研究報告第24号概要

2015年01月07日 | コンテンツ番号 9156

秋田県果樹試験場研究報告(1994)第24号 1-12

リンゴ新品種‘アキタゴールド’について

丹波 仁・丹野 貞男・佐藤 廣・新妻 胤次・加賀谷 松和・田口 辰雄

摘要

 秋田県果樹試験場では1966年からリンゴの第1次育種試験を開始しており、現在は第3次育種試験も実施中である。第1次育種試験は1976年までの間にゴールデン・デリシャス、東光、印度の3品種の相互交配を基本とした6組合せと、その後追加したふじ、スターキング・デリシャス、翠玉を加えた15組合せ7,947個体の実生を育成し、高接ぎ法により第1次育成試験の中から選抜を進めてきた。このたび、アキタゴールドを選抜し、品種登録となったので、その育成経過及び特性について報告する。

  1. ‘アキタゴールド’は、1974年‘ゴールデン・デリシャス’に‘ふじ’を交配し、獲得した実生80個体の中から、1982年に第1次選抜した。1988年食味が優れ、貯蔵性に富むことを再確認し、2次選抜し、品種登録に必要な諸調査を開始した。系統番号は15-9-16である。
     1990年、種苗登録を申請し、1992年7月24日新品種として登録がなされた。登録番号は第3176号である。
  2. 樹の性質は、全般的に親品種‘ゴールデン・デリシャス’、‘ふじ’に似る。枝は短・中果枝が多く着生し、早成り性と豊産性の特性も見られる。
  3. 斑点落葉病抵抗性は、‘ふじ’よりやや高く、その他病害虫の発生は通常の薬剤散布条件下では問題とならない。
  4. 果実の大きさは300g前後で、果形は円錐~円形である。果色は黄色で、陽光面が淡く橙桃色に着色する場合もある。食味は甘酸適和で、肉質がよく、特に果汁に富み芳香がある。
  5. 秋田県における成熟期は、10月中旬で、中生種に属する。日持ち性が高く、貯蔵力は、冷蔵で約5ケ月で、3月末頃までである。
  6. ‘アキタゴールド’の結実には、3倍体品種以外の主要品種が使える。また、‘アキタゴールド’の花粉は、‘ジョナゴールド’以外の品種の授粉に使える。
  7. 長所は品質や貯蔵性が高いことと、風にも強く落果が殆ど見られないことである。短所は年による心かびの発生が認められるが、落果や心腐れに結び付くほどでない。

秋田県果樹試験場研究報告(1994) 第24号 13-19

‘王林’/M.26に発生したロゼット状生育障害

佐藤善政・松井巌・佐々木美佐子

摘要

 秋田県由利郡西目町のわい化栽培園で、1989年の4月下旬、‘王林’/M.26(6年生)にロゼット症状を示す生育障害が発生した。この障害は症状の特徴から亜鉛欠乏によるものと考えられた。症状を回復させるために下記の処理を実施し、その後の症状の変化と葉中Zn濃度の推移を1989年から1991年まで調査した。

対策処理

  1. 0.3%硫酸亜鉛水溶液の葉面散布
  2. 亜鉛含有葉面散布剤の葉面散布
  3. 亜鉛含有微量要素複合肥料の土壌施用
  4. 無処理
  1. 障害樹では、発芽後、樹冠上部の新梢の伸長が劣り新梢の先に細く小さな柳葉状の葉が密生する特徴(ロゼット)が見られた。また、9月までに新梢葉にクロロシスが発生した。
  2. クロロシスを呈した葉は、N、Ca、Mg及びZnの濃度が低く、特にZn濃度は著しく低かった(3ppm)。
  3. 障害発生の翌年の1990年6月に採取した各処理区の葉のZn濃度は12-22ppmの範囲にあり、欠乏レベル(14ppm以下)または欠乏レベルに近い範囲にあった。
  4. 障害発生の2年後の1991年の6月に採取した葉のZn濃度は、無処理区も含めて約35ppmまで増加した。また、生育が不良だった樹は、症状が回復した。

これらのことから、今回の障害が交換性亜鉛含量の低い土壌での、一時的な亜鉛欠乏によって引き起こされたものと考えられた。

秋田県果樹試験場研究報告(1994) 第24号 20-33

ブドウ芽枯病に関する研究
第2報 発生生態と防除法について

深谷雅子・加藤作美

 秋田県のブドウに多発している芽枯病の発生生態を明らかにするとともに防除薬剤の検索ならびに防除効果の検討を行った。

  1. 本病の伝染源は、主に、結果母枝上の病斑部に形成されるPhomopsis型の柄胞子で、降雨によって飛散した。飛散期間は5月中旬から10月下旬で、その盛期は、5月下旬から7月中旬であった。
  2. 発病後、枯死した枝には継続して柄胞子が形成され、少なくとも3年間は伝染源となりえた。
  3. 柄胞子が新梢に付着後、18時間の濡れ時間を経て侵入が可能となった。
  4. 柄胞子の発芽適温は、12℃から30℃の温度域で、最適温度は、22℃付近であった。
  5. 新梢への主要な感染時期は、芽が分化してくる5月下旬から7月下旬で、伸長期の緑枝の感染率が高かった。
  6. 自然感染させた新梢において、休眠期には節部の皮層が褐変し、皮層、木質部、さらに髄の部分からも本病菌が検出された。しかし、一般に病斑の拡大は遅かった。
  7. 新梢では傷口が存在しなくても感染が起こり、節部からの感染率が高かった。
  8. 防除薬剤として、ベノミル剤およびチオファネートメチル剤の効果が高く、いずれかを開花前から落花2週間後の期間に3回散布することにより防除効果が認められた。