町村と連携して利用可能な空き家を調査するなど、移住者の受入体制を整備するとともに、首都圏での県出身者に対する就職情報の発信を強化し、県外からの移住促進を図るほか、高校生を対象とした地元企業の職場見学会の開催や、若者の職場定着に取り組む県内企業への支援により、若者の県内定着に向けた環境整備に取り組んでまいります。
 「少子化対策」については、「あきた結婚支援センター」の組織体制を強化し、出会い・結婚支援の充実を図るとともに、男性不妊治療への助成を拡充するほか、子育てに係る経済的負担を軽減するため、引き続き保育料や乳幼児・小学生の医療費への助成を行うなど、結婚、妊娠・出産、子育て等のライフステージに応じたきめ細かな施策を総合的に推進してまいります。
 「新たな地域社会の形成」については、人口減少や高齢化が進む地域において、それぞれの地域の実情に応じた支え合い体制の構築を進めるとともに、共助による除排雪支援体制を強化するほか、将来の効率的な行政サービスのあり方を市町村と共同で研究するなど、人口減少社会における持続可能な地域づくりを進めてまいります。
 県市町村未来づくり協働プログラムに基づく事業としては、新たに、仙北市の「田沢湖再生クニマス里帰りプロジェクト」及び三種町の「クアオルトによるいきいきプロジェクト」に着手するなど、合計で11プロジェクトを推進してまいります。
 次に、「元気な長寿社会の実現」については、脳血管研究センターの機能強化による脳・循環器疾患の包括的な医療提供体制の構築に着手するとともに、がん診療連携拠点病院等の空白医療圏の解消に向けた支援を行うなど、医療に対する安心・信頼の確保を図ってまいります。
 また、「聴覚障害者支援センター(仮称)」の整備に関する検討を開始するほか、認知症への支援体制の充実を図るため、新たに中央地区に認知症疾患医療センターを設置するなど、高齢者の方々などが住み慣れた地域で安心して暮らせるよう、医療・介護・福祉の連携強化を推進してまいります。
 次に、「未来を担う人づくりの推進」については、本県独自の取組である30人程度学級を小学校5年生に拡充し、質の高い教育を行うほか、指定校におけるグローバルリーダーの育成や若手経営者等によるロシア極東地域とのビジネス交流を進め、豊かな国際感覚を持ち、秋田の将来を担う人材を育成してまいります。 また、女性の活躍を推進するため、経済団体等と連携して女性の登用や起業を促進するほか、地域課題の解決に取り組む若者団体等を支援し、地域の担い手となる若者を育成するなど、女性や若者が力を発揮しやすい社会を形成してまいります。
 良好な学びの場づくりに向けては、大館地区統合高校や大曲農業高校のほか、秋田地区中高一貫教育校や県北地区定時制基幹校等の整備・改築を進めてまいります。
 次に、「県民の安全・安心の確保と生活環境の整備」については、災害から住民の生命を守るため、土砂災害警戒区域等の指定を加速させるとともに、港湾区域における防潮堤等の津波対策について、調査・検討を進めるほか、北秋田警察署の改築や交通管制システムの更新を行ってまいります。
 また、快適で住みやすいまちづくりを推進するため、八郎湖内の大久保湾において、新たな湖内浄化対策を実施するとともに、環境保全センターの新規処分場整備に着手するほか、人と動物が共生する社会の形成に向けて、動物管理センターのあり方について検討を進めてまいります。
 以上、平成27年度当初予算案の主なものについて説明いたしましたが、一般会計予算案の総額は、6,014億3,000万円であり、前年度当初予算と比較いたしますと、2億4,300万円の増となります。
 なお、緊急経済対策としての国の平成26年度補正予算の成立を受け、県としても、国との協議が整い次第、補正予算を追加提案する予定としており、特に、今後「秋田版総合戦略」に盛り込む予定の地方創生関連事業については、国の交付金を活用しながら、当初予算と合わせて強力に展開してまいります。
 例えば、県内企業の大手航空機メーカーとの取引拡大に向けた支援や新エネルギー関連産業施策の強化、サービスの充実に意欲的に取り組む民間事業者が行う宿泊施設の改修等への支援、首都圏での多様なメディアを活用した戦略的な移住情報の発信、県内の私立大学等による地域貢献活動への助成等に取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、平成26年度2月補正予算案の主なものについて申し上げます。
 今冬の除雪費の見込みにより、道路及び空港の除雪費を増額するほか、離職者等を雇用して正規雇用の拡大を図る企業への助成に要する経費を増額いたします。
 また、「農政改革対応プラン」に基づく事業を着実に実施するため、「農林漁業振興臨時対策基金」を積み増しするほか、文化振興に資する活動への支援を拡充するため、「芸術文化振興基金」に積み増しを行ってまいります。
 このほか決算見込み等に伴う補正を行うとともに、前年度決算剰余金の2分の1相当額を財政調整基金に積み立てることにしております。
 一般会計補正額は77億7,642万円の減額であり、これにより平成26年度予算の補正後の総額は6,076億6,510万円となります。
 次に、単行議案の主なものについて申し上げます。
 「秋田県港湾施設管理条例の一部を改正する条例案」は、秋田港外港地区のコンテナターミナルの利用促進を図るため、ガントリークレーン等の使用料に係る特例の期限を延長しようとするものであります。 
 「秋田県行政財産使用料徴収条例の一部を改正する条例案」は、県が管理する道路に係る占用料の額の改定等により、行政財産の目的外使用に係る使用料の額の改定を行おうとするものであります。
 以上、提出議案の概要について申し上げました。よろしくご審議の上、ご可決賜りますようお願い申し上げます。 

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