研究報告第25号概要

2015年01月07日 | コンテンツ番号 9157

秋田県果樹試験場研究報告(1995) 第25号 1-17

マルバカイドウ台木利用によるリンゴ半密植栽培の技術確立に関する研究

久米靖穂

摘要

 この研究は1979年にマルバカイドウ(下垂型)に接いだ‘ふじ’、主幹形、半密植栽培(5.5m×5.0m、36本/10a)の技術確立を目的に行ったもので、これが生産力、受光量、果実品質などに及ぼす影響を調査した結果、実用化しえることを実験的に実証しえた。その概要は次のとおりである。

  1. 側枝の誘引による開張によって新梢伸長は抑制され、花芽分化率を向上させた。これはマルバカイドウを使用した主幹形の早期結実、樹相安定のために必要な技術であった。
  2. 幹周の肥大を年次的にみると直線的に変化したが、樹高、樹冠幅は作業性や受光態勢を考えた人為的操作により制限され、生長は緩やかであった。
  3. 頂芽数、着果数、収量は年々増加した。樹齢5年生樹では平均頂芽数が1樹当たり346芽、着果数は119果であったが、その後急激に増加し、樹齢10年生樹では1樹当たりの平均頂芽数が1522芽、着果数は488果で、収量は319箱(6.4t)生産された。
  4. 側枝は積雪などの自然条件や作業空間、側枝の過密による受光態勢の改善のため年々せん去されて減少し、樹齢14年生では平均16本が残存していた。
  5. 果実の大きさ分布を調査すると、樹齢6年生樹では大玉が18.5%、中玉が41.7%、小玉が39.8%であったが、樹齢9年生樹になると大玉が44.7%、中玉が49.0%、小玉が6.3%で大玉の割合が増加した。果実を等級別に区分すると、樹齢6年生樹では秀の割合が82.6%、優が16.7%、良が0.7%、樹齢9年生樹になると秀が48.2%、優が48.8%、良が3.0%と樹冠の拡大によって着色は悪くなったが、側枝の間引き、切りつめによって秀の割合は向上した。
  6. 受光条件の悪い部位は、樹冠下部の主幹に近い部位で、この部位の果実は糖度が低く、品質も劣った。生育期間を通して受光量変化を調査したところ、葉の発育、新梢伸長、果実の肥大に伴う側枝の下垂等で低下した。これは徒長枝せん去、支柱いれ、摘葉等によって樹冠内受光量を改善することができた。
  7. マルバカイドウでも有効土層が薄い場所では直根が浅く、見かけ上の樹勢もやや弱めであった。反対に有効土層が厚い場所では直根が1mの探さにまで入っており、見かけ上の樹勢はやや強かった。

秋田県果樹試験場研究報告(1995) 第25号 19-30

秋田県南部のリンゴ園におけるナミハダニのフェンピロキシメートとピリダベンに対する薬剤抵抗性

舟山健・高橋佑治

摘要

1992年から1994年に、ナミハダニの野外個体群のフェンピロキシメートとピリダベンに対する感受性と、フェンピロキシメートとピリダベン抵抗性個体群の各種殺ダニ剤に対する感受性を調査した。

  1. 秋田県南部のリンゴ園で、野外個体群のフェンピロキシメートとピリダベン抵抗性が確認された。野外個体群のフェンピロキシメートとピリダベン感受性には相関係数がr=0.64とr=0.59の正の相関が認められた。
  2. フェンピロキシメート25ppmで7回淘汰したフェンピロキシメート抵抗性個体群(抵抗性比は4.8)はピリダベンに対して抵抗性比が9.8以上(LC50値は533ppm以上)の高い抵抗性を示した。ピリダベン200ppmで7回淘汰したピリダベン抵抗性個体群はフェンピロキシメートに対して抵抗性比が2.5(LC50値は11.6ppm)であった。フェンピロキシメートとピリダベン抵抗性個体群は、その他の殺ダニ剤であるBPPS、ポリナクチン複合体・BPMC、テブフェンビラド、水酸化トリシクロヘキシルスズ、酸化フェンプタスズおよびケルセンに対しては抵抗性比がそれぞれ0.7から1.3で交差抵抗性は示さなかった。以上のことから、ナミハダニのフェンピロキシメートとピリダベン抵抗性は交差する可能性が示唆された。
  3. フェンピロキシメート50ppm7回淘汰個体群(抵抗性比は10.9)およびピリダベン133ppm5回淘汰個体群(フェンピロキシメートに対する抵抗性比は7.1)のフェンピロキシメート感受性は淘汰中止後の3世代の間に回復が認められたが、現地個体群では回復は認められなかった。また,両淘汰個体群のピリダベン感受性(ピリダベンに対する抵抗性は18.2以上)は淘汰中止後の3世代の間で大きな変化は認められなかった。
  4. ピリダベン淘汰個体群と無淘汰個体群との交雑を行い交雑F1および戻し交雑の雌雄の成虫のピリダベンに対する感受性を単一濃度で検定した結果、ナミハダニのピリダベン抵抗性は優性の単一主働遺伝子の関与が考えられた。