研究報告第28号概要

2015年01月07日 | コンテンツ番号 9160

秋田県果樹試験場研究報告(2001) 第28号 1-10

リンゴ'千秋'の裂果に関する研究
第1報 裂果の発生様相

上田仁悦・丹野貞男

摘要

 リンゴ‘千秋’の裂果発生様式を明らかにするため、裂果のタイプとその発生頻度及び裂果の発生時期などについて調査した。

  1. 4年~9年間に渡って調査した裂果の発生率は、調査樹や年による変動がみられ、その較差は最大で13.0~15.1倍にも達したが、平均発生率は19.2%~23.9%の範囲に収まり、変動係数も48.9%~77.3%の範囲を示した。
  2. 裂果のタイプは、ツルもとから経線方向に直線的に裂開する通称ツル割れ(Stem-end splitting)と、梗あ部や肩部に発生する複雑な外部裂果(Stem and shoulder cracking)及び梗あ部直下に発生する内部裂果(Internal ring cracking)に大別された。
  3. 裂果した果実の過半数は内部裂果と外部裂果が同時に発生している混合裂果であり、‘千秋’固有の複雑な外部裂果は収穫果全体の約10%前後を占めた。
  4. 中心果、側果別の裂果発生率は、中心果よりも側果で明らかに高く、果面に発生する褐変やサビの発生割合も側果で高まる傾向がみられた。
  5. 裂果発生率に及ぼす着果位置と台木の影響は、着果位置が上部ほど裂果発生率も高まる傾向がみられたが有意差は認められず、台木の違いによる影響も明らかでなかった。
  6. 果点やサビの果面障害の発生は、満開40~50日後以降から、褐変は同50~100日後以降から、裂開の発生は同90~120日後以降から確認され、その発生割合と推移の状況は年によって異なった。
  7. 褐変は外部裂果の前駆症状として裂開と密接な関係がみられ、褐変の発生時期が早い年には外部裂果の発生時期も早まる傾向がみられた。

秋田県果樹試験場研究報告(2001) 第28号 11-21

リンゴ園土壌の速度論的解析法による窒素無機化特性に関する研究
第1報 無機化特性値の解析と無機化量の推定

佐藤善政・船山瑞樹

摘要

  県内のリンゴ園土壌の窒素無機化特性値を解析するとともに、1993年から1995年の地温をもとに推定した無機化量と時期別無機態窒素含量の関係を検討した。

  1. 窒素無機化特性値
     可分解性有機態窒素量N₀は、黒ボク土では乾土100g当たり9~23mgNで多く、灰色低地土、グライ土では6~9mgN,礫質褐色森林土では5mgN程度で少なかった。25℃無機化速度定数kは、礫質褐色森林土で 0.007day-1で高かったが、それ以外の土壌では0.002~0.006 day-1で土壌分類による違いは明確でなかった。見かけの活性化エネルギーEaは、表層腐植質多湿黒ボク土と表層多腐植質黒ボク土で17300~19900cal・mol-1 で他の土壌に比較して低い傾向があった。それ以外の土壌では22900~30800cal・mol-1 であった。
  2. 推定窒素無機化量
     県南6園の4月1日から10月1日までの推定窒素無機化量は、10a深さ30cm換算で1993年5.6~11.5kgN、1994年9.2~15.2kgN、1995年7.8~14.0kgNで、7月上旬から急激に増加する様相を示した。4月1日から10月1日までの推定量のうち7月1日から9月1日までに50~60%が、9月1日から10月1日までに12~17%が無機化すると推定された。黒ボク土で無機化量が多く、褐色森林土、灰色低地土では少ない傾向が示された。
  3. 時期別推定窒素無機化量と時期別無機態窒素量の関係
     7月1日から9月1日までの各期間の推定窒素無機化量と9月の無機態窒素量との間には正の相関が認められる傾向があった。
     7月と8月の平均土壌水分張力(pF値)と7月1日から9月1日までの推定窒素無機化量を説明変数として3か年の9月の表層・次層合計無機態窒素量の説明が可能か重回帰分析により検討した結果、次の重回帰式により二つの要因とも有効であると判断された。
    • Y=3.5**x1+2.0**x2-10.0 R=0.896**
    • Y:9月の表層・次層合計無機態窒素量 (kgN/10a)
    • X1:深さ30cmの7月~8月の平均土壌水分張力(pF値)
    • X2:0~30cm土壌の7月1日~9月1日の推定窒素無機化量(kgN/10a)