研究報告第22号概要

2015年01月07日 | コンテンツ番号 9154

秋田県果樹試験場研究報告(1992) 第22号 1-7

リンゴの成熟関連物質の推移と栽培管理との関わり
やたか、‘ジョナゴ一ルド,における1-アミノシクロ-カルボン酸(ACC)、アブシジン酸(ABA)およびアントシアニン含量の変化

近藤 悟

摘要

 中生種‘やたか、‘ジョナゴ一ルド,を供試して、生育中の果実内糖含量、内生エチレン濃度、アントシアニン含量を測定した。また果皮と果肉の部位別に1-アミノシクロ-カルボン酸(ACC)、アブシジン酸(ABA)含量を測定した。これらの変化と着色管理を始めとした栽培管理との関わりを検討した。

  1. ‘やたか’果実では満開後109日以降、‘ジョナゴールド’果実では満開後136日以降に果実内のスクロース含量がグルコース含量を上回り、この時期は内生エチレン濃度の増加時期と一致した。
  2. 果肉中のACC含量は、‘やたか’,‘ジョナゴールド,とも発育、成熟期間を通じて大きな差はみられなかった。一方、果肉中のABA含量は、‘やたか’では満開後75日以降、‘ジョナゴールド’では満開後94日以降から、やや増加した。
  3. 果皮中のアントンアニン含量は‘やたか’では満開後136日(収穫前23日)以降、‘ジョナゴールド’では満開後151日(収穫前13日)以降増加した。この時期の果実内でのスクロースの増加を考慮した場合、着色管理作業(摘葉)はこの時期をめどにできるだけ軽度に行われるべきであろうと推察された。

秋田県果樹試験場研究報告(1992) 第22号 9-22

リンゴサビダニの発生生態に関する研究

舟山健・高橋佑治

摘要

リンゴサビダニの発生生態について1990年と1991年に調査した。

  1. 越冬場所からの移動は、発芽後から展菓期過ぎまで確認された。しかし、離脱はそれ以前に始まると考えられる。
  2. 花(果)叢葉における発生は、6月の平均気温が約20度を越える頃に急増し、盛期は6月中旬~7月上旬であった。しかし、盛期以後は急減し、8月中旬以降は寄生が認められなくなった。
  3. 新梢葉における寄生は、5月中旬までは各葉位に散見されたが、6月以降は上位葉に集中した。また、12月においても上位葉への寄生が観察された。
  4. 現地慣行防除園における発生は1990年は多かったが、1991年は極めて少なかった。これは使用薬剤の変遷によるものと考えられた。
  5. 本種の寄生密度に関する品種間差異は特に認められなかった。
  6. 産卵数調査より本種の増殖は主として気温に起因する産卵数の増加によるものと考えられた。
  7. 本種の1世代の発育速度は、発育零点約9.5度、有効積算温度約109日度と求められたが、寄主植物の状態による影響が大きいものと考えられた。
  8. 葉齢の違いによる発育調査より本種の寄生及び増殖は葉の硬軟に強く影響されると考えられた。
  9. 越冬虫は第2雌で、6月中旬より確認し、新梢中位部から下位部の芽の基部や鱗片内また短果枝の粗皮下に認められた。また、リンゴハダニ越冬卵産卵場所と本種越冬場所の類似傾向が認められた。

秋田県果樹試験場研究報告(1992) 第22号 23-35

リンゴ樹を加害するキクイムシ類に関する研究
第1報 キクイムシの種類と生態

大隅専一・水野昇

摘要

 秋田県のリンゴ園で発生しているキクイムシ類は現在まで6種確認されており、ハンノキキクイムシ、サクセスキクイムシが主体に加害し、次いで新種と思われるXyleborus sp.(仮称リンゴザイノキクイムシ)が多く発生していた。
 越冬世代成虫の食入は4月中旬から始まり、リンゴの開花期である5月中旬を盛期とし、5月末まででほぼ終了した。食入部位は高さ2mまでの主幹や大枝に集中し、また木部の露出したところやその上部、腐らん病病斑部などにも食入が多かった。
 孔道内では6月初め頃からふ化が始まり、7月中旬には成虫になっていた。第一世代成虫の孔道からの脱出は7月中旬頃からと思われたがはっきりしなかった。越冬は成虫態で行われると考えられるものの、越冬態勢には各発育段階のものが観察されることからさらに検討を要する。
 樹体の衰弱程度と食入の関係ははっきりしなかったが、食入には誘引物質が関与していると思われ、定着するには樹体の水分量が関係あると思われた。